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終末から来た男  作者: 北田 龍一
第七章 聖歌公国・後編 ダンジョン編

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ダンジョンの法則

前回のあらすじ


またしても案内役により、強制的に転移させられたルノミと晴嵐。押し寄せる様々な『エネミー』に苦戦を強いられながら、何とか全員撃退する。息を整えたのもつかの間、彼の頭上から天井が迫り、押しつぶしたようだが……

「ったく! お前ら二人とも粘り過ぎだぜ! 出来れば、こういう理不尽なやり方は避けたかったが……まぁ、何だ。時間も巻きたいし、後でボーナスやるから勘弁してくれ。二人とも」


 死んだ。と思った。晴嵐もルノミも、ほとんど考える余裕も、対応する時間も無かったが、これは確実に死ぬしかない。天井と地面で挟まれたら、生身だろうと金属だろうと、破壊は免れない。

 なのに、だ。二人とも確かに死神リーパーの言葉を聞き、理解が出来ている。圧死した痛みも残っておらず、暗転した視界がゆっくりと戻っていた。

 ――最初の地面だ。真っ白な水面みなものような世界。目を開いたのか、何をしたのか分からぬ。死ぬしか無かった場面なのに、どうにか死んでいない……らしい。

 信じられない事に、他の参加者たちも同じ場所にいる。動揺広がる中、地球出身の二人も体の無事を確かめていた。


「な、な、なんで……何が起こった?」

「死、死ぬかと思った……」


 死んだ筈なのに、死んでいない矛盾。痛苦もまるで残っておらず、まるでリアルな夢から覚めた後のような……極めて形容しがたい感覚が湧き上がった。目を白黒させる彼らに対して、案内人がやや申し訳なさげに笑った。


「あー……悪い、厳密には一回死んでいるぞ。お前ら」

「何を言っておる。死んだらこんな風に喋れる訳が……」

「死んでも生き返る事が出来ちゃうんだなぁ、これが」

「お主は何を言っているのだ」


 ここは魔法の世界、ユニゾティア。未知の技術や現象は見て来たが、死者の復活だけは無かったと思う。もし蘇生魔法がこの世界に存在するのなら……例えば『レリー暗殺事件』の意味がなくなる。

 暗殺を実行した所で、復活が叶うなら……要人を暗殺しても蘇生が通ってしまう。死んだら生き返れない、絶対的な生命のルールがあるからこそ、殺人の罪は重く、要人の暗殺は効果的になる。それをここは覆せると?


「どういう事だ? ダンジョンでは生死は軽いと?」

「うんにゃ、重いぜ? 復活できない訳じゃないが、タダじゃあない。お前ら、ライフストーンは持っているな? 試しに開いてみろ」


 言われるがままに、全員が緑色の石ころを取り出す。開けと念じ、発生した映像に何人も戸惑った。

 ――表示される情報が、いつもと異なる。

 ある者は『地図を開け』と思い浮かべ、ある者は『メモを開け』と念じたのに、表示されたのは『迷宮ダンジョン内ステータス』と呼ばれるモノ。初めての情報に首を捻る中、ルノミだけは順応が早い。「あ、これギルドカードとか、冒険者ランクの奴だ」と呟いた言葉は、誰にも理解が出来なかった。

 だから、チュートリアル役が説明をする。


「ダンジョン内でライフストーンを使うと、専用の表示になる。基本は自分の事を確認するために使うが、相手に好きな部分だけ見せれるぜ。んで、今お前らに見て欲しいのは――表示右上にある『所有ポイント』だ。

 このポイントは……迷宮でお前らが行動すると溜まっていく。敵をブチ殺す。新しい階層に入る。畑作ったり、鉱石掘ったり、ともかく『お前らが迷宮内でやった事に応じて、自動でお小遣いが入る』って思えばいい」

「お小遣い……って事は、通貨みたいな物か?」

「概ねそれで良し! ダンジョンの基準にはなるが……囚人だろうが富豪だろうが、ここで使える通貨はその『所有ポイント』だけだ。正式名称は『ラピス』っつーんだが、みんなポイントポイントって呼ぶから、もうそれでいいよ……」


 どことなく拗ねた空気の案内役リーパー。変な空気が流れる前に、リーパーは『ダンジョン内の死』についてのルールを話した。


「ここで死んだ場合……蘇生や復活って方法がある。このポイントを消費して、ダンジョンの入り口に戻る事が出来る」

「流石に、ノーコストとはいかないか」

「当たり前だ。今回はチュートリアルだから、多少和らげたが……死ぬときの傷や苦痛も残留する。それもリスクやコストっちゃあその通り」

「あ、あの……ポイントを払えなかったら?」

「そりゃ死ぬだろ。普通に死ぬ。まぁ救済手段もあるっちゃあるが、受動的だな。死んだときにポイント払う以外の方法で、ダンジョン内で死んだ奴を蘇らせる事は『できる』が、事前に準備するか、生きている誰かに復活させて貰うしかない。祈れ」


 死んでもノーリスク、なんてウマイ話は無い。むしろ死んでも『救済手段があるだけマシだと思え』と、案内人からの無言の圧を感じた。

 他にもソイツは、いくつかの事を話す。


「ダンジョンは『10の倍数の階層が安全地帯』になっている。モンスターは出現しないし、そのポイントを使ってお買い物も出来る。なんならココの中で生活してる奴だっているから……外の世界が合わないなら、それを目指してもいい。お前らの自由だ」


 外にも『迷宮教徒』たるカルト集団の存在があるが、内部にもいるのだろうか? まだまだ情報も説明も足りないが、晴嵐は既に身構えていた。

 ――話し方からして、そろそろ説明の終わりが見えて来ていたから。


「さて、まだまだダンジョンの秘密はあるが……全部ベラベラ喋っちゃぁ味気ない。ここから先は、お前ら自身の眼で確かめてみるんだな!!

 ここでは、ダンジョンそのものがルール! 外の世界とは、全然違うのは分かっただろ? 絶対に存在しない『エネミー』に、条件次第で生き返れるシステム! そしてポイント! これだけで違うってのは良く分かっただろうさ。

 階層ごとの何処かにある、深部へ続く階段を目指せ。そして潜り、ポイントやアイテムを稼いで、ココなり外で優雅に暮らすのもいい。スリルを求めたり、修練に励むのもいいだろう。お前らなりに、この『異界ダンジョン』を愉しめ! 俺達は――お前らのその様子を見て、愉しむ事にする」


 案内役が鎌を振るう。今度は地面は割ける事無く、視界いっぱいにまばゆい閃光が広がって……


用語解説


ダンジョンでの死


ダンジョン内部で死亡した場合、特殊な処置により蘇生が叶う場合がある。蘇生魔法のないユニゾティアにおいて、特例的な空間のようだ。


ポイント

 迷宮内での活動に応じで、個々にポイントを手に入れることが出来る。それを用いて復活や、10階層ごとにある安全地帯で『お買い物』も可能。正式名称は『ラピス』だが、全く定着せず、みな『ポイント』と呼んでいる。

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