41.レクスVSギルドマスター
くしゅん!ずずず!
鼻風邪が辛い・・・
「今度はレクスさんとギルドマスターの対決です。レクスさんは虹級冒険者の弟子ということで興味を持たれた現役時、紫級であったギルドマスターとの対決となります」
ゼロイの声が闘技場に響く。
レクスは闘技場でギルドマスターと対峙する。
「ギルマスとの対決かよ!?」
「さっきの奴も凄かったけど、今度も凄いのか!?」
「いや、さっきの魔法学院の生徒のくせに化け物級の野郎みたいのが何人もいてたまるか!」
「そうだ!それに、相手はギルマスだぞ!簡単に負けるわけない…………はずだ」
「おい!そこで言い澱むな!不安になるだろ!」
「さっきの奴………俺よりも格闘が上手かった」
「うっ………………その事実は俺の傷も抉るから止めてくれ」
「もう一人は普通でありますように」
「いや、虹級の冒険者の弟子の地点でその祈りは期待出来ない」
「うう、化け物め」
観客からそんな感じの話が飛び交う。
(これ、本気出しちゃっていいのかな?…………フーヤが必死になって俺に目立って欲しいと懇願するのもこの反応なら無理はないけど)
レクスがこんな事を考えている一方、フーヤは……
(やり過ぎたな……………レクス、頼むから盛大に目立って噂を上書きしてくれ!)
そう必死に祈っていた。
(まあ、フーヤの頼みだ。盛大に目立っておこう。師匠も本気でやれって言ってたし)
レクスはそう考えるとギルドマスターと向かい合う。
ギルドマスターは地面に着くほどの白い髭をたらしたお爺さんである。
『冒険者ギルド』の制服を着込み、謎の魔道具っぽい鎖で繋がれたアミュレットを首から下げている。
手には得物である剣杖を持ち、油断ならない雰囲気だ。
剣杖とは剣と魔力増幅効果のある杖の二つの要素を合わせた物である。
剣杖も魔道具の一種ではあるが、その特性故に魔法剣を使う事の出来る者のほとんどが剣杖を使用している。
ほとんどというのは、例外も二人ほど居るという事。
「ギルドマスターが剣杖持ってるぞ!」
「本気出す気か!?」
「ギルマスの本気が見られるとは………生きててよかった」
観客の声を気にする事なく、ゼロイは合図を出した。
「では、始め」
その言葉と同時にギルドマスターとレクスは魔力を集束し出す。
そして、数秒ほどでギルドマスターが集束を完了させ、詠唱した。
「出でよ!『水魔剣』!」
ギルドマスターの剣杖が水に包まれる。
『水魔剣』は一見、水が剣杖を包んだだけのようにも見えるが、切れ味が抜群に上がっており、鋼鉄だろうと簡単に切り裂ける。
そして、ギルドマスターはそんな『水魔剣』でレクスに見せつけるように改めて構え直す。
レクスはそれを見るとつぶやくように告げた。
「俺のとっておきを見せてやる」
レクスの剣は、この対決用に『冒険者ギルド』から借りた普通の剣である。
しかし、ユウレイルの特別指導を受けたレクスは剣杖や愛用の剣でなくとも魔法剣を使う事が出来た。
レクスの剣が水で包まれる。
ギルドマスターと同じ『水魔剣』だ。
しかし、それで終わりではなかった。
『水魔剣』を今度は炎が包む。
その瞬間。
爆発的に青白い炎が燃え上がった。
「これがとっておきの『青火魔剣』だ!」
レクスが叫ぶ。
「………青白い炎…だと!」
ギルドマスターが目を見開く。
「なんだあれ!?」
「炎が………青白い!?」
「そもそも、なんで魔法学院の生徒が魔法剣を使えるんだよ!?」
「知らねーよ!」
観客が騒然となる。
それもそのはず、青白い炎の作り方なんて転生者でもなければ知らないだろう。
この場にいる者たちは当然、青白い炎を見た事がない者が大半である。
「なるほどな。ワシの負けだ」
ギルドマスターがしばらくレクスの『青火魔剣』を見た後、あっさりと告げた。
「いいのか?俺の剣技を見てないのに」
レクスはそう言いつつも『青火魔剣』を解除する。
次の瞬間。
ギルドマスターの『水魔剣』が振るわれる。
レクスは咄嗟の判断で、剣に風を纏わせた『風魔剣』でギルドマスターの『水魔剣』を受け止めた。
「ふむ。これを止めるか」
「ギルドマスターがそんな嘘をついていいのか?」
ギルドマスターはニヤリと笑うと告げた。
「いや、合格だ」
「合格?」
ギルドマスターはレクスから距離をとると、『水魔剣』を解除し、剣杖を鞘に納める。
それを見て、ようやくレクスも『風魔剣』を解除し、剣を鞘に納めた。
「世の中、騙し討ちをしてくるような輩も居るでな。試したんじゃよ。強い力を持っていても経験が無ければ痛い目を見るからな」
ギルドマスターは感心したようにつぶやく。
「ワシが『水魔剣』を解除せずに負けを認めた時、気付いとったんじゃろ?騙し討ちされるかもと。だから、剣を鞘に納めなかった」
「……………気付いてたというよりは癖ですね。師匠と模擬戦する時は言葉で油断させて倒すなんて事、よくある事だったんで」
レクスが遠い目をして答える。
ギルドマスターは頷くと言った。
「いい師に巡り合ったようじゃな」
ギルドマスターは審判をしていたゼロイに声をかける。
「二人の分の冒険者登録をしておけ。文句はワシが出させん」
「分かりました」
そして、観客がざわめく中、ギルドマスターは去っていった。
次回投稿は、たぶん次の日曜日です・・・くしゅん!
「そのくしゃみって、そちらの世界で流行ってる新型コロナとかでは?(byフーヤ)」
たぶん、違うから!
コロナの症状はないから!
まあ、皆さん。
体調には気を付けてくださいませ。
ブクマ、☆タップでの評価、感想等よろしくお願いいたします!




