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はたして俺の異世界転生は不幸なのだろうか。  作者: はすろい
五章 王都騎士団
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ノア・エイリンの過去

 ギルダとの話し合いを済ませ、俺はエル達と合流するべく彼女の執務室へと足を向けた。


「悪い、待たせた」


 扉を開けると、そこにエルの姿は無かった。ついでにコユキも居なかった。

 唯一居たのはノアだけ。


「エルは何処に行ったんだ?」

「アルマさんの付き人に連れられて外へ」


 あいつは・・・。

 エルと相性悪いのかと思えば、この短時間でそこまでエルに懐いたか。


 これからどうしようか。

 街中でエルを探すのも骨が折れるな。

 仕方ない、宿に戻るとしよう。


「悪いな、俺は宿に戻る。コユキが戻ってきたら伝えといてくれ」

「いえ、僕と話しませんか?」

「いやでも」

「どうぞ、おかけください」


 そう言って、ノアは椅子を運ぶ。


 こいつ、人の話聞かないな。

 まあ宿で過ごすのも、ここで待つのもそれほど変わらないか。


 俺はノアが運んだ椅子に座った。


「あれ、そういえばノアはエルについて行かなかったのか?」

「どういうことでしょう」

「いや、護衛的な感じで」


 エルは騎士団の中では、上の立ち位置。そういう奴には下っ端が護衛として付き添ったりするものと思うが。


「僕は部下で、護衛ではありません。それに自分より強い人を守るなんて、意味不明です」

「そうか」


 結構毒を吐くというか、思ってたよりラフな感じだ。

 そっちの方が絡みやすくていい。


「それで、何か話したいことがあるのか?」

「アルマさん、決闘の時どうしてふざけたんですか?エルリアル様が常日頃から自慢げに話してるのを見て、貴方の力量に興味が湧いた。だから決闘を持ちかけたのに、どうして」


 俺に決闘を申し込んだのはそれが理由か。

 エルも俺の話をそこらじゅうに広めないでほしい。まあ、自慢されるのは悪い気はしない。


 しかしなるほど、ノアからしたらそう見えるか。

 俺もエルとコユキにしか説明してないしな。何であんなことしたのかを知らなければ無理もない。


「いや、ふざけてはいな・・・」

「僕は、僕は強くならなきゃいけない」


 本当に話を聞かない奴だ。


「強くならなきゃダメなんです。だから闘技大会を別件で潰されたことが悔しい。それはさっきの決闘についても言えることです」


 鋭い視線が俺に向けられる。

 瞳には、怒りと悔しさが混じりあっているように見えた。


「どうして強さに固執するんだ」


 異様、とまではいかないが固い意思が垣間見える。

 それを裏付ける何かが俺は気になった。


「僕はエイリン家に生まれた、妾の子です」

「早速話の腰を折って悪いが、エイリン家ってそんなすごいのか?」


 みなさんご存知、みたいな感じで話してたが俺はご存知ではない。


「はあ、分かりました。そこから説明しますよ」


 あからさまにため息を吐いた後、ノアはその身の上を話し始めた。


 エイリン家というのは剣士の家系らしく、騎士団に優秀な人材を輩出し続けているらしい。『剣の申し子』持ちが高い頻度で生まれるのだとか。遺伝子とかが関係しているのだろうか。


 ともかく、ノアはそこの生まれ。彼の父とその妾の間に生まれたらしく、それだけで差別的な扱いを受けていた。それだけではなく『剣の申し子』を持たなかったため過酷な虐めを受けることとなった。


 だが、重要なのはそこではない。ノア以外にも『剣の申し子』を持たない者は居た、妾の子も居た。ノアと同じ境遇の者は数人居た。

 しかし、その中でもノアは虐げられた。それはなぜか。


 理由は彼の母が罪を犯したから。


 あろうことか、彼女は当時の当主に刃を突き立てた。結局、返り討ちに会うのだが、それでも罪は罪。主人に牙を剥くなどもってのほか。

 その後、母は逃亡した。子供のノアだけを置いて。

 そしてノアを取り囲む境遇はさらに悪化した。



 殴られる、蹴られる、木剣で叩かれる。酷い時は斬られる。

 まるで奴隷のような扱いを受け続けたという。


「罪人の子だと、矮小な血族と罵られました。僕はそれが許せなかった。僕は母とは違うから」


 犯罪者の子は果たして犯罪者なのか。

 前の世界でもそうだったが、この世界でも問われ続けているらしい。


「だから、家を出ました。僕は見返したかった。才能の無い、卑しい者の子だとしても僕だけは気高くありたかった」


 ノアは満足した様子、ではなかった。むしろ気分が悪そうに話し終えた。


「だから聞きたい。どうして貴方はふざけたんですか」


 再度問われる。

 俺は立ち上がり、告げた。


「ノア、決闘しよう」

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