8.危険な街探索
約束通りの日曜日の投稿です。
プチ(?)チート回だよ!
えっ!?まだ、土曜日だって?
ははは、気のせいですよ(嘘)
「フーヤ。大丈夫だったか?」
レクスが心配そうに聞いてきた。
すでに、クラスにはほとんど人がいない。
大方、帰ったか遊びに行ったのだろう。
レクスも行きたそうにしつつも、待っていた。
「いや、ある意味大丈夫じゃない」
「てか、そもそもなんで呼び出されたんだ?」
「いや、ルーン=ルナティックさんに呼び出された。なんか、見所ありそう的な感じで」
「なんだと~!」
ガタンッと立ち上がるレクス。
「ずるい!羨ましい!なんなら、代われ!俺と代われ!」
「いや、無理だから。それに、面倒だったから適当に誤魔化してきたんだからな!」
(まあ、本当のことは流石に言えないけどね...)
目の前で騒ぎまくるレクスを見ながら、フーヤはため息をついた。
◆ ◆ ◆
騒ぐだけ騒いだら、スッキリしたのか、少し落ちついたレクスと逆に少し疲れた様子のフーヤは試験後の楽しみである街探索へ繰り出す。
さまざまな店のあるメインストリートは人でごった返していた。
「お、珍しい。ミルクシープの肉串だ」
レクスが露店の一つを指差す。
「本当だ。買ってこ」
フーヤはポケット...と見せかけて、『空間支配』による異空間収納から財布を取り出す。
もちろん、レクスも他の人もポケットから出したようにしか見えないが。
ちなみに、ミルクシープはミルクのような味の羊である。
一応、魔物に分類される上に、強いわけではないがあまり数もいないため高価なのだ。
「ミルクシープの肉串ください」
「はい、銅貨3枚ね」
フーヤは銅貨3枚を露店のおばちゃんに払う。
フーヤの前世の感覚的に銅貨1枚は千円である。
つまり、ミルクシープの肉串は三千円というわけだ。
もちろん一本でである。
(やっぱ、高いなぁ...美味しいから買っちゃうけど)
フーヤはミルクシープの肉串を受けとるとかぶりつく。
隣では、レクスも同じようにミルクシープの肉串を買っていた。
ちなみに、お金に関してもう少し解説すると、
小銅貨→銅貨→小銀貨→銀貨→小金貨→金貨
百円→千円→一万円→十万円→百万円→一億円
という感じである。
もっとも、庶民では小銀貨でもお目にかかることがないわけだが。
フーヤは一応、貴族のため銀貨までなら、見たことあるし、小銀貨はお小遣いとして、貰ったこともある。
まあ、街探索で使うのは銅貨か小銅貨だけなのだが。
「なあ、次どこ行く?」
「そうだね...どうしようか?」
ミルクシープの肉串を食べ歩くフーヤとレクス。
(それにしても、今日は不審者が多いなぁ)
フーヤは『探索魔法』の表示を見てふと思う。
(あ、あの人露店の物盗もうとしている。よっと)
その瞬間、その人が崩れ落ちるのが視界の端にうつった。
(あっちは、荒くれ者の冒険者かな。路地裏で女の子を襲おうとするとかテンプレな...ま、関わる気はないし無力化っと)
『探索魔法』の表示に、荒くれ者の冒険者が状態異常になったと出る。
(あいつ、学院の生徒をつけまわしてる。ストーカーかな?まあ、無力化無力化)
そして、フーヤは魔法を発動すると、一息つく。
そう。
さっきから、悪者たちが無力化されているのは、フーヤの仕業である。
雷の魔法を魔改造して、フーヤが創り出した『麻痺魔法』。
フーヤはそれで悪者をこらしめていたのである。
一応、魔改造したのは『能力改変』の力によるものであったりする。
(ふっふっ、これなら誰か分からないからチートしほうだい。殺すことなく相手を無力化とかいいよね。うん。興奮する)
フーヤはチートが嫌な訳ではない。
目立ちたくないから隠すのであって、バレないならいいのである。
まあ、元々アニメ好きな日本人なのである意味当然なのだ。
◆ ◆ ◆
フーヤは内緒でチートしつつも、歩き続け、フーヤとレクスは噴水広場までやって来ていた。
「なあ、噴水のとこで待っててくれないか?行きたいとこがあるからさ」
噴水の近くまで来たとき、唐突にレクスが口を開く。
「行きたいとこ?一緒に行こうか?」
「いや、いいよ。俺だけで行くから」
「えっ?なんで?」
「いや、だから...」
レクスは顔を寄せると言った。
「トイレだよ!察しろ!」
「......すまん、察せなかった」
「まあ、いいけどよ...俺は行ってくるから、これ捨てといてくれ」
レクスはフーヤに自分の分のミルクシープの肉串の食べ終わった串を渡す。
「行ってらっしゃい」
フーヤが串を受けとるとレクスは小走りで走っていった。
(我慢してたんかな?まあ、公共トイレまでここから近いし、間にあうだろうけど)
ちなみに、この王都には文明レベルに似合わず、下水道完備で公共トイレも清潔なものが-貴族が使っても文句が出ないレベルのものが完備されている。
(なんか、この世界の文明レベルってわりと無茶苦茶だよな。噴水広場にゴミ箱あったりするし)
フーヤはゴミ箱に串をレクスの分と自分の分まとめて、捨てると噴水のふちに座る。
(さて、レクスの様子は...)
『索敵魔法』の表示を見るフーヤ。
「なっ!」
思わず立ち上がるフーヤ。
視線が一瞬集まるが、すぐにそれていく。
しかし、フーヤはそんなこと気にする余裕もなかった。
「......状態異常になってる!?」
レクスの状態が、状態異常の昏睡状態になっていた。
さらに...
(誰かがどこかに連れて行こうとしてる!?これって、つまり...)
「誘拐かよ...」
次回投稿は、来週中の予定です。
はっきりしなくてごめんなさい。
ちなみに、フーヤが『麻痺魔法』を使った魔法学院の生徒をストーカーしていたやつは一人や二人ではないそうです...
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