4.実技試験開始
まだ、少し短いです。
読みごたえがなくて、すみません。
「それでは実技試験開始!まずは1年Cクラス!」
『はい!』
試験官の先生の声が響く。
Cクラスの生徒は順番に学院の庭に並んだ的の前にならぶ。
そして、実技試験が始まった。
「火よ敵を燃やし尽くせ!ファイヤーアロー」
「水よ敵を貫け!ウォーターアロー」
「風よ敵を射ぬけ!ウインドアロー」
「土よ敵を穿て!アースアロー」
このような声があちこちで聞こえる。
アロー系の魔法が多いのは、威力が一番大きくなりやすいからである。
(ああ、中二病発表会だ...)
フーヤは心の中で頭を抱える。
別に、魔法の発動には詠唱が必要なわけではない。
この世界の魔法とは、「イメージされた現象を魔力を使い具現化する」ものである。
そのため、イメージさえはっきりとし、魔力による魔法発動さえ出来れば詠唱が必要ない。
しかし、それが出来ない者が多いので詠唱が一般的となっているのだ。
そして、どうやら詠唱を考えた人物は中二病発症者の転生者らしく、中二病っぽい詠唱が学院で教えてもらえる詠唱となっていた。
なぜ、中二病発症者の転生者が考えたという結論になったかというと、英語すなわちカタカナの部分の意味がこの世界の人には理解されていないからである。
フーヤはこのことに気付いたとき、
(そいつのせいかぁぁぁ!恥ずかしい詠唱をしなきゃいけないのは!会ったら殴りたい)
そう思ったがどこの誰か知らないので出来ない話である。
そんなに嫌なら、詠唱しなければいいと思うかもしれない。
実際、フーヤは転生特典チートにより無詠唱自体は出来る。
しかし、それはフーヤには、出来ない相談だった。
なぜなら、
(詠唱なしで魔法を使うと、王族のお抱え魔法使いの道しかないし、それは避けたい。詠唱の改変とか、省略詠唱だけでも、目をつけられるのに、無詠唱とかしたら...)
そういう訳である。
フーヤが詠唱の恥ずかしさと闘っている間に、Cクラスの試験が終了した。
次はフーヤのいるBクラスの番である。
ちなみに、フーヤのいる学院では成績のいい者からA→B→Cと振り分けられている。
本来のフーヤの実力なら、Aクラスどころか、そもそも学院に通う必要はない。
しかし、目立ちたくないフーヤはわざと手を抜いてBクラスのレベルを維持していた。
「Bクラス始め!」
(さて、さっさと終わらせますか)
そして、フーヤは恥ずかしさをぐっと抑えて詠唱する。
「風よ斬りさけ!ウインドカッター」
声が小さくなってしまったが、詠唱を済ませると、魔法を放つ。
フーヤの魔法は的の表面に大きな斬り傷をつけた。
(よし、成功!)
心の中でガッツポーズをしてしまうフーヤ。
(Aクラスだと、的の破壊が必要だけどBクラスなら大きな傷をつければいいもんね)
ちなみに、Cクラスレベルだと小さな傷をつけられるくらいだ。
「フーヤも終わったか」
レクスがそう言ってやって来た。
「あいかわらず、Bだな」
フーヤの的を見るレクス。
「そう言うレクスは?」
「あれだ」
レクスが指差したのは大きな傷がついた的。
「レクスもじゃん」
「そうだな」
二人で吹き出して笑う。
「精度は上がってんだけどな」
「的の強度も上がるから仕方ないよ」
そう言って、慰める。
(意外に、落ち込みやすいんだよなぁ、レクス。それはともかく...)
レクスにバレないように、『索敵魔法』の表示を見る。
(また、見られてる。なぜだ?なんにもおかしなことしてないのに...)
フーヤはルーンを盗み見る。
ルーンは微笑んでいるようにも見えるが、目はフーヤの方を見ている。
(なんで?)
フーヤは不安気に顔を少ししかめた。
次回投稿まで、少し時間があくかもしれません。
2日ほどお待ちください。
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