9.誘拐事件発生!
今回は、チート無双回?!
楽しいなぁ~(作者が)
(くそっ!すでに、『麻痺魔法』の圏外になってやがる!)
フーヤは『麻痺魔法』を使おうとして、そのことに気付くと悪態をつく。
『麻痺魔法』はチートな能力であるかわりに、圏外に出てしまうと発動できないという弱点があった。
(追いかけないと......緊急事態に目立ちたくないとか、バレたくないとか、考えてちゃだめか...)
フーヤは迷いを振り切って、路地裏に入ると『空間支配』による転移をした。
◆ ◆ ◆
「いた!」
フーヤが転移した先に、レクスとレクスをさらった男がいた。
男は、後ろに転移したフーヤに気付かず、レクスを抱えて走っていく。
(なんだあいつ!?黒ローブで怪しさ爆発してるんだけど...)
フーヤは男に意識を集中させる。
すると、これまで発動したことがなかった『危機管理』が発動し、『未来予知』による未来が見えた。
「っ!待て!」
その声に反応し、男が振りかえる。
その瞬間。
ザクッ!
ドスッ!
フーヤの手加減なしの風魔法『ウインドカッター』が放たれた。
男の腕がフーヤの魔法で切り落とされ、地面に転がる。
フーヤはこの世界に来てから二度目-5歳のチートを試して、庭の一角が吹き飛んだ以来初めて手加減なしで魔法を放った。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
腕を切り落とされた男は叫ぶ。
フーヤは、レクスが傷ついたり、死んだりしてないことを確認すると、男に向きなおる。
黒いローブに仮面をつけた男は、血をダクダク流し、このままだと、出血多量で死んでしまいそうだった。
(死なれるのは困るからっと)
フーヤは止血も兼ねて、切り口を炎であぶる。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
男が叫ぶがフーヤはそれをあえて無視し、男に問いかける。
「それで、レクスをさらって、何をしようとしたのかな?」
フーヤは『未来予知』で見た光景-黒いローブに仮面をつけた男たちが王立魔法学院の生徒たちを斬殺する光景を思い出す。
(何をしようとしたのかは、知ってるけど、きちんとこいつの口から語らせてやる...)
男は、口を歪ませると、息も絶えだえに告げる。
「...この世界を......救済するため...だ...」
「は?」
フーヤの怪訝そうな様子にも気付かずに、男は熱に侵されたように呟く。
「...汚れきった...この世界は......邪神の御心に...よって...創りかえられる......のだ...我らは.........その手伝いをするべく...例の物を...手に......入れる......これは...その...ための...狼煙......だ...」
男は焦点のあっていない目でそれだけ言うと笑みを見せる。
歪みきった邪悪な笑みを。
「そんなことのために、さらったのか?」
ビクン!
男の背筋に痙攣にもにた寒気が走る。
「そんなことのために、殺そうとしたのか?」
冷徹さを帯びた氷のような瞳で男を睨むフーヤ。
「そっ...そう...だ......」
男は怯えつつ答える。
「他にもお前の仲間が魔法学院の生徒をさらっているよな?」
「なっ......なぜ...それを......」
「そうか...もうお前には用はない」
フーヤがそう言った瞬間、男が崩れ落ちる。
『麻痺魔法』により、意識を手放したのだ。
◆ ◆ ◆
「さてと」
フーヤは男をロープで縛り上げ、異空間収納に放りこむ。
フーヤの異空間収納には、生き物が入れることが出来る。
もっとも、中では時間が停止してしまうのだが。
そして、『索敵魔法』の表示を見つめる。
(そうか、この付近に人避けと防音の結界がはってあるのか...道理で、あんなに叫んでいたのに、誰も来ないわけだ)
フーヤは考え込む。
(この小屋の近くまで行って『麻痺魔法』で無力化すればいっか...それで、偶然をよそおって助ければいいよね)
「よし、それでいこう!」
「何がだ?」
歩き出そうとした、フーヤの背中に声がかけられる。
「えっ!?」
フーヤが後ろを向くとレクスが立っていた。
「いつから、意識あった?」
おそるおそる聞くフーヤ。
「動けなかったけど、フーヤが風の魔法使ったあたりから...」
「..................」
(終わったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!)
フーヤは心の中で、絶叫した。
「見られちゃったか...」
「フーヤ。お前...」
(嫌われたかな...内緒にしてたから......こんな、すごい魔法使えること...それ以上に...怖いよね...こんな魔法使うこと出来るのって...)
フーヤは不安そうにレクスの言葉を待つ。
「スゲエじゃん!フーヤ!あんなこと出来たのか!」
「えっ?」
フーヤは予想してた反応と違い戸惑う。
レクスはキラキラと音がしそうなほど目を輝かせている。
「えっと、レクス。お前怖くないのか?」
「何がだ?」
「いや、あんなこと出来るやつなんだよ!」
地面に転がっている男の腕を指指す。
「それがどうかした?」
「え...」
「だって、フーヤはフーヤだろ」
レクスは当たりまえといった感じで笑う。
(まったく、悩んでたのがバカらしいよ...)
フーヤもつられるように笑った。
次回投稿は、土曜日か日曜日の予定です。
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