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はたして俺の異世界転生は不幸なのだろうか。  作者: はすろい
二章 王都ガルス
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目に見えぬ危機

「男の・・・死体・・・!?」

「『大食館』のメンバーだな。アルマ、気をつけて進むぞ。」


 人間の死体。見るのは今回で二度目だが、やはり慣れない。

 一方でユウリは冷静だ。

 そんなユウリを見て俺の方も落ち着いてきた。

 自分はハイテンションだったが周りの奴らが冷めていたらこちらも冷めるあの現象だ。


 俺とユウリは警戒しながら先に進んだ。

 地下にある部屋は三つ。

 一つ目は赤い絨毯に巨大な長机がある広間。机にはテーブルクロスが引かれ、その上にグラス、皿、ナイフ、フォークが並べられている。


「ここで食ってたのか」

「皿とかが置かれてるあたり、そうだろうな」

「おい、こっちには台所があるぞ」


 二つ目は台所。設備は何の変哲もないただのキッチンだが、その壁には巨大な肉切り包丁がかけられていた。そして何よりこの台所には血の匂いが充満している。


「部屋はこれだけか」

「いや、ユウリ。食糧庫が残ってる」


 三つ目は食糧庫。ただ、その中は見るまでもなく肉ばかりだろう。


「食糧庫は・・・。アルマ、戻るぞ」

「なぜ?」

「『窮地の察知』が反応してる。アルマ、お前の窮地だ」

「しかし手柄も何もなく帰るのか?」

「最優先すべきは命だ。生きてさえいれば幼馴染と会う機会はあるだろ?」


 ユウリはその額に冷や汗を浮かべ、俺を説得してきた。

 俺はユウリのその様子に危機感を感じ、その場を離れた。


 俺たちは来た道を戻り、地下から先ほどの暖炉のある広間まで戻った。


「早くここから出るぞ」

「あ、ああ」


 そうして、俺たちはアジトを後にした。


* * * * *


 時刻は昼時。

 俺たちは騎士団本部に来ていた。

 昨日と同じ部屋で、俺とユウリとソフィアの三人で話しあった。


 ユウリはアジトであったことを全て話し、最後は目ぼしい成果はないと締めくくった。

 ソフィアはそれを聞き、安堵を浮かべた。


「そうですか。ですが何事もなく帰還できたこと、それが何よりです」


 ソフィアはそう言うが、俺は手柄をあげれずじまい。

 エルと接触する機会を逃してしまったことになる。


「どうすればエルと・・・」


 思わずそんな呟きが漏れてしまう。

 ソフィアは俺の方を見て眉を顰め、ユウリは顎に手をやり考え込んでいた。


「『大食館』はどうなったんだ?」


 ユウリが呟く。


「メンバーの死体から察するに全滅したんじゃないか?」

「たった一人の死体で全滅と決めつけるのは良くない。他のメンバーが逃亡してる可能性だってある」

「ではこれからはその辺りを調べていきましょう」


 ソフィアは冷静に言った。


「それにしても食糧庫の先にいたのは誰だったんだ」

「処刑人ではないのですか?」


 ユウリの言葉にソフィアが返す。

 しかし、俺は処刑人とやらを知らない。


「処刑人ってなんだ?」


 俺は二人に質問した。


「『大食館』は仕事でヘマをしたやつを始末するんだ。その始末を任されているのが処刑人。まあ、俺たちが勝手にそう呼んでるだけだが」

「私たちは何度か『大食館』の一人を捕らえているのですが、その者たちは三日以内に首を落とされてしまうのです」


 それが食糧庫の先にいたのか?

 仕事でヘマをしたやつを始末、ということはそれなりに強いはずだ。ディールを始末することが出来るということだから。


「だが、多分そいつじゃない。処刑人程度なら、俺がアルマを守りながらでも余裕だ。『窮地の察知』が反応することは無い」


 なんだか鼻につくがまあいい。

 それは多分事実なのだろう。


 つまり、ユウリが俺を守りながらでは勝てない相手があの先にいた。

 なるほどそれでは仕方ない。


「だが、エル・・・」


 俺は再度呟いた。

 功績を得られず帰ってきた。

 王城を訪ねることが出来ない。

 いったいどうすれば。


「ならアルマ。お前、神都に来てみろよ」


 そんな俺を見かねたのか、ユウリは俺にそう言った。

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