39.ギルドでフラグ回収!?
いよいよ、今回でフラグ回収なる......のか?
さっきまで、ガヤガヤと騒がしかった『冒険者ギルド』の中が静まりかえっている。
「何か用ですか?別に魔法学院の生徒が冒険者登録をしてはいけないという決まりはないですよ?」
ユウレイルは澄ました顔で闘剣士の男を見る。
「決まりとかじゃねーよ!冒険者の仕事を舐めてるような甘ちゃんに冒険者は勤まらねえって言ってんだよ!」
どうやら、ユウレイルとゼロイの話に出ていた隠語やロックドラゴン千頭あたりの言葉は聞いていなかったらしい。
まあ、隠語は聞いていても意味は分からなかっただろうからそこは仕方がない。
それに、魔法学院には平民も通っているが、圧倒的に貴族が多く、命が危険にさらされる状況にはならないように配慮されている。
甘ちゃんと思われるのも当たり前なのだ。
普通であれば。
「だいたい、お前。見ない顔だが、堅物と知り合いか?まあいい。だが、甘ちゃんを冒険者にしようとするのは認めねえぞ!」
闘剣士の男がユウレイルにかみつく。
「へえ、君になんの権限があるんだい?」
「俺はこの辺りで有名な青級の冒険者なんだぞ!俺に逆らうとどうなるか…」
「青級とか雑魚じゃん」
自慢気な闘剣士の男の言葉をバッサリと切り捨てるユウレイル。
一応、付け足しておくが青級は一流冒険者のみに与えられる等級である。
言葉使いが荒々しくとも、実力のある人格者に与えられるものだ。
当然ながら、闘剣士の男の言葉は言葉使いこそ厳しく、荒々しいものの、フーヤとレクスを心配したものであり、普通であれば正論なのである。
「はあ!?雑魚ってどういう事だ!?」
冒険者で青級は一種の憧れであり、雑魚呼ばわりする者などいない。
普通なら。
「はい、僕の『ギルドカード』だよ。僕からすれば、青級とか雑魚同然だから」
ユウレイルが『ギルドカード』を闘剣士の男に見せつける。
『ギルドカード』は、名前、等級が記されており、さらに専用の水晶板によってこれまでの依頼の成功率なども調べる事が出来るものだ。
身分証にもなり、本人以外が所持していると十数えるうちに崩れ去ってしまう術式まで仕込まれたハイテク――いや、ハイマジカルな品なのだ。
そして、当然であるが『英雄』でもあるユウレイルの等級は虹級である。
「に、に、に、に、に、虹級!!!!!!」
闘剣士の男は運が悪かったとしか言いようがない。
もう一度補足しておく。
闘剣士の言っている事は正論である。
ただ、その正論が通じなかった相手というだけだ。
突然のユウレイルの虹級宣言に騒然となる『冒険者ギルド』。
「ユウレイル。あんまり、ギルドを騒がせないで下さい。そもそも、何故煽るんです?だいたい、最初から受付嬢がいるカウンターに行けばそこまで騒がれる事もなかった事ぐらい知っているでしょうに」
ゼロイが淡々とユウレイルに話しかける。
「いや、僕も弟子であるレクスとその友であるフーヤ君が軽く見られるのは我慢ならなかったし、煽るくらいはやるに決まってるよ。ゼロイ一択で受付を選んだのは受付嬢とか嫌いだからだよ。わざわざ、並んでまで話たくない」
ユウレイルがそう言った瞬間。
『冒険者ギルド』内が水をうったように静まりかえる。
特に目当ての受付嬢がいるような連中はユウレイルの言葉に殺気立っている。
また、オブラートに包まれる事なくストレートに嫌い発言をされた受付嬢たちの中にも殺気立っている者がいた。
「ユウレイル。何でもかんでも正直に答えるのはやめて下さい」
「そうですよ、師匠。受付嬢の中いい人だっていますよ」
ゼロイとレクスが次々に言う。
「いいや、いないね。世の中の女性ってやつは、だいたいがろくでもないやつしかいないから。受付嬢だろうと誰だろうと例外はない」
きっぱり言い切るユウレイル。
「………絶対に彼女出来ないやつだ」
しばらく、放心状態だった闘剣士の男がぼそっとつぶやく。
ユウレイルが虹級だったというショックからはなんとか抜け出しているようだ。
「残念。いるよ、彼女」
ユウレイルがそう言ったとたん、『冒険者ギルド』の扉が開く。
カランカラン―――――――
「ユウレイル。二人の冒険者登録終わった?」
「「「「「「「なっ!?」」」」」」」
『冒険者ギルド』にいたほとんどの冒険者の声がハモる。
「なんで『英雄』のルーン=ルナティック様がここに……」
闘剣士の男のその言葉がその場にいる者たちの気持ちを代弁していた。
「なんでって、ルーンは僕の彼女だからね。というわけで、ゼロイ。レクスとフーヤ君の冒険者登録、頼んだ」
「ユウレイル。いいの?このままで」
「大丈夫だよ。ゼロイに任せとけば」
ユウレイルとルーンは一緒に『冒険者ギルド』から出ていった。
(………なんか、目立ちたくないけど目立ってもしょうがないとかそれ以前の問題な気がする。フラグ回収どころか散らかしていったよね。ユウレイルさん)
フーヤはため息をつくと、ゼロイを見る。
「まったくもっていつも通り過ぎですね。ユウレイル。後で絶対におごってもらわねば……」
ゼロイはそうつぶやくとため息を盛大に吐いた。
「これ、フラグ回収っていうの?(byフーヤ)」
いわないと思う。
次回投稿は、次の日曜日!
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