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はたして俺の異世界転生は不幸なのだろうか。  作者: はすろい
二章 王都ガルス
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もう一つの再会

 俺は目の前の光景を疑った。

 俺の親友、エルリアル・フォートレスが俺ではない青髪の男をアルマ・エンブリットとよんだ。

 そして、青髪の男はアルマ・エンブリットを演じている。


 俺は、俺の動きを封じる騎士の手を振り払った。

 そして、偽物の元へと歩み寄った。


「おい、お前何のつもりだ?エルから離れろよ」


 俺は偽物を睨みつけた。

 しかし、偽物は動じないどころか、飄々としている。


「君はこの騒ぎを起こした少年だね?」

「そんなことはどうでもいい。今すぐ彼女から離れろ」


 精一杯の威嚇。

 しかし偽物の男は余裕綽々といった表情。

 俺と偽物との間に火花が散った。


 すると、その火花を掻き消すように割って入ってくる者がいる。

 それはエルだった。

 エルは偽物をかばうように両手を広げ、俺を睨みつける。


「エ、エル。そいつは偽物だ。目を覚まして」

「偽物じゃないよ!」


 エルの怒号に俺は肩を跳ね上げる。

 こんなに強く当たられたのは、喧嘩した時以来だ。


 その後ろから偽物が顔を覗かせる。

 その顔は俺を嘲る表情を浮かべていた。


「大丈夫だよ、エルリアル。早く本部に戻ろう」


 エルの肩に手を置き、彼女に偽物は呼びかけた。

 まるで俺に見せつけるかのように。


 その言葉に従い、騎士団本部に向かうエル。

 彼女は横を通り過ぎるまで、俺を睨み続けていた。


 そして、偽物が俺の目の前に立った。

 そして、耳元で話始める。


「まさか本物が来るとは驚きだよ」


 その声音は軽薄であくどいものだった。


「おおっと、荒事はよせ。俺は師団長補佐のアルマ・エンブリットだからな。お前もタダじゃ済まないぞ?」


 男は挑発するかのように言葉を発する。


「エルに何をした」

「さあね。本人に聞いてみればどうだい?ああ、彼女にとって君はもう他人だったね、これは失敬」


 薄ら笑いを浮かべながら話すこの男に虫唾が走る。


「ま、たまに僕を騙る人がいるんだ。エルリアルはそういう人は許さないから、気を付けてね」


 偽物は耳元にあった顔を離し、周りの人々に聞こえるように話す。

 その態度は先ほどまでの軽薄なものではなくなっていた。


「それじゃあ」

「俺から一つ助言しといてやる。本物はな、エルリアルじゃなくてエルって呼ぶんだ」


 俺は通り過ぎる偽物に声をかける。


「本物も何も、僕はアルマ・エンブリット本人だよ?」


 俺の言葉に動じることなく、偽物は去っていった。

 そして俺は周りにいた騎士たちに捕らわれ、連行された。


* * * * *


 連行された先は、騎士団本部。

 ひょっとすると、もう一度エルと話せるかもしれない。

 そう思っていたが、それは叶わなかった。


 俺を連行した騎士によると、師団長クラスになると王城にいることが多いらしい。

 国の中枢たる面々を加えた軍部会議が日々行われているとのことだ。


 やがて騎士たちの警告が終わり、拘束が解かれた。

 俺は落胆しながら本部内を歩いた。


 ようやく再会したエルが俺を忘れていた。

 いや、俺ではない男を俺だと認識していた。


 あいつは一体誰なんだ?

 なぜ俺の立場を奪った?


 エルに近づくこと自体が目的か?

 それもあり得ないことではない。

 エルは世界で有数の『魔法の申し子』。その戦力が目的だとしてもおかしくはない。


 考えれば考えるほど、あいつの目的について疑問が浮かぶ。


 いや、あいつの目的はどうでもいい。

 いま俺は、あいつを叩きのめしたい。

 そのためにもう一度エルとあいつに接触を図りたいところだが・・・。


「あれ?何でこんなとこにいるんだ?」


 すると、聞き覚えのある声が聞こえる。

 この声はユウリの声だ。

 前方を見ると、ユウリが歩いてきていた。


「お前、王城に行ったんじゃ・・・?」

「その用は済んだ。んで今は、用があってここに来てる」


 ユウリは小さく手を動かしながら話す。


「そうだアルマ、お前も来い」

「は?いや、お前の仕事だろ?」

「実はここで作戦会議的なのをしてたんだけど、その相手にお前のことを言ったら会いたいって言ってきてな」


 そう言って、ユウリは俺の手を掴んで引っ張る。

 俺はその手を振りほどくこともできず、引っ張られるままに歩いた。


「ここだ。注文のアルマ君、連れてきましたよー」

「え!アルマ!?」


 辿り着いたのは小さな部屋。

 その中から驚いたような声が聞こえた。


 中に入ると、そこには円形のテーブルが置かれ、その周りに椅子が四つ置かれている。

 その一つに座る者の顔を見て、俺は驚愕した。


「久しぶりですね、アルマ」

「貴方は・・・ソフィア!?」


 そこにいたのは王都ガルス第四王女、ソフィア・ティルフロアだった。

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