共通点
「久しぶりだなぁ〜、王都」
王都に降り立ったユウリは、中心に構える王城を眺めてながら言った。
かくいう俺も約十年ぶりの王都だ。
あの時は両親と一緒に来ていた。
その時の記憶と変わらない、活気に溢れた大都市の姿が目の前にあった。
「なあ?腹減らねえか?」
大きく伸びをしながらユウリは俺に話しかける。
確かに、馬車に乗って約三時間。
馬車に乗る前は、ディールと戦闘していた。
そのせいか、腹の中はすっからかんだ。
「そうだな、何か食べたいな」
「なら、着いてこいよ。知り合いがやってる店があるんだ」
そう言って、俺とユウリは王都の大通りを進んだ。
* * * * *
ユウリの後をついていくと、ある建物の前で止まった。
そこは木造の建物。入り口には『酒場』と書かれていた。
「ここだ、入ろう」
ユウリの声を合図に、俺たちは酒場に脚を踏み入れた。
「いらっしゃい!お、ユウリ!久しぶりだな!」
店のカウンターから渋い声で話しかけるのは、スキンヘッドの筋肉質な男だった。
「よう、グラル。相変わらず繁盛してんな。店主はこんなにおっかない顔してんのに」
「はっはっは!ウチは味で勝負してるからな!」
随分と仲がいいようだ。
あんな握手の派生型みたいなやつ、フィクションの世界のものだけだと思っていた。
ユウリは少しの間、店主と話していた。
その後、俺たち二人は店の隅にある卓に案内された。
俺たちは注文を済ませ、料理が来るのを待っていた。
「本当に混んでるな」
「ここはホントに美味いからな。店主にビビって入らないのが勿体無いくらいに」
確かにあの店主は強面だった。
前世だったらあだ名は『ヤっさん』だろう。
しかし、それほど美味いとなると楽しみだな。
「ところで、お前ニエ村まで徒歩だったんだろ?馬車乗ればよかったのに、何でだ?」
ユウリは突拍子もなく質問してきた。
俺がサンタナ領を出て、ニエ村まで徒歩だった理由。
それはただ一つ。
「魔物を殺すためだ」
王都に向かう道中、少しでも魔物を殺したいと思っていた。
効率的ではないのは承知の上で歩いていた。
「そうか・・・・・ほどほどにな」
ユウリは呆れと憐みを織り交ぜたような表情をしている。
「ほい!注文の品だぜ!」
俺とユウリの間に流れる神妙な空気を、グラルの明るい声音が払い除ける。
置かれた料理からは美味そうな香りが漂う。
俺とユウリは手を合わせた。
「「いただきます」」
「「え?」」
俺とユウリの声は示し合わせたかのように、寸分違わず重なった。




