30.秘宝の秘密
土曜日投稿!
ぼちぼちストック出来てきている......いや、出来てなかった。
出来れば、週二ペースに戻したい......
「見事なまでに、声がハモったねえ...」
そう言って緑茶を飲むルーンの周りではアルカナ―『火の杖』が旋回している。
「いや、何で持ってんだよ!?」
フーヤのその発言をさらりと無視し、ルーンは小アルカナの説明を続ける。
「それと、あいつが持っている『土の金貨』でしょ。そして最後に、ユウレイルの『水の聖杯』がある」
「「うわあぁ!!!」」
フーヤとレクスが、いつのまにかルーンの隣で饅頭を食べているユウレイルに驚く。
目の前にいるのに、ルーンがユウレイルの名前を言うまでフーヤとレクスはユウレイルの存在を認識出来なかったのだ。
いや、正確には名前を呼ばれた刹那にそこに現れたと言うのが適切だが。
そしてユウレイルは、マイペースにも饅頭を食べながら懐に手を入れる。
ユウレイルの取り出したアルカナ―『水の聖杯』は、ゆっくりとユウレイルの周りを旋回し出す。
「師匠も持っていたんですね.........」
レクスがそう話かけるが、ユウレイルは饅頭を口に入れていたので、返事はなかった。
「さてさて、小アルカナは大アルカナと決定的に違うところがある。それが何かというとだね.........」
何事もなかったかのように、語り出すルーン。
何か諦めた顔をして、説明を聞くフーヤとレクス。
「小アルカナは、持ち主を小アルカナ自身が選ぶんだよ」
「それってつまり、選ばれし者的な.........」
「その通り!ちなみに、小アルカナは自分の持ち主が死ぬまでずっと離れないんだよ。ずっとずっと、誰かにあげても、捨てても、燃やしても手元に戻ってくる」
「それって、呪いの人形かなにか?......あと、単純にその仕組み気になる」
突っ込みの後に漏れたフーヤの本音に苦笑しつつ、ルーンは緑茶を飲む。
「あれ?じゃあ何であいつらは秘宝とやらを狙ってるんだ?大アルカナは魔力利用しか出来なくて、小アルカナは選ばれし者みたいなやつしか使うことが出来ないんだろ?」
少し意外なことに、レクスがそう質問した。
「よく気付いたじゃん」
フフフといった感じで、ルーンは微笑みつつ、その質問に答える。
「アルカナの伝承には、こんな一節がある。『22の大きなる力、14の4乗の小さなる力、一所に集まりし時、世界は思いのままになりぬ』つまり、ぶっちゃければ全部アルカナを手に入れれば、世界を支配するのも、滅ぼすのも簡単に出来るってこと。まあ、実際に小アルカナで国の一つや二つ、秒で滅ぼせるからね」
「とはいえ、実際に秒で国を滅ぼすのは止めろよ」
ルーンの説明に、ユウレイルが補足するかのように付け加えた。
ユウレイルは、また饅頭に手を伸ばす。
「言われなくても、滅ぼしませんよ。それより、本当にそれだけですか?」
ルーンはフーヤの言葉の真意を見ようとするかのように、ルーンはフーヤを見つめる。
そして、ふうっと息を吐きつつ、言った。
「......確かに、本題はここからとも言えるね」
ルーンは、髪をもて遊びながら説明をする。
「当然、強大な力である秘宝アルカナには、各国から監視がついている。大アルカナも魔力利用だけしか出来ないのは、能力が封印されているからだからだし、十分どのアルカナも危険性がある。そこで、各国の上に『秘密組織アルカナ』があるんだよ」
「『秘密組織アルカナ』!?.........ある意味全然秘密じゃない」
「そうだよね。僕もそう思ってた」
フーヤの言葉に、饅頭を食べながら同意するユウレイル。
そんな二人を見てから、コホンと咳払いをして仕切り直すルーン。
「その組織と各国の関係は、いくつかの取り決めにより定められている。
1.各国の重要施設にて大アルカナを管理する。
2.災害時などの際には、必要に応じて小アルカナの主を派遣する。
3.アルカナは大、小に関わらず、政治利用及び個人的な悪用をしない。(小アルカナに関しては、持ち主が全責任を負う)
4.アルカナを一所に、集めようとしない。(小アルカナの主が共に行動する程度であれば許容する)
5.組織の人間は、各国の最高責任者より上の権限を持つが、政治に手出し、口出し等をしない。
これが、決まり。だから、フーヤ君も守ってね。小アルカナを持っているだけで組織の一員だから」
「はいっ!?」
とんでもない爆弾発言が投下されて、目を白黒させるフーヤ。
隣では、レクスも少し驚いた顔をしている。
「まあ、悪いことばっかじゃないし、もう持ち主だから割りきってよね。各国の勢力争いに巻き込まれることもないし、基本自由だし、王侯貴族に敬意をはらう必要もないしね」
「でも、王侯貴族に無礼をはたらき過ぎるなよ」
「ユウレイルが、それを言うかなぁ...」
じと目でユウレイルを見るルーン。
その表情には、飽きれが見える。
「な、なんだよ。僕はその辺りわりと気をつけてるよ!」
ユウレイルは、心外だといわんばかりに不服そうである。
しかし、ルーンは飽きれつつ、口を開いた。
「だってさ、とある国の王様を殺人未遂したり...」
「それは、その...」
「とある国の王子の顔面を殴り飛ばしたり......」
「あれは......」
「とある国の貴族たちを簀巻きにして、海やら川やらに投げこんだり.........」
「.........」
ユウレイルが完全に沈黙する。
レクスが、ボソッとトドメの一言を放った。
「師匠......流石にやり過ぎでは.........」
「.........あれは、向こうが悪い」
ユウレイルは、開き直るとプイッとそっぽを向きつつつぶやく。
「師匠......何があったんです?」
レクスが、気遣うように聞く。
ガダンッ!
空気を全く読んでいないようなタイミングで、フーヤが立ち上がった。
フーヤは、無表情だったが重要な話をしたいらしいことは、雰囲気から伝わってくる。
そんなフーヤを見て、ルーン、ユウレイル、レクスは黙り込んだ。
ただ、三人の小アルカナが旋回し続けている。
「なんか、話がどんどんそれていくから戻させてもらうけど、結局、何をして欲しいのさ」
フーヤがルーンを睨み付けるようにする。
ルーンは、ニヤリと笑うとおそらく用意していたであろう言葉を告げた。
「フーヤ君、君とレクス君には冒険者をしてもらいたい」
「ちなみに、最後のセリフは『ボクと契約して冒険者になってよ』と言うつもりで止めたんだよね(byルーン)」
それって、魂が濁ると......
「いや、言葉の綾だから!そういうのじゃないから!(byルーン)」
次回投稿も次の土曜日になりそうです。
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