5.バレました!?
二日ほどお待ちください。
と、書いた一日後の投稿です。
まだ、二日たってない...
『フーヤ=ロイホード君。1年Bクラスのフーヤ=ロイホード君。至急、学院長室まで来てください』
「フーヤ、なにした?」
「なんもしてねーよ」
試験が終わってのんびりしていたフーヤの耳に魔法放送が聞こえてきた。
筆記試験も、満点取れるところを平均点が取れるだろうと予想した数しか解答せずに終え、レクスと難しかったーと言い合っていたところに、この放送である。
(なんだろう、いったい...)
◆ ◆ ◆
「1年Bクラスのフーヤ=ロイホードです。失礼します」
そう言って学院長室に入る。
初めて入った学院長室は意外に狭く、それでいて高級感溢れる場所だった。
赤い絨毯がしきつめられ、上には大きいシャンデリア。
壁紙も植物をかたどったようなデザインである。
革のソファや木の机も一級品であることが素人目でも分かる。
(でも、なんでロの字型?)
不思議なことに、低い木の机を中心として、東西南北にソファが机を囲むようにして、置いてあった。
「待っていたよ。フーヤ=ロイホード」
フーヤに声をかけたのは、ルーンだった。
学院長はなぜか部屋の中にいない。
かわりに、ルーンが西のソファに座っていた。
「まあ、座わりたまえ。好きな席にどうぞ」
「...失礼します」
フーヤは南のソファに座る。
「そうか、それでフーヤ=ロイホード。君を呼んだのは私だ。君に聞きたいことがあってね」
「なんでしょうか」
(もしかして、手抜きしてたことがバレたんじゃ...)
フーヤが不安そうにたずねると、ルーンはニヤリと笑った。
「君って、転生者だよね?」
「なっ!?」
ルーンの爆弾発言に、目を見開くフーヤ。
「その反応が、まんま答えだねぇ。成田 風矢さん」
「......もしかして、神様関係の御方ですか?」
成田 風矢というのはフーヤ=ロイホードの転生前の名前である。
「その通り。妾は女神ルーン。いや、今日は謝りたいんだよ。君が前世で死んだのは私たち、いいえ、妾のせいだから」
「本当ですか?」
「そうだよ」
笑顔で答えるルーン。
(それなら...)
「あの、結局死因ってなんだったんでしょうか?前世の記憶、大学の講義に遅れそうになって道を走ってたところで途切れてるのですが...」
フーヤは記憶を探りながら言う。
(あの女神ラフエラは教えてくれなかったし...それ以前に質問の余地もなかった)
「あーなんといいますか、ある意味一種の事故なんだけどさ。私たち『ジャパニーズポップカルチャーを楽しむ会』のメンバーでさ」
「ちょっと待て、なにそれ!?」
「日本のアニメやゲーム、ラノベなんかは神界でも人気なんだよね。実際、私も元日本人でさ、アニメ見たり、ゲームしたり、ラノベ読んだりするの大好きなんだ」
「あーそうですか」
熱が入ったルーンを見て、何か悟ったような顔をすると先を促すフーヤ。
「最近、アニメに出てきた武器を実際に神様の力で再現するのが流行ってまして...」
ルーンはどこからともなく一振の剣を取り出す。
「これが誤作動しました。すみません」
「...なるほど」
(完成度高い...神様製だからたぶんスキルもついてるよな。いや、これで殺されたの!?ある意味本望だわ...)
フーヤも転生前にその剣が出てくるアニメは見ていた。
「事情は分かりました。それよりも聞きたいことがあるのですがいいですか?」
「なんでしょう?」
「転生特典チートが過剰すぎるのですが!」
「えーいいじゃん」
「よくない!」
(さすがに、この内容はないよ。便利は便利だけどさ!)
◆ ◆ ◆
フーヤの転生特典チートは次の通りである。
『神々の書庫へのアクセス権』
知りたい情報を神々の書庫から可能な限り知ることができる。
『索敵魔法』
あらゆる生物について、探索が可能。自分に害意や興味があるかもわかり、目的物があればそれも探せる。マップ機能も兼ねる。常時発動可能。
『魔力無限』
魔法を無限に使用できる。
『無詠唱の加護』
魔法を無詠唱で使用できる。
『能力上昇』
基礎的身体能力などの上昇。
『空間支配』
空間を支配することにより、転移や異空間収納などの幻の魔法が使える。
『能力改変』
能力の改変が行える。
『危機管理』
危険が迫ったとき、自動的に回避する。
能力改変後、『未来予知』と連携し、最低限の回避を行う。
『未来予知』
30分以内に起こることが分かる。
能力改変後、『危機管理』が発動したときのみ発動。
『異物排除』
体内に侵入した体に害がある物の排除。
能力改変後、排除と同時に何を排除したかの連絡。そして、排除されてはいけない物の排除停止。
『魔眼』
人の心が読める。
能力改変により、機能停止中。
『神の息吹』
欠損部位の修復、自動治癒。病気にならない。
『神々の加護』
死因が老衰でない限り死なない。
◆ ◆ ◆
「いや、だっておかしいでしょ」
「なら、こちらからも聞きます。なぜ、無双チートしないんですかぁ~!?」
「面倒、目立ちたくない!」
「ぐっ」
ルーンが崩れ落ちる。
「そうですよね。確かに、うん」
ため息をついて立ち上がるルーン。
「分かりました。君が元気でやってるならそれでいいです。妾の謝罪も受け入れてくれましたし」
「あの、なぜわざわざ『妾』?」
「流行りです。女神の中で謝罪するときの。へりくだった表現なのに、偉そうに聞こえるのがおもしろいって」
「あ、そう」
「一つ忠告しておきます」
ルーンが凛とした態度で告げる。
「これから、この世界は危機にさらされるでしょう。私はそれを防ぐために動いていますが、巻き込まれるかもしれません。この学院は狙われる理由がある。気をつけてください」
「狙われる理由!?」
「教えることは出来ません。これで話は、終わりなので教室に戻ってもらって結構です。それでは」
それだけ言うとルーンは教室を出ていった。
毎日の忙しさを考えて、一週間に二、三回の投稿ペースにしようと思います。
たぶん、気分で変わる。
のんびりと付き合ってください。
それにしても、チートまだ『索敵魔法』しか使ってない...
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