はじめに
初めまして、あるいは毎度私の書いた小説を読んでくださってありがとうございます。佐々木尽左です。
ちょうど1年前に、私は当時の『小説家になろう』全体を対象にしたデータ分析を実施し、それを公開しました。小説の数は約38万件もあり、全体像から始まり、個々のジャンルや小説1件に対する分析までやりました。難しい作業ではありませんでしたが、やたらと手間がかかって苦労した記憶があります。
しかしその甲斐あって、『『小説家になろう』をデータ分析してみた』は評判がとても良かったです。感想も好意的なものが多かったことから、やっぱり皆さん自分の書いた小説が、この小説投稿サイトでどの辺りに位置するのかということを知りたかったようです。
ところが、あの分析は発表早々その有用性をある程度損なってしまいました。『小説家になろう』のジャンルが2016年5月24日に大改編されてしまったからです。これにより、旧ジャンル単位での分析が意味をなさなくなってしまい、本当に参考程度の資料でしかなくなってしまいました。ジャンル再編はずっと以前から告知されていましたので驚きはありませんでしたが、やっぱり一時期は寂しさを覚えたものです。
そして現在、再び現状の『小説家になろう』を調べてみました。幸いなことに『小説家になろう』の各種データを取得できるAPIは以前と同様に公開されていますので、今回もそれを使っています。
今回の分析で気になったことは、ジャンル再編後に投稿された小説がどうなっているのかということと、独立項目となった異世界転生と異世界転移の小説の状況です。今まで強すぎたファンタジー、特に異世界転生と異世界転移をどうにかするという理由で実施されたらしいジャンル再編は、果たしてどのくらい効果があったのかということも検証していきたいと思います。
最後に、いくつか注意事項を明記しておきます。これを踏まえた上でご覧ください。
分析のために用意したデータを取得した方法は、『なろうデベロッパー』から公開されているAPI(http://api.syosetu.com/novelapi/api/)を使用しました。
対象データは2017年3月1日に『小説家になろう』から取得しました。約45万件です。ただし、APIの仕様上一部のデータは取得できませんでしたので、それは対象外となっています。
今回の発表では、敬称は全て省略させてもらってます。