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終末から来た男  作者: 北田 龍一
第二章 ホラーソン村編

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輝金属

前回のあらすじ


 宿で休む晴嵐の元にテティがやってくる。用事は『悪魔の遺産』についての事で、森の一件を外部に漏らさないように伝えた。ついでに『悪魔の遺産』の詳細を聞く晴嵐。どう考えても「銃器」としか思えないソレや、今まで感じた諸々から『この世界の千年前』に興味を抱く。

 この世界を把握しきれない事を嫌い、晴嵐はそのまま『この世界の魔法』について質問した。

 テティから譲り受けた『ライフストーン』にも、魔法についての記述がある。

 晴嵐は空き時間を使って、少しずつ読み進めていたものの……やはり理解しきれるものではない。こちらの住人から、直接説明を受ける事も必須だ。ばつが悪そうに、晴嵐は言い訳する。


「一応流し読みした。が、正しく理解できたとは思えん」

「ちょっと?」

「これでも努力はした。したのじゃが……全く知らん技術なんじゃよ、この『魔法』言うモンは……」


 こっちの住人に『科学技術』を教えようとすれば、きっと同じような感触になるのだろう。それだけ『全く身に覚えのない新しい技術の会得』は大変な労力を有する。若い人間ならともかく、年を喰った人間には非常につらい。晴嵐は精神的に老人だが、今肉体は若返っている。どちらに判定していいか微妙な所だ。

 なれどこの『魔法』と呼ばれる技術形態は、ユニゾティアでは当たり前だ。最低限の知識を持ち、取り扱い出来なければ、生活にも難儀するだろう。頭と目をグルグルと回しながらも……異世界の技術形態を、晴嵐は捩じ込んだつもりである。


「基本ぐらいは覚えた。この世界の『魔法』は、専用の金属を通すことで発動できる……だったか」

「そそ。私の魔法の旗も、ボルトレイピアやヒートナイフ、ライフストーンやメール系統も……この世界の『魔法』は特殊な金属……『輝金属』を通して発動するモノよ。この前もちょっと話したけど、主な生産先はドワーフね。人魚族も僅かに生産しているわ」


 あの不思議な力は、常に『輝金属』を通して発動するモノ。今までの記憶を探ってみても……魔法とやらは常に『道具』や『金属』を通して発動していた。ただ念じれば発動する、という訳ではない。一定の法則やルールが存在している。


「発動する魔法の種類は、この『輝金属』の成分や加工方式によって決まるわ。ヒートナイフは熱や炎を発生させるけど、代わりに他の魔法は使えない。基本は一つの金属で、一つの魔法属性しか発動は不可能よ」

「つまり……色んな魔法を使いたいのならば、その分道具を用意せねばならんのか」

「正解! 例外もあるけれど、基本はそれで大丈夫」


 にっこりと微笑むテティにつられ、晴嵐も軽く肩の力を抜く。次の説明に入る前に、彼は懐から道具を取り出した。この世界で購入したヒートナイフだ。


「購入したのね」

「うむ。お主の薦めの通り『魔導式』をの……」


『輝金属』による魔法の発動には、二つの方式が存在する。

 理解したと伝えるべく、晴嵐は道具を弄りつつ語り始めた。


「魔法の発動には二種類ある。使い手への依存度が高い『魔術式』と、簡単な思念で発動できる『魔導式』。後者の方が簡単かつ手軽に扱える。初心者向けと書いてあったな」


 軽く『使う』と念じると、握ったヒートナイフが熱を帯びる。『止めろ』と念じ直してやると、通常のナイフへと戻った。


「ちゃんと使えるようになったのね。安心したわ」

「あぁ……そして注意点もな」


 ナイフのグリップ部を操作すると、小さな青色の金属が飛び出す。四角い小さな金属の塊は『魔法用の電池』と言える性質を持っていた。


「『魔導式』はこの『カートリッジ』をセットしなければならん。こいつは内部にエネルギー……魔力を溜め込んでおるが、これが切れると発動できなくなる。その時は残量のある『カートリッジ』と入れ替える必要がある」

「仕組みの把握、早いわね」

「似た仕組みの道具があった」


 ちょうど『電池』と『電化製品』の関係に近い。だがこの魔法の電池は、充電方法が記されていなかった。基本は店で購入し、魔力切れの『カートリッジ』は店へ返却する形になっている。返却しつつ購入する場合、何割か割引で仕入れることが出来るらしい。

 所謂『充電』は出来ないのだろうか? 試しに聞いてみた。


「この『カートリッジ』は、自前で魔力を込め直せないのか?」

「セイラン、本末転倒って知ってる?」

「うん?」


 紫の瞳が生暖かく彼を見つめ、失言だと気づく。おかしな事と自覚できず、テティに細部を訊ねた。


「……こんなん誰だって考える事じゃろ」

「あのねセイラン? その『カートリッジ』は魔法への理解が浅い人でも、魔法を使えるようにする装置……魔力源なのもそうだけど、簡単な思念一つで発動できるよう簡略化する道具なのよ?」

「それで?」

「確かに気力を変換して、魔力を込め直すことは出来るわ。ちゃんと魔法の仕組みを理解できる人ならね」


 無知を自覚した晴嵐は、低く声を鳴らして顔を背ける。追いうちめいたテティの解説が、耳に痛かった。


「あー……つまりあれか。『魔導式』の道具は学のない奴でも魔法を使える仕組みで……『カートリッジ』への補給は、魔法への知識がないと出来んのか」

「そういうこと。だから『カートリッジ』に魔力を込め直せるなら、もう魔法への理解が深まっている。それなら『魔導式』じゃなくて『魔術式』使って良くない? って話になるのよ」

「その『魔術式』言う方式がよく分からん」

「でしょうね。今の質問もそうだけど、無理解がひしひしと伝わってくるもの」

「恥なのは分かっておるが……大目に見てくれ」


 ここまで頭に入れるだけでも大変だったのだ。努力を認めてほしくはある。これでも全然、ユニゾティアの常識に届いていない。それは承知しているし、あんまり甘えすぎるのも良くないと認識しているが……


「ま、往来で恥をさらすより、私の前で済ませるべきよね。だから……思いっきり私に笑われなさい?」

「こんっの……クソババア」

「あらやだ怖い」


 役得と言わんばかりに、くすくすと上品にテティは笑う。

 結局反論は叶わず、晴嵐は講座を聞くほかなかった。

用語解説 (今回は重要です)


輝金属ききんぞく !超重要!


この世界において『魔法を発動するための鍵』

晴嵐が今まで見て来た未知の技術形態、不思議な現象は『輝金属』を通さなければ発動できない。基本的に『一種類につき一属性』の魔法が起動する。複数の属性を使いたければ、使いたい分だけ輝金属を用意する必要がある。


魔導式 (ついでにカートリッジも解説します)


 輝金属から魔法を発動する方式には二つある。

 その一つの『魔導式』は魔法の電池『カートリッジ』を挿入することで発動できる、電化製品と電池の関係に近い方法だ。ライフストーン同様に、軽く『使う』と『止めろ』だけで行使できるので、晴嵐にさえ使用可能。

 ただしエネルギー切れを起こすので、その前に買い替えたり、予備のカートリッジを用意しておく必要がある。所謂充電も可能だが、それが出来る人間は次回解説する形態、『魔術式』を用いる人がほとんどだろう。

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