別離
雨 蕭々と散り乱れ
花 爛漫と舞い乱る
雫と花弁の夢想曲
噴き上がりゆく噴水が前にて
たださめざめと泣く女
やや淡々と告ぐ男
嗚呼 惑いよ 青春よ
二人の別れを飾るなよ
ただただ静かに終わらせよ
幸いな時を分けた二人を
何も言わずに見送れよ
舞い散る花弁の喧騒の中
二人の声は聴こえない
泣き濡らしたる女の瞳
彼方へ逸れたる男の視線
咽を嗄らす女の叫び
何も告げない男の無言
思い出は剥離する
幸いは色褪せる
まるで全てが嘘かのように
この雨が止む頃には
二人は別の途上にいるのだろう