協力要請
「断る、か」
何を意味深に復唱してるんだ。
拒否以外に深い意味はないのだが。
「何だよ、それで話は終わりか?」
だとすれば早々にエル達と合流したいところだ。
サンタナ領に帰る算段を話し合いたい。まあ、まだまだ騎士団の仕事は落ち着かないだろうが。頃合いを見て、それからだな。
「いや、待て。断るならそれで構わない。だが、これから君はどうするつもりだ?」
これからも何も、俺は・・・。
「魔物を殺す。そのために旅をするだけだ」
そこに変わりはない。
ここ最近は魔物以外の事、ようはエルについての事で忙しなかったからな。今も問題は残っているが。
その問題もいずれ、必ず解決するとして。魔物を憎く思う気持ちは今も俺の中で渦巻いている。
「知っている。エルリアルから聞いた。君の生い立ち、そして目的を」
「なら、何で聞いたんだ」
「聞いてるのはその先の事だ」
その先。
魔物を殺し尽くす事は不可能だ。それは復讐を誓う俺も理解している。
だが仮に、仮にだ。全て殺し尽くしたその後、俺はどう生きる。もしくは手足が不自由になったりでもして、魔物を殺せなくなったとしたら。
はたして俺は何を目的にすればいい。
変わらず終わりのない憎悪に身を焦がし続けるのか。
違う道を見つけて、歩むのか。
「それが今ここで決まるとは思わない。これから先の数十年をかけて、君自身が出すべき答えだ」
それはなんというか、辛く長い道のりになりそうだ。
「なおさら何で聞いてきたんだよ。答えが出ないと分かってるのに質問するとか、不毛すぎる」
「その選択肢の一つに騎士団を入れてみないか、というだけだ。騎士団であれば魔物を対処する仕事も出来る」
結局そこに着地するのか。
そう口にしようとする俺を遮るように、ギルダは続けた。
「それにクレシオから聞いた」
「何を」
「死霊術師の存在、そしてその死霊術師に対して君が怨恨を抱いていることを」
なるほど。真の着地点はここか。
死霊術師は俺にも関係がある。むしろ被害者と言ってもいい。両親を弄んだその報いを受けさせてやる、とそう思っている。
だが、それが分かっているから何だというのだろう。次に続く言葉が予測出来ない。
「それで、何が言いたい?」
「騎士団に協力してくれ」
「何故?」
「君一人で死霊術師の尻尾を掴むのは無理だろう。追求する者の数が多いに越した事はない。ここまで言えば分かるかな?」
共に死霊術師の追い詰めよう、という提案か。
確かに俺一人では限界があるな。
デュオクスに頼めば或いは、というところだがあの時はユウリの紹介あってのことだ。それにソフィアについて聞いた時のようにはぐらかされるかもしれない。
それに俺は誰かと手を組むのが嫌というわけではない。だからユウリやクレシオと手を組んだ。
なら答えは一択。
「分かった。その誘い、ぜひ乗らせてくれ」
「よし、交渉成立だ。今後のことはおいおい擦り合わせよう。今はとりあえず退出してもらって構わない」
「それじゃあ、また」
俺はゆっくりと席を立ち、扉へ向かった。
扉を開け、部屋から立ち去ろうとした時。
「危ういな」
独り言とも、俺に向けたとも取れる言葉がギルダの口から溢れた。
それを聞き取りながらも、俺は部屋を出た。




