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はたして俺の異世界転生は不幸なのだろうか。  作者: はすろい
一章 ニエ村
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ニエ村へ

「村が襲われてるの!助けて!」


 ユウナは助けを求めた。

 その表情には焦りが見える。


「魔物か?」

「お願い!」

「おい、魔物か?」

「え?う、うん・・・」


 俺は彼女の必死の頼みを無視して質問した。

 村を襲っているのが魔物であるか否か。それは俺にとって最も重要なことだ。

 もちろん、魔物でなかったとしても助けはする。

 相手が魔物でないからと言って、死にゆく者たちを見捨てるほど人でなしではない。

 しかし、その心構えは変わってくる。魔物ならば必ず殺す、そうでないなら可能な限り生かす。そういった違いだ。


「分かった」

「じゃあ今すぐ来て!」

「分かった。しかし、今から向かうとなると遅くなりそうだな。馬車でもあれば・・・」


 言っている途中で、音が聞こえた。車輪が地面を踏む音だ。

 音のする方を見ると、馬車が見える。夕暮れでわずかに見えづらいが、あれは馬車だ。おそらく、行商人のものだろう。


「あの馬車に乗せてもらおう」

「で、でも行先は違うんじゃ」

「頼み込むだけでもしてみよう」


 そういって俺とユウナは馬車の方へ向かった。

 馬車はゆったりとした速度だったために、すぐに追いつくことが出来た。


「おい、ちょっといいか」

「え?なんです?」


 行商人は男とも女ともとれる身長と顔立ちをしている。


「これからどこに向かうんだ?」

「ニエ村ですけど・・」

「私たちの村だ」


 偶然にも向かう先は同じらしい。ならば答えは一択だ。


「俺たちもそこに向かいたい、乗せてくれないか?」

「え?で、でも・・・」

「村が魔物に襲われてるの!お願い、乗せて!」

「え!それは急ぎましょう!」


 魔物に襲われている村に向かうことを即座に決めるとは、随分と勇気のある行商人だ。

 容姿に見合わず、肝が据わっているらしい。


 俺とユウナは荷台に乗り込む。


「乗りましたか?つかまっててください!飛ばしますよ!」


 行商人は握った手綱を使って、馬を加速させる。

 いきなりの加速に倒れそうになった。

 俺たちが乗った馬車は草原を横断し、山の方へと向かっていった。


 * * * * *


 俺とユウナの乗った馬車は草原を抜け、山の中へと入っていく。


「商人、一つ聞いていいか?」

「何ですか?」

「これから向かう先には魔物がいる。どうして危険な場所に向かう?」


 勇気があるのは結構だが、その先で命の危機が待っているのは事実。

 そこに赴くなんて、言ってしまえば自殺行為だ。

 行商人の行動には少し引っ掛かるところがある。


「ニエ村は大事な取引先なんです。あそこに何かあったらボクの生きる道が無くなる。だから向かうんです」


 見上げた商魂だ。

 あくまで商売道具を気に掛ける。

 人命を軽視しているわけではないだろうが、その心意気はまさしく商売人だ。


「ねえ?この布は何?」


 ユウナは荷台に置かれていた布を手に持って質問する。

 真っ白で大きな布、それが何枚もある。


「それは商品を包むものです。運んでるときに汚れたりしちゃいけませんから。寒かったら使っていいですよ」

「取引先はニエ村以外にあるのか?」

「ありますけど、今日はニエ村だけです。それがどうかしました?」

「いや・・・」


 煮え切らない俺の態度に行商人は首を傾げる。

 だがすぐに切り替え、俺たちに注意喚起をする。


「加速しますよ!気を付けてください!」 


 さらに加速した馬車は山の奥へと突き進んでいく。

 木々の隙間から夕暮れの空を彩る陽が見える。

 このままいけば夜になる前に着けそうだ。


「間もなくですよ!」

「俺は魔物たちを殺して回る。自分の身は自分で守ってくれ」

「それは大得意です。任せてください」


 視線の先には、目的の村の入り口があった。

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