43.秘密組織アルカナ
ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
ストックが・・・ない!
「何…これ!?」
フーヤが茫然とつぶやく。
「これ、空中に浮いてるのか?」
レクスは平然とした様子で部屋の中を歩き回る。
そう。
この部屋は床の下に王都の街並みが見えるのだ。
しかも、模型などではない事を証明するかのように人々が行き交う様子も見てとれる。
しかも、大分高い所から見下ろしたかのように広い王都が部屋の床の面積にすっぽりと収まって見える。
そして、本当に床があるのかと不安になるほどの透明度の床の上に立派なソファーがふたつと水晶玉がのっている机がひとつ置いてあった。
部屋の四隅には、白い柱が立っている。
いや、床と天井が見えないので浮いているようでもある。
ただそれだけが、部屋の広さを表しており、同時に天井と床の位置も示していた。
「どうなってるんだ……これ」
フーヤは別に高所恐怖症とかそういうわけではない。
しかし、目の前の光景に理解が追いついていない様子でその場で固まっていた。
「見えないだけで、壁はあるのか…」
一方でレクスは、透明の壁を軽く叩きつつ首をかしげている。
「材質は石っぽいような…」
「珍しいのは分かったから、さっさと座りなよ。ゼロイもお茶淹れてくれたことだし」
ユウレイルはフーヤとレクスに声をかけつつ、自分は湯呑みの緑茶をソファーに座って飲む。
フーヤは奇妙な浮遊感を感じつつも、ソファーに座った。
レクスも、フーヤの隣に腰掛ける。
ユウレイルは正面に座っているフーヤとレクスを見ると口を開いた。
「いろいろと聞きたい事があると思う。と、いうわけで僕は説明が苦手だからゼロイ。頼んだ」
「丸投げですか?」
ユウレイルの隣に立っているゼロイは顔をしかめる。
「そこは、ここにある…『みたらし』と『ごまだれ』と『三色』に免じて許してよ。『皆殺し』と『半殺し』も今ならあるからさ」
ユウレイルは木箱を異空間収納から出し、ゼロイに渡す。
「仕方ありませんね」
ゼロイは、口元をほころばせつつも受け取った。
「フーヤ、何の話なんだろうな?なんか物騒な言葉が聞こえた気が…」
小声でそう言ったレクスに、フーヤは記憶を探りつつも答える。
「………たぶん、お茶菓子の話だ。『皆殺し』はこし餡で『半殺し』はつぶ餡の事だったはず。『みたらし』、『ごまだれ』、『三色』は団子の事だろうし」
「その通りです。おはぎと団子の話ですよ。ユウレイルの持ってくるものはどれも絶品で知る人ぞ知る名菓子なんです」
ゼロイはそう答えつつも、木箱を小さな革袋に入れる。
明らかに木箱のほうが革袋より大きかったが、革袋に入ってしまった。
「それって、魔道具ですか?」
「そんな感じです。ユウレイルがくれました。さてと、本題に入りましょう」
「いや、そんな事よりも先に………」
「フーヤ。魔道具のことは後で聞こう」
魔道具の事を真っ先に聞こうとしたフーヤをレクスが止める。
「フーヤ様。説明は手短に終わらせますので、ご容赦下さい」
「さっきから思ってたけど、なんで敬語なんです?ゼロイさん」
フーヤが首をかしげる。
「それは、この世界の最高権力者の一人ですし、『秘密組織アルカナ』の構成員としては当然です」
「「はい!?」」
フーヤとレクスの声がハモる。
「聞いてないですか?小アルカナの持ち主は基本的に各国の上に立つ存在だって」
「聞いてないよ!」
フーヤはユウレイルを睨む。
ユウレイルはみたらし団子を食べる手をとめて言う。
「しょうがないよ。ルーンが『言ったら絶対に嫌がるからとりあえず黙っとこう。ユウレイル、これは決定事項です。拒否権なし!』と言われたし」
「別にそんなの無視すれば………」
フーヤの言いかけた言葉に、ユウレイルは乾いた笑みを浮かべてフーヤを見る。
「じゃあ、168時間マラソン5セットを代わりにやってくれる?」
「………前言撤回させていただきます。ユウレイルさん」
ユウレイルはため息つきつつも、緑茶をすする。
「168時間ということは…………1週間ぶっ続けで走り続けるという事ですか?師匠?」
「………そうだよ。あと、ドラゴンとかの魔物が配置されてたり、障害物で山が置かれてたりするね」
「ユウレイルさん。山って障害物扱いであってるんです?」
「…ルーンはそのためだけに置いてたよ?」
沈黙がその場を支配する。
しばらく、お茶をすする音とみたらし団子を食べる音だけがしていたが、ゼロイが口を開く。
「話を戻させていただきます。フーヤ様を含めた小アルカナの持ち主は各国の上に立つ存在です。ただし、各国の政治等に手を出すことは出来ません。というか、それをしてしまうといくつもの国が滅びを迎える事になるので、暗黙の了解の形で各国は小アルカナの持ち主を政治等に関わらせません」
「つまり、小アルカナの持ち主という事が分かれば、各国に勧誘される事は絶対にないと……」
「むしろ、小アルカナの持ち主である事を盾にして、ある程度なら王侯貴族に強気で出ても大丈夫です。まあ、ある程度なので、ユウレイルみたいに殺人未遂重ねるのは止めて下さい」
「ゼロイ。僕はそんなに殺人未遂重ねてない」
「ユウレイル。説得力ないですよ。それで、『秘密組織アルカナ』が何かを簡単に説明しますと『冒険者ギルド』を隠れ蓑として各国に存在する組織です。各国にあるというか、基本的に『冒険者ギルド』がなければ国として認められません。なぜなら…」
「各国の上に立つ『秘密組織アルカナ』が国として認めてないから」
フーヤの言葉にうなずくゼロイ。
「まあ、この辺りの難しい話は気にしなくとも結構です。それでは、冒険者登録といきましょう」
「……ようやくですか?」
「はい」
ゼロイはそう言って微笑んだ。
前書きで叫んでおりましたようにストックが尽きました。
気合いでなんとかしますが、遅れそうなら活動報告やらこの後書きスペースの追記やらでお知らせします。
なので、一応現地点での次回投稿予定は次の日曜日です。
そこのところ、もろもろ含めてよろしくお願いいたします!
にしても、話が進まないのはなぜだろうか・・・
フーヤのせいかな。
「何言ってるの?(byフーヤ)」
マジトーンのフーヤが怖い。




