作戦会議
「『大食館』ってニエ村を襲ったあの!?」
驚愕するソフィアを横目に、俺はユウリに質問した。
『大食館』。
ディールこと肉屋をニエ村に差し向け、村人たちの大半の命を奪った。
ディール自身も俺と、ユウリとの戦闘によりその命を落とした。
「その、『大食館』だ」
「そいつらをどうするつもりなんだ?」
「俺に課せられたのは『大食館』の調査と鎮圧だ。奴らのアジトはこの王都にある。そこに突入する算段を俺とソフィア様で話し合っていたんだ」
なぜソフィアがそんなことを考えているんだ?
王族には俺では知り得ない深い事情があるのだろう。
いや、そんなことはどうだっていい。
とにかく今はエルと接触する機会が欲しい。
『大食館』に突入し功績を上げれば、王城への立ち入りが可能になるかもしれない。
そうすればエルと接触することが・・・。
「ユウリ。その一件、俺に・・・」
「あの」
俺の言葉を遮り、ソフィアが声を出した。
「アルマがそこまでする必要はあるのですか?」
その口振りからは何か意図があるわけではなく、単純な疑問であることが窺えた。
「エルは俺の大事な友達なんだ。それにエルとサンタナ領に帰るとダグラスとスミシーに約束してきたから。だからこれは俺がやらなくちゃいけない」
きっと、ソフィアは俺を心配しているのだろう。
だから俺はその心配を払拭するように、強い口調で言った。
「分かりました。では話し合いの後、二人に『大食館』の調査と制圧を命じます」
「ユウリも来るのか」
「ああ、不満か?」
「いや、頼もしい」
こうして、俺たちは話し合いを進めた。
ユウリとソフィアは何やらいろいろ話していたが、俺が言われたことは単純だ。
『大食館』に突入し、そこにいるはずの『大食館』メンバーを無力化するということだ。
「ではよろしくお願いしますね」
話し合いを済ませた俺とユウリは騎士団本部を離れた。
作戦決行は明日。
俺たちは王都の宿屋の受付に来ていた。
「そうだ。ディールの死体、騎士団が回収したらしいぞ」
「なんでいきなりそんなこと言うんだ」
「一応お前も関係者だからな。言っといた方が良いだろ」
そんな会話をし、受付を済ませた俺たちは個別の部屋へと入った。
俺は部屋のベッドに寝転がり、天井を眺めた。
今日は濃い一日だった。
ようやくエルに会えたと思ったら、俺のことを忘れていた。
その後、騎士団本部に向かうとソフィアと再会し、そこで『大食館』の制圧を請け負った。
目が回るほど忙しない一日だったが、エルともう一度話す機会を得られそうだ。
「待ってろ、エル」
そういえば、どうしてソフィアは俺のことを覚えていたんだ?
俺の偽物からすれば、俺を本物とわかる奴はいない方がいいんじゃないか?
考えても分からない。
とにかく明日、『大食館』を制圧する。
全てはその後だ。




