表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はたして俺の異世界転生は不幸なのだろうか。  作者: はすろい
四章 建都記念祭
55/148

下準備

 馬車は巨大な城壁を通り抜け、俺たちは王都に到着した。


「ようやくか。退屈で死ぬかと思ったぞ」


 馬車を降り、王都に立ったコユキは伸びをしながら言った。

 俺とクレシオもコユキに続くように馬車を降りる。それと同時に御者の男が近寄ってきた。


「悪かったな、タダで乗せてもらって」

「私からも感謝を述べさせてほしい。助かった」


 無料で馬車に乗せてくれた御者に礼を言う俺にクレシオが続いた。

 俺たちの言葉に御者は大きく歯を見せて笑った。


「いいってことよ!あのままだとワイバーンに食い散らかされるところだったからな。嬢ちゃん、ありがとうよ」


 御者は屈み、コユキと目線を合わせた。

 コユキはまたしても胸を張っている。

 そんなコユキに笑いかけた後、御者は立ち上がり馬車へと戻った。


「それじゃ、機会があればその時は贔屓にしてくれよ!」


 御者は御者台からサムズアップして、馬車を走らせた。


 俺はそれを見送った後、話し合いを始めようとした。

 しかし、それを読み取ったクレシオに制止される。


「ここでは人の目が多い。騎士団の何者かが見ている可能性もある。まずは宿に行こう」


 俺は開いた口を閉じ、頷いた。

 王都を散策したいと駄々をこねるコユキを引き連れ、宿に向かった。


* * * * *


 宿では三人一部屋をとった。

 この王都にいる限り、クレシオには危険が多い。そんなクレシオを一人で部屋に置いておくのはリスクがある。

 とはいえ、クレシオと俺を二人部屋とした時、コユキは一人だ。こいつを一人にしたら勝手に抜け出して街に繰り出すかもしれない。

 加えて、作戦を実行に移すためには三人揃っての話し合いは不可欠だろう。

 という理由から三人部屋をとった。


 そして部屋に着いた俺たちは荷物を部屋の隅に置き、早々に話し合いを始めた。


「記念祭は三日後。この三日のうち準備にかけられる期間は、当たり前だが二日だ。私はそのうちに魔法陣の用意をしよう」

「大丈夫か?不審だと思うのだが」


 これから闘技大会が行われるところで、何やら怪しい行動をしている者がいるとなると騎士団が出動してもおかしくはないと思うのだが。


「ああ、だから非常に慎重に行わなければならない。それゆえ、当日までに完璧な魔法陣はできないだろう。言うなればこの二日間は下書きを描く期間だ」


 本番当日に、よりスムーズに魔法陣を完成させるための下書きか。

 魔法陣に関しての知識は俺には無い。この件に関しては完全にクレシオ頼みだから、俺には賛同することしかできない。


「それと君には魔法陣を完成させるまでの間、騎士団員たちを釘付けにしてほしい」

「それはどういう・・・。あぁ、なるほど」


 クレシオは闘技大会が騎士団全員を集めるのに最適だと踏み、そこに焦点を合わせた。

 だが、闘技大会中に団員の出入りが全く無いわけでは無いだろう。闘技場から団員が一人でも漏れた時、俺たちが考えている『団員全員の洗脳解除』というものが崩れてしまう。

 まあ、実際に崩れたとしても洗脳解除を強行する他ないのだが、やはり全員を元に戻すというのがベストだろう。


 つまり、それを踏まえてクレシオは釘付けにしてほしいと言ったのだ。

 俺が心の中でそう結論づけると、クレシオは笑みを浮かべた。


「しかし、どうすればいい。簡単に言うが、中々難しいぞ?」

「闘技大会に乱入する、というのはどうかな?」


 俺の質問にクレシオは予想の斜め上をいく提案をして来た。


「それはいいのう。楽しみにしておるぞ、アルマ」


 クレシオの提案にコユキが賛同する。

 どうやら乱入する流れになったようだ。

 とはいっても、俺自身いい案が浮かびそうになかったためクレシオの提案に乗ることが最善かもしれない。


「分かった。何とかやってみよう」

「よし、それでは私は早速闘技場に向かうとしよう。ああ、君たちは自由にしてくれ。私一人で行く」

「待て、お前を一人にしたら危険だろ。俺も着いていく」

「確かにそうかもしれないが、闘技場の周りを三人で徘徊したら目立ってしまう。こればかりはどうしようもない」


 そう言って、クレシオはそそくさと部屋を出て行った。

 本当に一人で大丈夫だろうか。

 だが、クレシオの言っていたことも事実だ。ここは行かせるべきだろう。


 そして、部屋には俺とコユキが残った。


「よし、街を回るぞ。着いて来い」

「いや、ここにいたほうがいいだろ」

「クレシオは自由にしろと言った」

「はぁ、まあ他にやることもない。分かった」

 

 コユキに手を引かれ、俺たち二人は街に出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ