各ジャンルの傾向
大ジャンル毎の傾向を見てもらった後は、より細かいジャンル単位での傾向を見てもらいたいと思います。何しろ、投稿される小説は大ジャンルだけでなくジャンルも設定して投稿しなければならないですし、検索機能を使って小説を探すときは基本的にジャンルを使いますからね。
というより、ジャンル再編後に初めて『小説を読もう』で検索をかけようとしたときに、大ジャンルの使い方があれで驚きました。いや、非常に合理的だとは思うのですが、まさか紐付けられたジャンルの全指定に使われているとは思いませんでした。もっとこう、検索条件に深く関わってくると思っていただけに、ある意味衝撃的でした。
それはともかく、ジャンル単位での集計を見ていきましょう。
最初は約45万件全体の集計です。大ジャンルと同じように小説の件数と割合の表があるのですが、まずは件数の方から見ていきます。細かくて非常に申し訳ないですが、画像をたくさん用意しようとするとアップロードするのが大変なので、これで我慢してください。
この表は区切られた階層に投稿された小説がどれだけあるのかを小説件数で表しています。それと、表が大きくなりすぎましたので分割しています。左端に全体の小説の数をもってきています。列名には大ジャンルとジャンルがあり、各行には階層の名称を付けています。表の作りは大ジャンルと同じです。
既に大ジャンルを見ていますので、小説の数などに納得のできるところは説明不要でしょう。そうなると特徴的なところを語ることになりますが、同じ恋愛に属する異世界と現実世界ですと後者の方が小説数が多いんですね。てっきり異世界の方が多いと思っていました。次は文芸に属するジャンルですが、ヒューマンドラマが断トツで驚きました。私としてはコメディーかホラーが最も大きいと思っていただけに意外でした。意外と言いますと、SFに属するジャンルでは空想科学が圧倒的に小説数が多いことにも驚いています。ここはVRゲームに投稿小説が集中していると思っていただけに意表を突かれました。
ちなみに、ノンジャンルは大ジャンルで語ったので省略します。
次は小説の割合の方の表を見てもらいます。下の表が各ジャンルの総合計を100%としたときに、各階層にどのくらいの割合(各階層の小説の数÷各ジャンルの小説の合計数)で小説があるのかを表しています。
表の中の青字は「全体」列の値よりも大きい場合、赤字は小さい場合です(ただし0ポイント層は逆)。表の下にもっと細かい条件を書いてますが、要するに、「全体」列の値に比べて飛び抜けて大きな値や小さな値になっていれば注目しているということです。
どうして小説の数だけでなく各ジャンル内における各階層の割合を算出したのかといいますと、各ジャンルにおける高ポイント小説の割合を知ることで、評価してもらいやすいジャンルとそうでなジャンルを知りたかったからです。
ざっと見ていきますと、異世界、ハイファンタジー、歴史、VRゲームのジャンルにとても勢いがあります。それこそ、0ポイント層から10000ポイント以上の層までが全体平均を大きく上回っています。10000ポイント以上を獲得しやすいジャンルと言えるでしょう。歴史やVRゲームのように投稿小説の数が少なくても勢いがあるというのが面白いですね。
その次に勢いがあるのは、現実世界、ローファンタジー、コメディー、宇宙、パニックですね。いずれも下位層のボリュームはありますが、上位層に少し元気がない状態です。
更にその下には、純文学、推理、ホラー、空想科学、童話、エッセイ、リプレイが続いています。いずれも下位層にボリュームがあるのは現実世界のグループと同じですが、上位層に赤字が目立つなど更に悪い状態です。この中には10000ポイント以上の層に小説がないジャンルもあります。
そして詩は、旧ジャンルと同様にとても厳しい状態ですね。2500ポイント以上に小説がありません。
こうしてみますと、大ジャンルである文芸とSFにも元気なジャンルがあることがわかります。ただ、小説の数が少なすぎるせいで、大ジャンルに劇的な変化はもたらせていないようです。
では次に見ていただくのは、ジャンル再編があった2016年5月24日以後に初投稿された小説に関する表です。
ジャンル再編後の各ジャンルを見ていきますと、約45万件全体のときのものを縮小した感じですね。そのせいで推理、ホラー、宇宙、パニック、その他は10000ポイント以上の層に小説がなくなってしまいました。ただ、これは期間が9ヵ月しかないので上位層に上り詰めるまでポイントが付いていないだけのように思えます。当たり前のように何百と小説が10000ポイント以上の層にある異世界やハイファンタジーが普通じゃないと思うのは私だけでしょうか。ノンジャンルの小説が全てどこかに振り分けられたらまた違った様相になるかもしれないですけど、それは言っても仕方ないですね。
次は小説の割合の方の表を見てもらいます。約45万件全体のときと同様に、各ジャンルの総合計を100%としたときに、各階層にどのくらいの割合(各階層の小説の数÷各ジャンルの小説の合計数)で小説があるのかを表しています。
ざっと見ていきますと、異世界とVRゲームのジャンルにとても勢いがあります。それこそ、0ポイント層から10000ポイント以上の層までが全体平均を大きく上回っています。10000ポイント以上を獲得しやすいジャンルと言えるでしょう。投稿小説の数が少ないVRゲームも頑張っています。
それに対して、約45万件全体のときと違って、ハイファンタジーと歴史は一歩後退してしまいました。これでも充分優秀なジャンルなんですが、途中で少し元気がなくなってしまっています。
その次に勢いがあるのは、現実世界、ローファンタジー、コメディーですね。いずれも大体平均的なところで落ち着いています。ただ、上位層が少し弱いですね。
一方、ホラー、童話、エッセイ、リプレイになりますと、いずれも下位層にボリュームはあるものの、上位層が全く駄目です。10000ポイント以上の層には小説が全くありません。
しかしそれ以上に酷いジャンルもあります。純文学、ヒューマンドラマ、アクション、詩、その他です。もうどこを見ても真っ赤です。
さすがに期間が9ヵ月と短いとなかなか厳しい状態になりますね。しかしそんな中でも絶好調な異世界やVRゲームというのはすごいと思います。
では次に、異世界転生と異世界転移の小説について見ていきます。人気の高い小説が集まっているようですが、各ジャンルはどうなっているでしょうか。
これは……えーっと、異世界転生と異世界転移に限っていますから、大ジャンルの恋愛とファンタジーに小説が集中するのは仕方ないと思います。しかしそれにしても、ここまで集中しているとは思いませんでした。異世界、ハイファンタジー、ローファンタジーの3ジャンルだけで8割以上を占めています。
残り2割程度の小説を他のジャンルで分け合っているわけですが、その中でも目立って多いのがコメディーとアクションですね。異世界転生と異世界転移を組み込んでも違和感がなさそうなジャンルだからでしょう。逆に小説数が2桁のジャンルは、異世界転生と異世界転移との相性が良くないのか、それとも組み込む意味があまりないのかもしれません。
それと、同じ大ジャンルに属していても、現実世界に投稿された小説は少ないですね。私は1000件くらいはあると思っていました。
これだけ投稿された小説の数に差があると、むしろすがすがしいですね。異世界転生と異世界転移はファンタジーに集中していると思っていましたが、ここまで偏っているとは思いませんでした。約45万件全体のハイファンタジーの小説数が約3万3千件でしたから、実にハイファンタジーの半分が異世界転生と異世界転移ということになります。現代日本から異世界に行くとなるとどうしても必要な設定ですから、これは仕方ないのかもしれません。
次は小説の割合の方の表を見てもらいます。表の中身は今までと同じ作りです。
随分と赤字が目立ちますよね。こりゃ酷いなーと一瞬思いましたが、先ほどの小説の件数を思い出して納得しました。大半がハイファンタジーに集中しているのですから、その他のジャンルが振るうわけがありません。
当のハイファンタジーですが、異世界転生と異世界転移として投稿された小説の半分以上が集中していますので、どうしても全体平均と同じような値になってしまいます。ですから、字の色は青色にも赤色にもならないんですよね。異世界転生と異世界転移で小説を投稿するならハイファンタジーが無難といったところでしょうか。埋もれてしまう可能性も高いですが。
一方、異世界、現実世界、コメディーはかなり頑張っている方ですね。特に異世界と現実世界の2つは上位層が厚いようです。他には、ヒューマンドラマ、推理、VRゲームも下位層は薄いみたいですけれども上位層は悪くありません。
こうして見ますと、ハイファンタジーは別格として、異世界と現実世界の2つが異世界転生と異世界転移で割と読者に支持されていることがわかります。現実世界なんて投稿されている小説の数は少ないのにこれだけ割合がいいのは、読者が積極的にポイントを付けているからなのでしょうね。
では次ですが、今度は異世界転生と異世界転移のキーワードチェックがされていて、尚かつ2016年5月24日以後に初投稿された小説に焦点を当てます。これは一体どうなっているでしょう。
ジャンル再編後に初投稿された異世界転生と異世界転移の小説ですが、1つ前の表と大体似たような感じになっています。ですから全体的な小説の数の変化に真新しいものはないのですが、1つ前の表と見比べてみると、異世界転生と異世界転移の小説はジャンル再編後の方が投稿小説数が多いことがわかります。異世界転生と異世界転移が流行っているから、作者の皆さんが以前にも増して小説を投稿しているようです。
次は小説の割合の方の表を見てもらいます。表の中身は今までと同じ作りです。
期限を区切らない異世界転生と異世界転移の1つ前の表よりも更に赤くなりました。それ自体はおかしなことではありませんが、期限を区切らないときの表と違う点があります。
まずは、ハイファンタジーに青字が発生しているということです。下位層ばかりですが、これはジャンル再編前よりも盛んに小説が投稿されて、尚かつとりあえずポイントを付けてくれる読者がいることを示しています。
次に、コメディーの層が全体的に厚くなっています。小説の数からすると大したことはないのですが、割合としては改善したということです。他のジャンルが地盤沈下をおこしたとも言えます。
他にも、異世界とヒューマンドラマの上位層が厚くなっていることが挙げられます。特にヒューマンドラマなんかは小説の数の面からするとやっぱり少ないんですけど、良く踏ん張っていると思います。
しかし何より一番驚いたのが、現実世界の10000ポイント以上の層に小説がひとつもないことです。小説件数の表では全然気づかなかったんですけども、直前の5000~9999ポイント層まではしっかりと小説があるのに、もうひとつ上には届いていないようです。
小説の数という点からすると異世界とハイファンタジーが圧倒的ですが、割合という面から見ますと、ヒューマンドラマやコメディーも割と頑張っているということがわかりました。10000ポイント以上の層にも小説が存在するということは、それだけ熱心にポイントを付けてくれる読者がいるということなのでしょう。
データを元に各ジャンルがどうなっているのかを見てみました。ファンタジー1強の原因だった異世界転生と異世界転移においては、ハイファンタジーの存在はまだまだ圧倒的です。ただ、中にはコメディーやVRゲームのように、小説の数が少なくても存在感を発揮しているジャンルはあります。
あと、個人的に気になったのはエッセイの幅広さです。どんな切り口で見ても下位層近辺の層はやたらと厚いんですよね。上位層はからっきしですが、どんな見方をしても似たような結果になるというのはある意味すごいです。