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愚か者

作者: 関 真菜

さよならを言えない私は愚か者だろうか?

私は自分のことを愚か者とは思わない。

しかしそう思わない私こそ愚か者なのか。

正直寂しいと思った、だがずっと彼女は戻ってくると思っていた。

しかし彼女は男と歩いていた。

決して浮気ではない。

だってもう別れたから、でも君のそんな笑顔見たら、私はどうすればいい?

君のマグカップだって、君のシャンプーや歯ブラシ、君の布団、私のスマホに入った君の何枚もの写真、君を思い出すには十二分すぎる。

今更わかる、君の大切さ近くにいたのに気づけなかった、むしろ私には近すぎてしまった。

単純にどっちの方が悲しむと思う?と聞かれたら告白をしてきて愛してくれた君だとほとんどが思うかもしれない。

だが事実は違う、冷たい態度をとって当たり前のように思っていた私の方がきっと彼女の何倍も悲しんでいるんだろう。

私は彼女に変えてもらった。

彼女といるときは笑顔になれたし、だんだんと彼女をすごく好きになっていった。

今までとは違う感情も彼女が教えてくれた。

それを直接言いたいと思っても言えず、後悔しているうちに、彼女は別れを告げ出て行っていた。

時間が経つにつれて寂しさがどんどんこみ上げてきた。

君に会って話がしたいと思っていた。

戻ってきたら謝ろう、次会ったら謝ろう、謝りたい。

そんなふうに思っていた時に会った君。

君は気づいていない、本当に隣の男に恋をしているとわかる。

いざ謝ろうとするものの、もしも気持ち悪いなんて言われたらと想像すると足が竦む。

そして、心がもうあの関係には戻れないと言い、

私もまたそれに逆らえないでいる。

だからもう別れの言葉も何も言えずにいた。

私は見えなくなってゆく彼女の進む向きに逆らうように帰路を辿る。

家に着き君がいた証を捨てる。

残ったのは1つの写真立てだけ。

今できる精一杯をやり尽くす。

今思えば、謝ると言うのは本心ではなかったと思う。

ゴミ袋を見ると名残惜しくなる。

そうこうしているうちに夜になり、君に言う言葉が浮かんできた。

「ありがとう。」そう言いたい。単純な一言でも本心からそう思った。

だから次会ったときに言うんだ。

「今までありがとう。恋をしてくれてありがとう。恋愛を教えてくれてありがとう。だからこそ、恋をしている君には申し訳ないが、まだ君のことを愛していさせてください。」

次は失敗をしない、君に言うべき言葉を見つけたから。





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