表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はたして俺の異世界転生は不幸なのだろうか。  作者: はすろい
一章 ニエ村
30/148

王都へ

「気づいたか?」

「ツンツン頭・・・?」


 俺が目を覚ますと、そこには特徴的な髪型をした男がいた。

 男は俺の第一声にショックを受けている様子。


 そんな男の背景には白み出した空。

 先ほどまで真夜中だったことを考えると、どうやら俺は気を失っていたらしい。

 

 俺は全身についているであろう切り傷を刺激しないよう、ゆっくりと体を起こす。

 しかし、上半身を起こし体の状態を確認しても、体のどこにも傷は見当たらなかった。


「治癒魔法はかけたんだが、どこか痛むか?」


 自分の体を見渡す俺を見て、男は言った。


「ああ、ありがとう」

「お前、名前は?」

「アルマ・エンブリット、あんたは?」

「ユウリだ」


 ユウリは口元に微笑を浮かべた。

 俺はこのユウリに二度も助けられたようだ。

 肉屋との闘い、そして怪我の治療。


 そういえば、肉屋はどうなったんだ。


「なあ、あの肉屋はどうなった?」

「肉屋?ああ、ディールのことか。死んだよ」

「そうか」


 肉屋、名前をディール。奴は死んだらしい。

 そのことに驚きはない。

 ディールがユウリに斬られるところは見ていた。

 あれで助かることは無いだろう。


「その、ディールの目的は何だったんだ?あいつは誰に頼まれてここを襲ったんだ?」


 俺はユウリに質問した。

 肉屋の本名を知っていたことから、彼は俺よりも事情に詳しいと思ったからだ。


「まず知っての通り、ディールは肉屋だ。人肉専門の」


 それは知っている。

 知ってはいるが、やはり受け入れがたい事実に俺は固唾をのんだ。


「そんで、ここは肉の生産場。豚で言うところの養豚場だ。奴はここの村長とグルだったのさ」


 俺は驚きに目を見開いた。同時に納得もした。

 この村に若い連中が多かった理由。

 それはおそらく、ある一定の年齢に達すると出荷されるのだろう。


 そして村人には魔物に襲われただのと噓を吹き込む。

 だが、そんな話をただの村人や外から来た行商人に言われても信憑性に欠ける。

 しかし、それが村長なら話は別だ。


「この村は過去にある組織によって略奪された。それ以降、その組織の手によって養人場として運営されてきた」


 胸糞悪い話だ。

 この世界では当たり前なのか。

 そんな村でユウナは生活してきたのか。


 胸の内に怒りが沸々と湧いてくる。


「その組織ってなんだ」

「『大食館』。美食家達の集まる組織などと銘打ってはいるが、その実、カニバリズム好きが集まった変態集団だ」


 ユウリは滔々と語り続ける。


「あいつらのモットーは、“幸福な食卓を追い求める”。そのためなら人の命を度外視したこともやってのける頭のおかしい連中さ。」

「そんな奴らのために・・・ユウナが・・・・・」


 俺は歯を噛み締め、拳を地面に叩きつけた。

 その拳を横から白く綺麗な手で優しく包まれる。


「私がどうかした?」


 俺の手を握ったのはユウナだった。

 ユウナは首を傾げ、俺の顔を覗き込んでいる。

 目の前の状況に驚きを隠せない俺は、口をパクパクさせながらユウリに目線を送った。


「ああ、村人の何人かは一命を取り留めたよ。とくにその子はギリギリだった。魔力が限界まで搾り取られていたから」


 ということは、ユウナが死んだというのはディールの勘違いか?

 いや、あいつなら俺の気を乱すために、わざと言いかねない。


 そんなことはどうでもいい。

 ユウナが生きている。その事実さえあれば。


「ええ?ちょ、ちょっとアルマ?大丈夫?」

「ああ、大丈夫。ありがとう」


 俺はユウナの手を握り返し、安堵の涙を流した。


* * * * *


「ねえ、これからどうするの?」


 落ち着いた俺に、ユウナは話しかける。


「王都に向かう」


 俺の目的の一つ、エルとサンタナ領に帰ること。

 そのためにエルと顔を合わせたい。


「私も行っていいかな?」


 ユウナはおずおずと言った。

 彼女の突然の発言に俺は戸惑った。


 彼女の目はまっすぐ俺を見据え、曇りは無い。

 その目に俺は言葉を詰まらせるが、しばらくして答えを出した。


「ダメだ。ユウナはここに居ろ」


 今回、ユウナは死の淵に立たされた。

 俺の旅にユウナを同行させたら、もう一度今回のようなことが起きる気がしてならない。


「俺が強くなったら、迎えに来る。それまで待っていてくれ」


 今回のようなことを防ぐために、俺が強くならなければいけない。

 俺が十分に強くなった、その時こそ一緒に旅に出よう。

 そんな決意を持って、ユウナに告げた。


「え!あ、え~と。う・・・うん」


 ユウナは俺から顔を背けた。

 しかし、その耳は赤く染まっている。


「王都に行くなら、俺と来いよ。俺も王都に用事があるからな」


 ユウナとの会話を聞いていたユウリが話しかけてきた。

 その提案を断る理由は俺にはない。


「ああ、よろしく頼む。ユウリ」

「こっちもよろしくな!アルマ!」


 ユウリとの握手を交わした瞬間、視界が青く光る。

 こうしてニエ村での一件は終わり、俺と『英雄』の旅が始まった。

ニエ村編、完!

ここの展開おかしくね?とかあったら言ってください。場合によっては加筆させていただきます。大本の展開は変えません。

あとルビ振りってどうやるんですか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ