表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末から来た男  作者: 北田 龍一
幕章 終末世界編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

438/740

真実Ⅵ

前回のあらすじ


残された異世界移民計画・第二陣。腹黒い計算を巡らせる面々に、残ったヴァンパイアは深くため息をつく。不安を抱きながらも、彼らも続いて転移した。

 移民計画・第二陣が立ち去ってから……数十時間が経過した。

 それ即ち――ユニゾティアにとって数年以上の時間経過を意味する。空っぽになった転移用の魔法陣は、誰も残されていない。怪しげな儀式の場は、微かな干物の臭いと、揺らぐ蝋燭の火が祭壇を照らす。すっかり短くなった白い蝋の塊、先端が突風で掻き消える。すべての明かりが消えると、黒い靄が魔法陣の中心に溜まっていく……

 微かだか、誰かからの声がする。

 世界の上層と繋がる魔法陣は、上位で行われていた『ある話し合い』を……僅かだが地表に流していた。それを聞き届ける者は、当時は一人もいない。ただ、過去を映像のように眺める霊体だけが……最後の扉が開く瞬間と、動機を聞いていた。


“ガイア。私はそこまでの厳罰は求めない。いっそ罰が無かったとしても、私は今回の事を許せるわ。厄介女神のベルフェゴールが、思惑外れて地団太踏んで、ばたばた転がった所を見れたから、私は満足よ?”

“なんでユニティ? あなたの世界、酷い事になったでしょ? あの住人が憎いでしょ? こんな世界なんて……綺麗さっぱり滅ぼしたいぐらいでしょ?”

“……最初はそう思った。でも私の世界の人たちは乗り越えた。それだけじゃない。ユウナギちゃんのお蔭で……私の望みの融和郷ユニゾティアは完成した。種族がバラバラだとしても……精神性ミームを統一すれば大丈夫なんてね。次の世界ではもっと上手くやるけど。それはそれとして、最初の成功例としてユニゾティアも存続させる。ま、厄介な目は残っているけど、後は当事者たちの自主性に任せてみるわ”


 二人の女性の声が聞こえる。片方は酷く荒れた調子で、もう一人は皮肉交じりなものの、相手を責める気配が無い。許す、とさえ明言しているユニティに対し、ガイアは汚物を投げ捨てるように吐き捨てた。


“……それだって偶然。たまたまかみ合って上手く行っただけ。私の世界の人間はゴミクズだよ”

“そこまで言う? 今だってあなた、自分が管理している世界の、崩壊を止めていたでしょう?”

“――私がバカだった。ここまで文明が育った事初めてだったから……当代の知性体を甘やかし過ぎちゃった。その結果がコレ。もう愛情なんてない。他人の――他の世界から見たって、間違いなくゴミでしょ”

“きっつい言い分ね。でもあなたが言うほど、人間は悪者じゃないと思うけど”

“だからそれは偶然。上手く行ったのは特別で例外な人だっただけ。ねぇ、なんでユニティは地球人を庇うの? 女神に召し上げたユウナギちゃんに、気を使っているの?”

“何割かはそうよ。あの子に感謝しているし……彼女は故郷の救済を希望している。その様子だと無理でしょうけど”

“うん”


 地球の女神は、地球人の救済を即答で拒絶した。相手のユニティが唸るが、ガイアの嘆きは止まらない。


“だってそうでしょ? 本質をちっとも学ばないじゃない。理性があるんだ、良心を持っているんだと鳴き声上げながら、腹の底は真っ黒。その欺瞞と無関心で文明を歪に育てて……地球を核兵器で焼き尽くす。そうやって自分たちで地球を、放射能塗れにしておきながら――とっとと自分たちだけ逃げ出した。挙句、移転先を侵略したんだよ? それも歴史にあった過ちと同じ構図で。しかも別の女神からの、貰い物の反則チートで。こんな気持ちの悪い生き物を愛すなんて、もう無理”


 声だけで分かる、強烈な嫌悪。もう何も言えず、ユニティの深いため息が聞こえた。一応気を使ったのか、ガイアは適当に約束した。


“でもいいよ。そこまで言うなら……地球時間の五十年後で、生き残った人がいるなら好きにすれば? これから浄化を始めるから、無理だろうけど”

“……どうする気?”

“欲深き者どもの、手法を真似する。あの人たち、他人を嬲るのだけは一級だもの。

 確か『Organic・Racist・Cleanser』……だっけ。被害種族を苗床にして、増殖して同族にして絶滅させる、生物兵器。ちょうど近いのを、人間を変異させて作った事あるから、転用する”


 地球の女神・ガイアはそう言うと……試作した怪物を、人類が生存する地域へ転送準備を始める。息を呑む気配がする。いよいよ始まるガイアの裁きに、もう一人の女性は確かめるように言った。


“本当に……地球文明を滅ぼす気ね。後悔しない?”

“もう後悔は済ませた。こんな事になるまで、ズルズルと期待して処分を先延ばしにした結果がこれ。なんでこんな生き物に、期待しちゃったんだろう。なんで私、こんな生ごみを愛そうとしたんだろう。……ダメな生き物を愛する事に、酔っていたのかな。はは

 ちょうど放射能で壊れたヴァンパイアがいるから、ちょちょっと改造すればすぐ完成。変異吸血鬼ミュータントヴァンプ……ふふ、これなら簡単に人類を地球から掃除できるね!”


 もはや……そこにいる女神に、人類への慈悲は無かった。今までずっと、人類に慈悲をかけてきた分、裏切られた瞬間に愛は憎悪へ反転した。

 複数の地表へ、女神ガイアは『人類を殲滅するための神の使徒』を、配置していく。星の守護者はもはや、人間を駆除の対象にしたのだ。


“変異吸血鬼は人を襲い、死んだ人は化け物になって蘇る……ふふふ、もう余裕なんてないんだし、さっさと滅びて楽になりなよ。じゃあね、地球と向き合わず、追い込まれて、逃げ出して、何にも学ばなかった自称知性体さん”


 憎しみを込めた贈り物は、現状の人類生存圏すべてに放たれる。

 本当の終末は……神が人類を滅ぼそうとしたことから、始まったのだ。

終末の始まり


 その原因は、地球を司る運営者、女神ガイアが地球人、地球文明に失望し、絶望し、憎悪を抱いた事から始まった。

 無理もない。危ういバランスは崩壊し、世界中を核汚染してしまった。この段階で神に見捨てられても致し方なしだが、加えて『異世界』に逃げ出し、逃げ出した先で侵略行為を働いた種族を、どうして愛せようか?


 ――私たちも他人事じゃないでしょうね。私たちの在り方、生き方は神に愛されるに値するでしょうか? 我々が醜くあり続けるのなら、いつか世界の神は失望し、絶望し、人類へ愛想をつかして……絶滅させに来るかも、しれませんよ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 原因が明かされること [気になる点] 幕章になってから説教臭くなっており、小説として面白くない ガイアがただのメンヘラかまってちゃんにしかみえない [一言] この章はいつまで続くのか
[一言] 確かにガイア人類を切り捨てる所までは十分理解の範疇だけど此処まで自己のリソースを割くのはちいと不自然な気が…… 個人的には何者かによって密かに憎悪を煽られた可能性があると言われた方が理解も追…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ