11.バカにされた
約束通り投稿しました!
◆ ◆ ◆
「いや、おおてがらだよ。フーヤ君!」
あの誘拐(殺人未遂?)事件の後、フーヤはルーンに呼び出されていた。
南のソファにフーヤが、西のソファにルーンが座っている。
いつになく上機嫌な、ルーンは学院長室に来たフーヤを名前呼びしている。
「あいつらはさ、私たちが追いかけてるいわゆるテロリストって感じのやつらなの。目的のためなら、犯罪にも手を染める的なさ。まあ、邪神の信者らしいから当たりまえだけど」
「邪神の信者?」
首をかしげるフーヤ。
「まあ、そういうやつらもこの世界にいるってこと」
そういって、ルーンは湯呑みに入った緑茶を飲む。
(この世界にも、湯呑みや緑茶あるんだな......初めて見た)
フーヤは自分の分の緑茶を飲む。
「そういえば、あいつらが例の物とか、言ってたけど?」
「あーそれね。その、例の物とやらがこの学院にあるのよ」
「どこに?そもそも例の物ってなに?」
「国家機密だけど.........聞きたい?」
ニヤッと笑うルーン。
「いえ、結構です」
「なんだ、つまんないの」
ルーンはつまらなそうに、つぶやく。
(国家機密なんて、聞ける訳ないだろ!)
「それにしても、今回はなかなかチートしてたらしいじゃない?」
「......頭に血が昇ってまして」
(うぅ.........失敗したなぁ...)
真顔で緑茶をすするフーヤ。
「腕を切り落とすとか、普通魔法じゃ出来ないからね。まあ、私が誤魔化しといたけど」
少し苦笑いのルーン。
「...すみません」
「まあそれなら、そのままチート無双を...」
「しないからな!」
◆ ◆ ◆
(あのとき、大変だったな......精神的に)
フーヤは、ルーンに呼び出された一日前のことを思い出す。
(まあ、何かあったら相談にのってくれるって言ってたけど)
ぼんやりしながら、フーヤがクラスの席に座っていると...
「フーヤ=ロイホードとかいうやつはお前か?」
フーヤが顔を上げると、グズデス先生がいた。
丸眼鏡に、きついつり目の嫌な感じがする先生だ。
「そうですけど、何か用でしょうか?」
「お前が、誘拐事件を解決したのか?」
「偶然ですよ」
フーヤのことを品定めするように、見回してくるグズデス先生。
(なんだ?この目は...)
ぞわぞわっとした感覚がフーヤの背中を走る。
「どうせ、嘘なんだろ。他の人の手柄を取って恥ずかしくないのか?」
「............」
フーヤは何も言わない。
いや、声が出なかったのだ。
(なんなのこの先生。急に来て、嘘をついてるんだろって...)
「グズデス先生。嘘ではありませんよ」
レクスが、フーヤの前に立ち、グズデス先生を見すえる。
「俺は、フーヤが危険をかえりみずに行動しているのを見ました。何も知らない先生がそう言うのは筋違いではないですか?」
「それは、本当なのかね?二人で示し会わせた嘘ってこともあるだろう。だいたい、Bクラスの生徒がそんなこと出来る訳がない」
「それは、フーヤの本当の実力ではありません!フーヤの本当の実力なら、おそらく貴方より実力は上ですよ。グズデス先生」
(...レクス、なんだか話の雲行きがあやしいのだが!)
フーヤの心の声は届くわけもなく、レクスとグズデス先生の話合いは続く。
クラス内は、静まりかえり、レクスとグズデス先生の声だけが響く。
「ワタクシより、上ですか......その言葉、本当でしょうね?」
「もちろんです!フーヤのことを舐めないでください!」
「判りました。明日の授業後、裏庭に来なさい。フーヤ=ロイホード。お前の実力、見てやります」
そう言い捨てると、グズデス先生はクラスから、出ていった。
グズデス先生が出ていったとたん、騒がしくなるクラス。
フーヤは、そんな中でぼそりとつぶやく。
「.........どうして、こうなった」
◆ ◆ ◆
「レクス!なんであんなこと言ったぁ!」
騒がしくなってしまったクラスから、抜け出したフーヤは、一緒に抜け出したレクスに詰め寄る。
ここは、空きクラスの部屋のため、誰もいない。
「いや、だってフーヤ。お前悔しくないのか?」
「それは......」
(確かに、悔しい気持ちもある。でも.........)
うつむくフーヤ。
「お前さ、なんですごい力あるのに隠すのかなって、俺は思ってたんだけどさ、分かったよ」
フーヤを真っ直ぐ見つめるレクス。
「フーヤ。お前、怖いんだろ」
レクスの言葉に、ハッと顔を上げるフーヤ。
「怖いんだろ。周りの目が、自分がどう思われるのか、嫌われるのが、一人になってしまうのが」
「そうだよ.........」
フーヤは、少しやけになりながら、声をしぼり出す。
「怖いんだよ!他のやつらと違うからって、仲間外れにされるのが......変なやつを見る目で見られるのが.........本当はレクスもそう思って...」
「思ってない!そんなこと......そんなことあるわけない!」
レクスは驚くほど真っ直ぐフーヤを見る。
「でも.........」
「大丈夫だ!もし、お前のこと悪く言うやつがいたら、俺が黙らせる!だから、信じろ!」
レクスの瞳は、どこまでも真っ直ぐで......
(もしかして.........前世の記憶のせいで、過剰に恐れてたのかな...............)
フーヤは決意を籠めた瞳でレクスを見た。
「判った」
次回投稿は、たぶん次の土曜日です。
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