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爆縮と体温の機知(10)

忘れ酒

動かない空気の厚さが

しらばっくれた時間の流れで

スタスタと歩く

先ほどまでの感覚がスッと抜け

通常に戻る

気まずさの残り香はあるが

気にするほどでもない

永遠に残るものではないからだ

障子でも開ければ

そこから混ぜ合わさる


砂利道から横に外れ

アスファルト道に変われば

赤提灯の店が見え

左手先に少し歩けば

野ざらしになっている電飾看板が

寿命が分からなくなったように

ボヤけた明かりを

トーントーンと夜街に鳴らし

全く響かない音が

新しい音にかき消される

明るさの差で

人の出入りが違うように

外見によって

他人の評価の出入りが違う

糞ったれな世の中ではなくて

どう取り繕っても

変わらない価値観である

趣向や趣味は変わっていても

変わらないのだ


どうでもいいことだと

心情の隅っこに保険をかけても

特に意味は無い

グラスの中の水割りの音は

氷の意味が無いほど

直ぐに空になっていった

飲み過ぎだろうと

天井の不思議なライトを見ながら

思っていたが

トイレに立った足取りで

まだ大丈夫なことを確認できた

相手が落ち込んでいる時に

酒に付き合うのは骨が折れる

酔えない酒ほど

面白くないものはない

苦笑いしていたスナックの女性が

一瞬だけ真顔になった

一息の顔の方が

セクシーだったとは言うまい


タクシーに面倒を詰め込み

運転手にお願いしながら

コンビニを二軒も経由して

アパートまで送った

そこからは歩いて帰る

終わった話は

終わった話として

片付けて忘れる

世の中で一番

仕舞い込んで忘れて良い物だ

白い猫が横切った

青い目が綺麗である






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