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終末から来た男  作者: 北田 龍一
第二章 ホラーソン村編

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第二章 ダイジェスト・2

千年前のユニゾティアに起きた事件を語り終えた所で、晴嵐はテティに質問する。今の話の中に、二人が出会うきっかけとなった種族の『オーク』が存在していない。

 彼女曰く、今で紹介した六つの種族が『一次種族』であり、千年前の戦争以前からユニゾティアに存在している種族だという。戦争後、さらに四つの種族がこの地に暮らし始めた。


 そのうちの一つ『吸血種』の存在に過敏に反応する晴嵐。男の生きた世界は『生き血を啜る化け物』のせいで崩壊した。『吸血鬼サッカー』と呼称される存在と同一視し、つい敵意を漏らしてしまう男。一度冷静になって話を聞くが、なんと『吸血種』は千年前の戦争で活躍し、この世界では英雄視される種族だという。自分の持っている基準と、離れすぎた像にため息を吐く晴嵐。彼の心象は別の時に話すと約束し、種族についての話に戻る。


『オーク』と『獣人』は対局な種族。『オーク』は男性しか生まれず、『獣人』は女性しか生まれないらしい。特殊な性質のため、オークの社会的立場は低めで、この森のように蛮族化してしまう事も多々あるとか。その業がさらに評判を落とし……と悪循環にはまっているらしい。獣人も性にまつわるトラブルが多いそうだが、オークよりはマシなようだ。


『ゴーレム』は魔法で出来たロボットのような特性を持つ。最初は便利な道具扱いだったそうだが、後に人権独立運動が起き種族として認められた。SFや近未来作品で起こるような経緯に、どこでも同じようなことが起こるのかと二人は談笑する。この日の講義は終わり、翌日はライフストーンやポートについての講義に変わった。


 今までもメモ帳機能、地図やカーナビ機能など、色々と便利な機能を見せて来た緑色の石ころ、ライフストーン。『生活の石』と言う意味で命名されたそれは、村や町の中心にある黄色の水晶『ポート』と組み合わせることで真価を発揮する。

『ポート』をメッセージ用のサーバーにして、ライフストーンで『メール』の送受信が行えるという。遠く離れた相手でも、ポートとライフストーンを起点にすれば連絡が取り合える。スーディアからのメッセージを受け取ったテティが、晴嵐に見せつけた。


 彼は震えていた。未知の技術だからではなく、どこか技術形態や名称に『文明崩壊前の地球の気配』が残っている気がしてならない。別の文明が同じ結論に辿り着いたかもしれないが、色々と気味が悪く感じる晴嵐。今までは外での講義だったが、雨が降りそうなので続きはテティの家で、今度は晴嵐が色々と話す番に。


 この世界の集合住宅に入り二人きりで話す。お互いに前提を確認し合ってから、晴嵐は滅びてしまった文明……『地球』の話を始めた。

 超長距離を飛翔し、一撃で大規模な破壊を引き起こす兵器を世界中に配備しながら、表面上の平和を何とか保っていた世界。その破壊兵器を向け合い『撃たれたら撃ち返す』薄氷一枚の抑止論は、あっさりと砕け散ってしまった。

 晴嵐が生まれ育った国は、そのトンデモ兵器のプロトタイプを、最初に使われた国だった。故にその兵器を所持せず、迎撃装備を充実させていた。幸いなことに迎撃は成功し、最初に滅び去る事は避けられた。


 しかし島国で、資源を輸入に頼っていた事が裏目に出る。外部の国家が滅んだことで輸入が途絶え、じわじわと追い詰められていく国。やがて国家を担う者たちが突如雲隠れしてしまい、晴嵐の国は国として崩壊してしまった。これが初期に起きた混乱であり、男は早い段階で資源をため込み備えていた。

 彼の行動が早かった理由は……すべての始まりの日、終わりの始まりの日に、奇妙な亡霊の夢を見た。錆びた金属質の裸体は、フジツボとケロイド状の火傷に覆われ、瞳は深い嘆きを宿していた。晴嵐を糾弾するかのような亡霊のセリフを吐いた時、一瞬だけテティは動揺したが男はスルー。物資をため込み混乱に備え、晴嵐は物と物を交換して回る『交換屋トレーダー』として、単独での生存戦略を取っていた。


 ところが――ある日世界に『吸血鬼サッカー』と呼ばれる存在が出没する。夜行性で人間を襲い、生き血を啜って喰らう化け物。そしてこの化け物に殺された人間は、新しい吸血鬼サッカーとして蘇る。デマと創作物の印象でぐちゃぐちゃに歪み、追い打ちの大混乱が広がった。それでも生き残り、世界を立て直そうとした人々がいる。


 吸血鬼サッカー跋扈ばっこする世界で『覇権主義者』『吸血鬼信奉者カルト』『文明復興組』の三つの組織からなる、終末群雄割拠の時代がやってきた。すべての組織を回っていたが、心情的には『文明復興組』に肩入れした晴嵐。最終的に『文明復興組』が勝利を収めたが、理想を求めすぎるリーダーについていけず、組織内部でクーデターが発生。優秀な猟犬だった副官を除き、文明復興組上層が壊滅。副官もしばらくは様子を見ていたが、引き継ぎの失敗を確認した所で副官がケジメをつけて壊滅した。


 晴嵐はテティに問う。何故自分がこの世界で蘇ったのかと。

 晴嵐は組織に属せず、自分一人が生き残る事を優先した。理想も思想も持っておらず、世界に絶望しながら朽ちていっただけだと語る。他に生き残るに値する人間はいた。『文明復興組』のリーダーや副官の名前を上げ、どうしてと叫ぶ。

 テティは『分からない』と素直に言い、そして晴嵐に問い返す。これから晴嵐はどう生きるべきかを。

 今はこの世界の常識を学んでいい。しかしその後は? 目的を持たず生きるには、晴嵐の若返った体はあまりに死ぬまで長い。自殺する気も起きない晴嵐は、この世界と過去の世界にある共通点が気になるという。その秘密を探る事を、生きがいとすると決めた。


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