神都へ
「神都に?」
「ああ、あそこの神様なら大抵のことは知ってる。困ったことがあるなら訪ねてみて損はない」
そんな簡単なことなのだろうか。
神都の神となると、ここの王と同列かそれ以上の存在かもしれない。
王都で王城に入るのが難航している今、神と話すなんて。
考えるだけで気が遠くなりそうだ。
「心配そうな顔をするな。俺からの伝言を預けといてやる。そうすればすぐに話せると思うぜ」
「ユウリが同行するんじゃないのか?」
「俺は『大食館』のことをもう少し調べたい」
なら俺もそっちを手伝ったほうがいいのでは。
いや、ユウリとソフィアがこれから調べるのは『大食館』が全滅したか否か。
それに費やす時間は計り知れない。
だとすれば神都に向かったほうが早いかもしれないし、確実か?
「分かった。俺は神都に向かう」
「それじゃ、明日の朝までに手紙書いとく。俺の知り合いだから話を聞いてやってくれって」
俺とユウリがそんな会話をしている間、ソフィアは終始無言だった。
* * * * *
そうして翌朝。
俺は宿の前でユウリと話していた。
「はいこれ。神殿の門番にこれを見せろ」
ユウリから手渡されたのは封蝋を押された手紙。
俺はそれを手荷物入れにしまった。
「アルマ、ソフィア様になんか言わなくてよかったのか?ちょっとしょんぼりしてたぞ」
そういえば昨日神都に向かうことを決めた後、そそくさと話し合いを抜けてしまい、ソフィアに何も言ってなかった。
「俺の目的に協力してくれてありがとう、って伝えといてくれ」
「はいよ。そろそろだろ?急いで馬車乗り場行けよ?」
「それじゃ、またな」
軽く別れの挨拶をして俺は馬車乗り場へと向かった。
その途中、あの男と会った。
俺を騙る青髪の男だ。
「ん?ああ、君か。彼女を諦めて王都を出ることにしたのかい?」
男の周りには誰一人おらず、それゆえ男は取り繕うことなく下卑た笑みを浮かべた。
「お前、ここで何をしてる」
「君には関係ない。師団長補佐である俺は君のような者にかまっている暇はない」
「散歩するほどの暇人がよく言う」
再び相対してなお一層感じる嫌悪感。
俺はそれを隠すことなく言葉に出した。
「次に俺が王都に来た時、それがお前の化けの皮が剥がれる時だ」
「あそう。それじゃ俺はお前が恥をかくのを期待しておこう」
どこまでも癪に触る男だ。
俺は偽物を睨みつけたままその横を通り過ぎた。
そうして馬車乗り場まで来た俺は馬車へと乗り込んだ。
俺以外に四人が乗っていた。
その中で目を引く男が一人。
それは真白のローブに身を包んだ白髪の男。
男は俺を一瞥した後、口元に笑みを浮かべた。




