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自宅へ?

翌日、いよいよ僕の自宅へと向かった。


一歩一歩、ゆっくりと歩みを進める。僕の家に近づく度に心臓の鼓動が高鳴った。


家はもうすぐそこである。


・・・


僕は家の門の前に立って見上げた。


僕の家は(そこ)にあった。


僕はその姿を見て自然と涙が溢れていた。


それは悲しみの涙でも喜びの涙でもない、様々な感情が入り混じった今まで流したことのない涙だった。


「ただいま…」


玄関を開いた、勿論誰もその声に応える者はいない。


「懐かしいな…十年ぶりぐらいに戻ってきた気分だ」


まるで初めてモデルハウスにでも来たように意味もなくあちこちの部屋を見て回った。


そして最後に自分の部屋へと入る…。


(ああ…ようやく帰ってきた。あの箱根山に行った時のままだ…)


と感傷に浸っていたが、ここは僕の住んでいた元の世界ではない。ここはケン爺さんの世界だ。


こっちの世界の僕もきっともう死んでしまったのだろう。


もしこっちの世界の僕と鉢合わせしたらどうなるんだろう?何とも言い難い奇妙な感覚なんだろうなと思う。


部屋の中の物を調べてみると、面白い事に何から何まで僕の持っているものと同じだ。


ケン爺さんの世界は本当に僕の住んでる世界に近いんだなと思った。


そう考えると僕の世界も一歩間違えればこうなっていたのだろう。


平和だと思っていたが、いつどうなるかなんて分からないものだ。


さて、せっかくなのでしばらくここで過ごしながらあちこち探索してみようかと思う。


自転車が置いてあったので移動はこれを使おう。


ん?待てよ?と思い、車庫へ向かった。


車が置いてあったのでもしかしたらと思いキーを回してみるとエンジンがかかった。


車も使えるようだ。


これならどこへでも行けそうだ。ガソリンが少なかったがスタンドにでも行けばまだ余っているものがあるだろう。


今日はとりあえず自転車で近所を巡ってみる事にした。


昔通ってた学校、いつも通っている道、近所などを自転車で走らせてみた。


いつも通っているはずのなんてこともない道なのだが、何だろう?あの騒がしくて煩わしかった街が廃墟になってしまった…まるで夢でも見ているみたいだ。


実は“あの家”に来た時から毎日ほっぺたをつねるのが僕の日課だ。


今も毎日のようにつねっては夢ではない事を確認している。痛いのでこれは夢ではなく、まぎれもない現実なのだ。


全く信じられない事だけど…。


お腹が空くと近くに果物やら仙人芋やらが実っているからありがたい。


僕は植物達に礼を言いながら食事にありついた…。


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