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各大ジャンルの傾向

 前回は、大ジャンル毎とジャンル毎の中央値を見てもらいました。あれで投稿された小説の真ん中がわかっていただけたかと思います。約45万件全体、ジャンル再編成後に初投稿された小説、異世界転生と異世界転移などと区切りを付けて分析しましたが、意外なところや当然なところがありましたね。

 今回は、大ジャンル毎について更に詳しく見ていきます。大ジャンル毎にポイントの階層で区切って、どのように小説が分布しているのかということを見ていくわけです。




 ということで、早速見ていきましょう。大ジャンル毎にポイントの階層で区切って集計した表です。最初は約45万件全体の集計です。



挿絵(By みてみん)


 上の表が区切られた階層に投稿された小説がどれだけあるのかを小説件数で表しています。つまり、実際にどれだけの小説があるのかということがわかります。下の表が各大ジャンルの総合計を100%としたときに、各階層にどのくらいの割合(各階層の小説の数÷各ジャンルの小説の合計数)で小説があるのかを表しています。

 左端に全体という項目がありますけど、これは以前見ていただいた数値と同じです。問題は、恋愛、ファンタジー、文芸、SF、その他、ノンジャンルですね。


 まずは上の件数の表ですけど、各大ジャンルの投稿された小説の総合計ですがノンジャンルが突出しています。全体が約45万件なのに対して約28万件もあります。ジャンル再編から9ヵ月ほどが経過していますが、ついにジャンル設定をしてもらえなかった小説達です。再設定されなかった理由は色々とあるでしょうけど、重要なのはそこではなく、ノンジャンルのままであるということです。実に6割がそうなんですけれども、これってつまり、作者からもう過去の作品と判断されたわけですよね。10000ポイント以上付いている小説も約570くらいあるのを見ると、私なんかはもやもやとした気持ちになってしまいますが、今後もジャンル再設定をしてもらえる可能性は低いでしょう。

 ではこの小説達は無意味になったのかと言いますと、もちろんそんなことはありません。この『小説家になろう』がここまで大きくなった原動力は間違いなくノンジャンルのままの小説があってこそですし、これからも読めるのですから本サイトの土壌としてこれからも地味に活躍してくれるでしょう。ただ、こういったデータ分析にのときには厄介な存在になりがちですが。

 次にノンジャンル以外の大ジャンルですけど、恋愛からその他まで5つあります。その総合計を見てみますと、どの数字もそれほど大きな開きはなさそうですよね。いえ、SFだけは低いですが、それ以外はそう極端な差はありません。つまり、ジャンル再編前と比べると、投稿小説数の面ではファンタジーの1強状態が解消されているわけです。ジャンル再編による小説数の平均化はある程度成功したと言えるでしょう。


 次に下の割合の表を見てみましょう。

 表の中の青字は「全体」列の値よりも大きい場合、赤字は小さい場合です(ただし0ポイント層は逆)。表の下にもっと細かい条件を書いてますが、要するに、「全体」列の値に比べて飛び抜けて大きな値や小さな値になっていれば注目しているということです。

 どうして小説の数だけでなく各大ジャンル内における各階層の割合を算出したのかといいますと、各大ジャンルにおける高ポイント小説の割合を知ることで、評価してもらいやすい大ジャンルとそうでな大ジャンルを知りたかったからです。

 それでは各大ジャンルを見ていきましょう。


――恋愛――

 すごいですね。1~24ポイント層以外が全て青いです。全階層にわたって層が厚いじゃないですか。階層によっては全体平均よりも4倍以上も値が高い階層もあります。つまり、読者は読んだら何らかの評価をしてくれるということでしょう。特に100ポイント以上の階層が厚いです。一旦気流に乗れば、10000ポイント以上の階層までの道のりはしっかり確保されているということなのかもしれません。


――ファンタジー――

 小説の件数では他の大ジャンルと似たような感じにならされたファンタジーですが、それでも全階層の層の厚さは健在です。100ポイント以上の階層は恋愛に続いて厚いですね。そして、10000ポイント以上の層に至っては全体平均の4倍以上もあります。さすがに最も人気のあるジャンルだと言われるだけあります。


――文芸――

 文芸の大ジャンルは、小説の件数こそファンタジーに比肩しますが、付けられたポイントを見ると残念ながらそこまでではないようです。100ポイント未満の下位層は恋愛やファンタジーに匹敵する層の厚さがありますけど、それ以上となると層が薄くなっています。1000ポイント以上の上位層から目立って全体平均を下回っていますが、そこまで酷くありません。よく健闘していると言えるでしょう。


――SF――

 大ジャンルの中では最も件数が少ないですが、割合を見てみますと結構盛んであることがわかります。全階層にわたって層が厚く、大体どこも青字で表示されています。真ん中が青字ではないので弱そうに見えますが、数値そのものは全体平均を大きく上回っています。1000ポイント以上の上位層では全体平均の2倍以上もあります。そのため、恋愛とファンタジーと同じように、一旦気流に乗れば、10000ポイント以上の階層までの道のりはしっかり確保されているように見えます。


――その他――

 その他の大ジャンルは、小説の件数こそ恋愛に比肩しますが、付けられたポイントを見ると残念ながらそこまでではないようです。100ポイント未満の下位層は恋愛やファンタジーに匹敵する層の厚さがありますけど、それ以上となると層が薄くなっています。1000ポイント以上の上位層から目立って全体平均を下回っており、赤字で表されているように高ポイントの小説はほとんどありません。


――ノンジャンル――

 ここは全階層で層が薄いですね。ジャンル再編後に少なからぬ作者がジャンルを設定したでしょうから、層が薄くなるのは当然だと思います。しかしそれでも、1000ポイント以上の上位層の小説でジャンルが設定されていないものがあるのには驚きました。もったいないと思うのは、私が貧乏性だからでしょう。

 現在の小説の総数のうち、約6割がノンジャンルのままです。


 というような感じになります。私の感想としては、ジャンル改編後にノンジャンル群から高ポイントの小説が別の大ジャンルへと移ったからこそ、各大ジャンルの割合が好調なんだと考えています。それでもノンジャンルにあれだけの高ポイント小説が残っているところを見ますと、『小説家になろう』というサイトの層の厚さには本当に驚きます。




 では次に見ていただくのは、ジャンル再編があった2016年5月24日以後に初投稿された小説に関する表です。



挿絵(By みてみん)


 まずは上の件数の表ですけど、各大ジャンルの投稿された小説の総合計ですが、約45万件全体のときと違ってノンジャンルがほぼありません。抽出条件がジャンル再編後に初投稿された小説ですので当然なんですが、そうなると逆にどうしてノンジャンルのデータが存在するかということになります。理由は簡単で、2016年5月24日当日、システムが切り替わる直前に投稿された小説だからです。だったらそれを取り除くべきだろうという意見が聞こえてきそうですが、同日に新ジャンル体制で投稿された小説もありますので、取り除く手間を考えてそのままにしておきました。件数も19件と大勢に影響はないですしね。

 次にノンジャンル以外の大ジャンルですけど、その総合計は約45万件全体のときの値をそのまま縮小した感じですね。ファンタジーと文芸が並んでいて、次に恋愛とその他が仲良くその後を追いかけています。ですから、ジャンル再編前と比べると、投稿小説数の面におけるファンタジーの1強状態は解消されています。


 次に下の割合の表にある各大ジャンルを見てみましょう。

――恋愛――

 普通は下位層が青字で上位層が赤字になりそうなものなんですが、恋愛ではそうなっていません。100ポイント未満の層ではぱっとしていないですが、そこから上の階層になるにつれて層の厚みが増しています。10000ポイント以上の層だけ息切れしたのか青字ではありませんが、それでも全体平均を上回っているのはさすがですね。一旦気流に乗れば、10000ポイント以上の階層までの道のりはしっかり確保されているという点は健在と言えるでしょう。


――ファンタジー――

 表の数値を眺めますと、ほぼ全階層で全体平均を上回っています。それほど圧倒的な層の厚さは見当たりませんが、どの階層にも安定して小説が存在するのは大きな強みでしょう。例外的に、10000ポイント以上の層は圧倒的に強いですけどね。つまり、突き抜けて高ポイントを得られる小説は一気に上りつめているということでしょうか。


――文芸――

 文芸の大ジャンルは、付けられたポイントという面から見た場合、かなり苦戦していますね。50ポイント以上の階層から真っ赤です。投稿されている小説の数は多いんですけれど、読者にあまり評価されていないということになりますね。ただそれでも、10000ポイント以上の層まできちんと小説がありますから、一応高ポイントへの道はあるということになります。


――SF――

 小説の数こそ少ないですが、割合を見てみますとなかなか頑張っています。各階層の数値を見比べていきますと恋愛に似ているんですよね。1000ポイント未満の中位層まではぱっとしないですが、そこから上になるとその厚みが増しています。10000ポイント以上の層で息切れしている点も恋愛と同じですね。以上から、一旦気流に乗れば、10000ポイント以上の階層までの道のりはしっかり確保されているという点は健在と言えるでしょう。


――その他――

 その他の大ジャンルも文芸と同じように苦戦しています。100ポイント未満の下位層はまだ頑張っていますけど、それ以上の階層は真っ赤です。特に10000ポイント以上の層に小説が全くないというのは悲しいですね。これを見ていますと、とりあえずポイントは付けてもらえますけど、高ポイントは難しいということになります。


――ノンジャンル――

 さすがに数が少なすぎて言うことがないです。こんなものでしょう。


 というような感じになります。ある意味、ジャンル再編後の本当の情勢がこの表に現れているのではないかと思います。過去の資産を抜きにしていますから、現在の『小説家になろう』における読者の動向を最も表しているのではないでしょうか。そうなりますと、恋愛、ファンタジー、SFは隆盛しているのに対して、文芸とその他は苦戦しているという構図になります。これからこの差が広がるのかそれとも縮まるのかは、今後の経過を観察するしかないですね。




 では次に、異世界転生と異世界転移の小説について見ていきます。人気の高い小説が集まっているようですが、中央値はどうでしょうか。



挿絵(By みてみん)


 まずは上の件数の表ですけど、各大ジャンルの投稿された小説の総合計ですが、約45万件全体のときとその構図が変わっています。まず、ファンタジーに投稿された小説が圧倒的に多いです。その次に恋愛と文芸が続き、SFとその他が最も少ないです。これだけ見ますと、ジャンル再編前のファンタジー1強という形が何も変わっていません。つまり、異世界転生と異世界転移においては、ジャンル再編という効果はなかったということになります。恐らく運営もそれがわかっていたからこそ、ジャンル設定とは別に、異世界転生と異世界転移というキーワード設定を特別に用意したのでしょう。集計してこの表を見たときに初めてその真意がわかりました。

 それと、ノンジャンルの数が思ったよりも少ないのは意外でした。恐らくその多くがジャンルの再設定をしたのでしょう。


 次に下の割合の表にある各大ジャンルを見てみましょう。


――恋愛――

 他のデータ分析で異世界転生と異世界転移はポイントを付けてもらいやすいという結果が出ていましたから、さぞかし青字が並ぶんだろうなと思っていました。ところが実際に集計してみますとそんなことはなく、100ポイント未満の層では赤字すら見えます。さすが恋愛というべきか、1000ポイント以上の上位層からはその強さを発揮しますけど、圧倒的に強いわけではないですね。10000ポイント以上の階層までの道のりは確保されていますが、下位層を突破するのが少々難しいかもしれません。


――ファンタジー――

 異世界転生と異世界転移はファンタジーのためにあるというくらい独壇場なのかと思いきや、全階層にわたって全体平均とほぼ同じです。意外でしたけれども、異世界転生と異世界転移の小説の大半がファンタジーなのですから当然の結果とも言えます。それも考慮に入れますと、青字にこそなっていませんが、ジャンル再編前から圧倒的な勢力を誇っていると言えるでしょう。


――文芸――

 文芸の大ジャンルは、付けられたポイントという面から見ると苦戦していますね。特に250ポイント未満の階層が真っ赤です。それでも上位層にそれなりの小説が存在しているのですから大したものだと思います。恋愛と同じように、10000ポイント以上の階層までの道のりは確保されていますが、下位層を突破するのが難しいかもしれませんね。


――SF――

 小説の数が少ないだけでなく、読者からの評価もなかなか厳しいようですね。1000ポイント未満の中位層までに赤字が続いているは心細いですが、数値をひとつずつ見ていきますと、実は文芸とそんなに変わらなかったりします。大体一回りくらい悪くした感じでしょうか。少ないながらも10000ポイント以上の層まで小説があります。


――その他――

 1~24ポイントの層だけ青字ですが、他の階層は非常に残念な状態です。小説の数はSFとほとんど同じですけど、付けられたポイントはSFよりもわずかに少ないですね。


――ノンジャンル――

 意外なことに他の大ジャンルと違ってなかなか良い状態です。過去の資産がそのまま残っているのですから、ある意味当然とも言えますが、他の大ジャンルの状態を見ていますと、みんなもっとジャンル設定をしてほしいなと思います。


 というような感じになります。さぞかし景気のいい数値が現れるんだろうなと思っていましたが、意外に赤字が多くて驚きました。それと、異世界転生と異世界転移はやっぱりファンタジーが圧倒的に多かったということも再確認できました。SFとその他の件数がかなり少ないのは、異世界転生と異世界転移が大ジャンルになじまないからなのかもしれません。




 では次ですが、今度は異世界転生と異世界転移のキーワードチェックがされていて、尚かつ2016年5月24日以後に初投稿された小説に焦点を当てます。これは一体どうなっているでしょう。



挿絵(By みてみん)


 まずは上の件数の表ですけど、私が最も驚いたのは、ファンタジーの小説の件数です。先ほどの異世界転生と異世界転移全体の場合ですと、ファンタジーの小説は約1万9千くらいありましたが、それをジャンル再編後に条件を絞り込んでもまだ約1万1千もあります。この9ヵ月間でそれだけの小説が初投稿されたということですよね。思わずみんなどれだけ好きなんだよと思ってしまいました。

 それ以外ですと特に件数で語るようなことはなさそうですね。ジャンル再編後という条件がない場合の異世界転生と異世界転移の集計と構図は同じですし、小説の件数が減ったのは当然でしょう。


 次に下の割合の表にある各大ジャンルを見てみましょう。


――恋愛――

 ジャンル再編後という条件が追加されるとどうなるのかなと見てみたところ、なんと状態が改善されていました。下位層が弱いのは相変わらずなんですが、上位層共々全体的に全体平均と同じがそれ以上となる層が増えています。つまり、恋愛における異世界転生と異世界転移は以前よりも人気が出てきているということなのかもしれませんね。


――ファンタジー――

 ファンタジーに関しては、投稿されている小説の数が圧倒的なこともあって、基本的に全体平均と似たような感じになっています。約1万7千件の中で3分の2がファンタジーの小説なのですから、これは仕方ありません。


――文芸――

 文芸の大ジャンルは、ジャンル再編後という条件がない場合の異世界転生と異世界転移の状況とほぼ同じですね。つまり、今も昔も読者は同じようにポイントを付けているということなのでしょう。


――SF――

 SFの大ジャンルは、残念ながらジャンル再編後ですと読者の支持はあまり得られていないようです。全体的に悪化しているだけでなく、10000ポイント以上の層に属する小説がなくなってしまいました。SFは異世界転生と異世界転移との相性が良くないのかもしれません。


――その他――

 全体的に悪い状態になっていますね。特に1000ポイント以上の上位層はほとんどありません。


――ノンジャンル――

 投稿された小説はありませんので評価できないです。


 というような感じになります。ジャンル再編後という期限を切りましたので付けられるポイントが減ると言うことは予想していましたが、それに反して恋愛が少し盛り上がっているのは意外でした。ファンタジーは小説の数が多すぎてちょっと評価しにくかったですけれども、逆にその多さが未だに異世界転生と異世界転移で大きな支持を得ているとも言えます。




 データを元に各大ジャンルがどうなっているのかを見てみました。ジャンルの再編によってファンタジー1強という形が崩れたことが確認できましたね。そして、恋愛が台頭してきたことにより、ファンタジーと2強状態になっています。それと、文芸とSFも頑張ってはいますが、まだまだ力不足だと言うことも判明しました。この2つの大ジャンルには今後の活躍を期待したいと思います。

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