第三章の、情報まとめ
ポーロー
緑の国の伝統食。期限切れのポーションと紫キャベツを樽で発行させる、紫色のペースト状の調味料。生で食すと、えげつない青臭さと苦みが広がる一品。煮込むと香りが飛んで味が丸くなるが、栄養価も落ちてしまう。健康効果は確かなようだが、終末世界を生き抜き、ゲテモノ食いの晴嵐さえ悶絶させる代物。
ユーロレック城
城壁都市レジスに佇む古城。月に一度政府重鎮が集まり、議論を交わす場でもある。(緊急時はその限りではない)
地下に隠し空間があり、本来は戦争に備えた空間だったが……レリー一派によって血の搾取場として悪用された。現在は救出が完了し、後処理をすれば元の空間に戻るだろう。
城壁都市レジス レジス大森林 伝統生活区
欲深き者どもが侵攻する前、城壁都市は存在していなかった。木の上で生活するエルフたちは、大森林の枝に住居を作り、地に足をつけず生活していたという。
だが戦争中、オークの侵攻によって森は焼け落ちてしまった。蹂躙の憂き目から、この地域のエルフは特にオークへの憎悪が強い。恐怖の反動から城壁都市を築き、当時の記録と暮らしを残すために伝統生活区は作られた。
ただし現在、伝統生活区は二世以降がたむろしており、健常にも関わらず国の財政を圧迫している問題が挙げられる。逼塞した空気を嫌って、飛び出す若者も少なくない。
世代断層
エルフ特有の社会問題。長寿命故に起こる、世代ごとの断絶の事。
エルフは寿命が長く、親との年の差が百年単位で存在する。そのため、親世代が語る若いころの事柄は、まったく参考にならない。世代という理解できない壁、それによる断絶だ。ジェネレーションギャップがより酷くなって、痛烈な社会問題化したようなもの。
ユニゾティアの矢
羽が付いていないが、矢じり部分の魔法で回転を与えるため問題なく飛翔する。羽の面積分空気抵抗も減り、かさばらずに携行も可能と改良されている。
この点に着目したある少女が、矢じりだけをスリングショットの弾丸にして利用した。この場合飛距離は落ちるが、取り回しは良好。
人狩
城壁都市レジスの裏路地で、主にストチルを狙って攫う謎の集団。その正体はレリー一派の私兵吸血種部隊だが、本来の目的を外れ外道を働いている。
城壁都市の隠し空間
本来は敵の侵攻に備え、兵員や物資を保管するための隠しスペースだったが……人目につかず、さらに安全な水源が供給されることもあり、暗黒街と化している。
吸血種
千年前の戦争において、英雄に認められた者が転身する種族。しかしその気配は、晴嵐が知る敵「吸血鬼」にあまりに酷似していた。銀を弱点とし、さらにある吸血種は「ヒューマンをネズミ算式に吸血種化する」特性を保持しており、彼は関連を疑う。さらにこの特性は、ある女性が話した種族「ヴァンプ」とも類似点が見られる。まだまだ何か謎がありそうだ……
銀粉煙幕
晴嵐が終末世界で用いていた吸血鬼対策の武器。小麦と刺激物を混ぜた煙幕の中に、削った銀の粒子を混ぜた物。銀を弱点とする種族にとって有効で、直撃すると硫酸の霧に浸したような打撃を受ける。
デュラハン型ゴーレム
金属のボディを持つゴーレムだが、人体の構造を模倣する必要がなく、また金属の頭部は表情に欠ける難点を克服する目的で、製造されたボディ。
魔法の力で頭部を立体映像で投影し、人の表情やしぐさを作る事も可能。ゴーレムな情緒に乏しい傾向があるが、デュラハン型に限っては例外的に、人に近い感性を持つ場合が多い。
Crossroad Ghost の写真
晴嵐の持つ私物の一つ。水に沈んだある船体の写真だが、これに触れると『亡霊』が見える。晴嵐も付き纏われているが、それでも捨てきれず携帯しているようだ。
ユニゾン・ゴーレム
ムンクスが制作した、特殊なゴーレムの一群。ある程度量産されており、彼の頼れる私兵隊だ。
特殊な機能として「互いの情報や感覚を一瞬で共有できる」機能を有する。例えば遠方の屋敷で手にした地図を見て、その情報を誤解なく現場のユニゾン・ゴーレムに送信できる。この機体同士は、完全な連携が可能なモデルだ。
ただ、互いの情報を共有する性質からか、個人の精神や感覚、個性は薄めの傾向がみられる。デュラハン型と対極と呼べる機体かもしれない。
スポア・サーベル
魔法で生成した疑似病原体を散布する、試作型の輝金属武器。発熱や咳を引き起こし、影響下にある人物のコンディションを悪化させる。作中でレリーが使用。
しかし元々悪環境に慣れた、根っからのドブネズミのテグラットには効果が薄かったようだ。
紙鉄砲
実在する折り紙の一つ。振り下ろすことで一度、銃声に似た破裂音を響かせるだけのオモチャ。だが「悪魔の遺産」に恐怖を抱くユニゾティア住人には、これ以上ないはったりとなる。
時視の窓
黄昏の魔導士が用いた「測定不能の異能力」の一つ。指定した空間から、時間を巻き戻して観察することができる。拡大、縮小、明るさの補正まで自由自在で、事件現場の検証にうってつけと言える。
……なお、この性能で「測定不能の異能力」の中では謙虚な性能と評した。
本当の五英傑
実は五英傑の一人ミノルは、千年前の戦争終結当初は五英傑に含まれていなかった。
他に華々しい、英雄的な戦果を挙げた男がいた。二つ名は『無垢なる剣』……他者の意思を「感じる」独特の感性を持つ、オークの勇者である。
重要情報 真実
吸血種の増殖方法
実は始祖吸血種は存在しない。五英傑「無限鬼」のみが同族を増やせるとされているが、本当は五英傑「黄昏の魔導士」もヒューマン限定で吸血種を増やすことが可能。しかしこの方法で吸血種となった元ヒューマンは、同じ繁殖特性を持つ。
すなわち――制御しなければネズミ算式に吸血種を増殖させ、ヒューマンを絶滅させかねない、危険な特性があった。広めるには危険なので、表向きは「無限鬼」のみとされている。彼女はどんな種族でも吸血種化するが、彼女が増やした吸血種は増殖能力を持たない。
オークと『無垢なる剣』
千年前の戦争において、本来オークは『欲深き者ども』側……すなわちユニゾティアの敵だった。
しかし横暴に過ぎる『欲深き者ども』は、一部オークからも反発を招いた。そうして抜け出した一団の中に『無垢なる剣』と称される勇者がいた。
無垢なる剣……本名、イノセント・エクスは華々しい活躍を果たすも、戦争終結後のユニゾティアにおいて、オークの扱いについて意見が割れる。オークもまた欲深き者どもと同列に記述すべきという風潮が主流になる中、彼は自らの存在の抹消と引き換えに、オークという種を許すことを世界に懇願する。
『無垢なる剣』はおとぎ話の英雄に変わり、オークへの憎悪も多少残ったが、彼の願いは聞き届けられ、今のユニゾティアの歴史がある。もし彼が行動を起こさなければ、千年後の現在ユニゾティアには、オークは絶滅していた危険も大いにありえた。
次回本編になります! 第四章 亜竜自治区編 お楽しみに!




