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聖女あわ雪、色々知る

お読み頂きどうもありがとうございます、嬉しいです。


万年悩まされている頭痛がここ最近ひどく、今後は週1回位の更新になるかと思います、すみません。

「美味しい!このお茶とっても美味しいですミルドレッド様!」

「まぁ良かったです」

「んん〜この鼻を抜ける清涼感と、フワッとお花が香る感じが最高です!」

「そうなんです!爽やかさが特徴の夏宵草に、香り高い事で有名な白花を混ぜましたの。それにあと3つ、特別なお花と葉を忍ばせてます」

「元の世界にあった大好きなお茶に似ています!それはジャスミンティーっていうんですが。んーー美味しいですね〜!」

「ふふ、喜んで頂けて嬉しいです。沢山作ってありますので、明日にでもあわ雪様のところにお届けしますね」

「えっっ良いんですか!?とっても嬉しいんですけどお返し出来るものを持っていなくて…」

「まぁ!そんなもの必要ありませんわ、私の作ったお茶を美味しいと言って下さって嬉しいのです。どうぞお気になさらないで下さいね」


ふふ、と微笑むミルドレッド。嬉しくてあわ雪も微笑み返すと、急に足元がピリピリしてぞくりとする冷気が忍び寄ってきた。あわ雪はひくりと笑みが強張ったが、頑張って保ったままミルドレッドに助けを求める事にした。


「ミ、ミルドレッド様、あの、婚約者様のご様子が…」

「リゲルですか?」


ミルドレッドが自身の後方に立つリゲルを振り返る。

するとたった今まで視線だけで人を殺せそうな顔をしていたリゲルだったのに、一瞬で捨てられたチルチル草の様な憐れみを誘う表情に変わっていた。


(ず、ずる!姑息!)

あわ雪はリゲルの変わり身、もとい変わり顔の早さに唖然とした。


「まぁリゲル、何があったの?」

「…私の方が美味しいと思っている」

「え?」

「私の方が何倍も世界一ミルフィの作る茶を美味しいと思っている!」


(張り合ってきたーーーー!!!)


ミルドレッドのお茶を他人が美味しいと言ったからって、まさか負けじと主張してくるとは。あわ雪はこんな人本当にいるのかとある種のショックを受けた。


(いやヤバいガルガイア公爵子息、溺愛どころか執着どころかベクトルおかしめのヤンデレ気配漂いすぎぃ。

千倍返しだし直接の脅しだしお茶で張り合ってくるし、多分この人年季の入った筋金入りの同担絶許の過激派であると推察。こ〜れ〜はミルドレッド様との定期的なお茶会ゲットの為にも、彼女のこれからの未来の自由な生活の為にも、BADな方向に突っ走らないように刺激しないようにしよ!必要以上に彼女に近づかない様にしよ!監禁ダメ絶対)


「まぁリゲル、どうもありがとう。」

ミルドレッドはにっこりリゲルに笑いかけた。


「このお茶、試作が完成した時リゲルに試してもらったでしょう?その時リゲルがとても美味しいよって言ってくれてすごく嬉しかったの。早速量産して市場に卸そうって言ってくれて、それで沢山の方からご好評頂けたのは、全部リゲルのおかげなのよ」

「ミルフィ」

「リゲルが美味しいって言ってくれたから私も自信を持って出せたの。ありがとうリゲル、感謝してるわ」

「私のミルフィ、君の配合が天才的に美味だったから皆に喜ばれたんだ。でも私もミルフィを手伝えたならこれ以上の喜びはないよ」


(素で対応して暗黒魔王をにっこり騎士に戻してる!ミルドレッド様最強説!!)


すっかり機嫌の直ったリゲルは、先程の態度が嘘の様にまたミルドレッドの後方で微動だにしない護衛騎士の鑑に戻った。


「す、素敵な婚約者様ですね…。こちらの世界では幼い頃から婚約者がいるというのが普通なんですか?」

「ありがとうございます、リゲルはとても優しい婚約者なんです」

「優しい」

「ええ、昔から、自分の事より周りを見てくれているんです。初めて会った時も、その後もずっと、リゲルにはどれだけ助けられて支えてもらっているか数えきれない位です」


(なるほど…ミルドレッド様だけを徹底的に愛して守って尽くしてるんだなぁ…ちょっと情緒がおかしいけど)


「私のいた世界で、ガルガイア公爵子息様くらい完璧な方は見た事ありません。誰よりも優秀で、誰よりも強くて、お人形みたいな精巧な美しさ、背も高くて細マッチョ、えーとしなやかで強靭な身体をお持ちで、ちょっと有り得ない位凄いです。お話の中の主人公みたいです」


(しかも一途で溺愛って恋人最高峰だよなぁ情緒やばいけど)


あわ雪は自分の思った事にうんうん頷きながら、ミルドレッドの淹れてくれた美味しいお茶を飲んだ。


「“ちーと”と言うのですよね」

「ブフゥ!!!!!!!!」

「聖女あわ雪さま!!どうなさいました!?」


お茶を飲み込んだ後で良かった、あわ雪の不作法をミルドレッドは心配してくれ、リゲルは無視している。


(ちょ誰!この可憐な美女にチート教えたの誰!)


「ちちちチートですか?この国の言葉ですか?」

「いえ、隣国の王女様に教えて頂きました。隣国に3年前にいらした聖女様が教えて下さった言葉だそうです」

「え、隣国にも聖女様いるんですか!?あ、すみません、私この国の歴史と一般常識で精一杯で、周辺国の情勢とか歴史とかまだ何も勉強出来てなくて」

「こちらにいらして下さってまだ二月ですもの、当たり前ですわ。この世界では各国に精霊の森があって、そこに呼ばれし者があれば、聖女様が降臨されるんです。多くの国がありますが、聖女様聖人様が現在いらっしゃる国は5つだったと思います」

「なるほど」


(転移組5人もいた!!!え、てか、え?み、皆結構カジュアルに転移キメちゃってる感じ?しかもそのニュアンスでチートって、やっぱり日本人だよね?え、何、やっぱこの世界乙女ゲームか何かなの???太陽暦で日にち数えてるし、下水道の雰囲気とか、なんかちょこちょこ地球と同じだなーとは思ってたけど、そういう事?)


「隣り合う国どちらにも聖女様が降臨されるのはとても珍しい事なんです。3年前に隣国に聖女様が降臨された時に、私達はこの国にはまたしばらく聖女様はいらっしゃらないんだなと思いました。ですからあわ雪様が来て下さって、私達とても嬉しく思っているんです」

「そうだったんですね」

「友好国ですから、あわ雪様もいつか隣国の聖女様と会われる日が来るかと思いますよ」

「なるほど」


(ハッッ!てかヤバい!もしその隣国の日本人らしき聖女様に会う事になって、「あわ雪って何?厨二ウケる」とか言われたらどうしよう恥ずかしいが過ぎる。あああ痛恨のミス」


そう、転生転移の物語をこよなく愛していた彼女は、初めてこの国の人、ディバルバイドに出会い助けて貰った時、彼が魔法を使うのを見て、

(これはうっかり本名名乗っちゃうと制約魔法とかで奴隷契約されちゃうアレじゃ…読んだ事あるー)と恐れた。

なので名前は?と聞かれた時、とっさにSNSで使っていたハンドルネームを伝えてしまったのだった。


(まさかこんなに良い人ばかりだとは…でも実は本名じゃないんですとか今更無理無理むり)


聖女あわ雪の目下の悩みは、親切にしてくれる皆にいつ本名を伝えようか、という事だった。




お読み頂きどうもありがとうございます。

ブックマーク、星マーク評価、拍手とても励みになります、感謝です。


今後、週1回位の更新になってしまうかと思います、すみません。


誤字報告下さった方、大変助かりました、

どうもありがとうございます、感謝です。

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