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はたして俺の異世界転生は不幸なのだろうか。  作者: はすろい
一章 ニエ村
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縁もたけなわ

 宴は終わり、村人が寝静まった夜。

 俺は村人から空いていた家を使っていいと言われ、その言葉に甘えることにした。

 俺はその中で眠っていた。


 しかし、ブチッという音とともに目を覚ます。

 音の正体は、スミシーから受け取った首飾りが勢いよく千切れた音だった。

 母の形見が千切れたことを残念に思うと同時に、その様子を不審に思った。


 なぜなら、この首飾りにはスミシーの状態異常耐性が施されている。

 それが千切れるというのに、どうにも嫌な予感がした。


 そして、俺は剣を携え、村の見回りを行うことを決めた。


 外に出ると、空には星が瞬き、月が輝きを放っていた。

 

 そんな夜に見回りをしているとどこかで物音が聞こえる。

 何者かが木の枝を踏んでしまった音だ。

 音の聞こえた方へ静かに近づくと、そこには一つの人影があった。

 その人影は村人たちの家を見て回っているようだった。


 俺が貸してもらった家もそうだが、村人の家にはドアがついていない。

 つまり、誰でも家の中を覗けるし、侵入することもできる。

 村人だけならその設備でも問題は無いのかもしれないが、外から来た盗賊からすればこれ以上ない絶好のカモだろう。


 そんなことを考えながら俺は人影に近づく。

 なるべく音を出さないように、感づかれないように。

 そして、俺はその正体を見た。


「うわあ!またですか!いきなりはやめてくださいって言ったでしょう!?」


 村人の家を見て回る人影の正体。それは行商人だった。


「お前、何してるんだ」

「え?ああ、村人たちの様子を見てたんですよ」


 なぜ行商人であるこいつがそんなことをしなければならないのか。あまりに不自然だ。


「ほら、ここはユウナさんの家みたいですよ」


 行商人が指差した先には静かに眠るユウナがいた。


「人の寝相を見るなんて、いい趣味とは言えないな」

「あはは・・・」


 行商人は笑ってごまかした。

 俺は家の入口にいる御者の前に立ち、ユウナの様子を見た。


「にしても本当によく寝ている。随分深い眠りについてるみたいだな」

「ええ。今さっき死にました」

「そうか」


 俺の後ろから行商人は声を発した。


 ・・・・・ちょっと待て。

 今なんて言った?死んだ、そう言ったのか?

 行商人が言い間違えたのか?いや、だったら言い直すはずだ。

 それとも俺の聞き間違いか?


 俺の頭の中は混乱する。

 そして俺は、行商人が発した言葉の真意を知るため、奴に向き直る。


 振り返った俺の目に最初に飛び込んだのは銀色に輝く短剣だった。


 俺は顔の寸前まで迫った短剣をバックステップでかわす。

 行商人の目には鋭くぎらつく殺意が宿り、その口角は大きく上がり、凶悪な牙のような歯をむき出しにしていた。


 行商人は何も言わない。そして、俺も同じく何も言わない。

 分かることは一つ、行商人との戦いは避けられないということだけだった。

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