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黄金の時代  作者: 木村 洋平
魔法皇国ライレン編
73/79

相容れない者


「……お主、自分が何をしたのか分かっておるのか?」


薄暗い教室の中で、リヴィアの鋭い眼差しが目の前の青年を射抜く。


彼の右手には細長い金属製の杖が握られており、いつ何があってもおかしくはない、油断のならない状況。


「あの冒険者の事かい?分かっているさ、とっくにね。というか、こんなにも簡単に上手くいくなんて思ってもみなかったよ」


けれど、そんな表情険しいリヴィアとは対照的に、ダニエルはおどけた調子で彼女の問いに答えた。


あんな写真一枚で引っかかるなんて、何とも馬鹿な連中だ。


彼らを見下すようなダニエルの嘲笑がリヴィアの耳に聞こえてきた。


「……何故ヴァラルを貶めたのじゃ。この国の人々を騙してまで」


「別に?ただ邪魔だったんだ。彼は結構腕が立つみたいだから、事前に排除したまでさ。計画の妨げになりそうだったから」


「計画、じゃと……?ダニエル、何を企んで」


思わぬダニエルの一言に、リヴィアは訊ね返す。


まさか、彼の言ってることは――


「変革さ」


「っっ!!」


咄嗟に彼女は腕を前へ突き出す。


すると、ダニエルもまたリヴィアの動きに合わせ、素早く構えた。


凍てつくような冷気が、二人の間で広がっていく。


「……お主はレスレックにおるたくさんの者達に慕われておったはずじゃ。それなのに何故このようなことをする」


一定の距離を保ち、円を描くようにしてダニエルの真意を確かめるリヴィア。


彼の行おうとしていることは明らかにこの国に対する反逆だ。


かつてのアザンテと同じ行いを、この男は再び行おうとしている。


「慕われる……ねぇ?僕から見れば、冒険者の方が慕われていたような気もするけど?」


「なっ……どうしてあ奴の名が出てくる。関係ないであろう、ヴァラルは」


彼からの予想もしない返答により、リヴィアは戸惑ってしまう。


ダニエルとヴァラル。


宮廷魔法士と冒険者。


レスレックでもほとんど関わり合いが無かったはずなのに。


「大いに関係あるさ。オーガ如き、僕にとってわけはないというのに、どうして彼がここまで持てはやされているのか理解できないね」


「そ、それはあ奴が何も学ばずとも、魔法を使えるからじゃ。じゃからこの国で学べばさぞや立派な魔法士に――」


「聞き飽きたよ、その言い訳」


またそれか、とダニエルは肩を落とす。


「身体強化以外に、彼はここで何を学んだんだ?攻撃魔法?防護魔法?それとも回復魔法?彼はその一つでも身につけたことがあるのかい?」


「そ、それは……」


びくりとリヴィアは反応してしまう。


彼が目立ってやったことといえば、魔法薬研究会の補佐。


それはそれで立派な成果かもしれないが、ダニエルの聞きたいことはそういうことではなく、もっと具体的な中身だ。


「結局彼は魔法を何も学ばなかったそうだねえ。一年近くかけているのに。僕からすれば、あの冒険者は調合しか取柄のない落ちこぼれにしか見えないんだけど」


有象無象が集まる、無駄に規模の大きいギルド連中が大げさに喧伝したのは分かっている。


そんな冒険者達やごく普通の魔法士からすると、彼はさぞ立派に映えるだろう。


ダニエルが軽蔑するようにして、ヴァラルの行いを振り返った。


「そ、それは仕方がないのじゃ。人には適正というものが……」


「適正だって?はっ!そんな一言で片づけるのかい?随分と丸くなったね、以前の君とは大違いだ」


彼を擁護するリヴィアに、吐き捨てるようにしてダニエルは反論した。


「リヴィア。君の冒険者に対する憧れで、僕たちを振り回すのは止めてくれないか?第一、あんなわけのわからない奴にライレンの魔法技術を公開することがまずありえない。公私混同も甚だしいよ……ああ、そうか。確か君は、彼に惚れているんだっけ?ならしょうがないのかな??」


己の立場を理解していないお子様皇女様。


惚れた弱みは恐ろしいと、からかうようにしてダニエルは口元を歪ませる。


「違うっ!わらわはそんなつもりでっ!」


「ドレク・レーヴィスという幻影に追いすがり、何時まで経っても進歩の無い……この国の連中は本当にどうしようもない。だから変えてやるのさ」


かつてはあんなにも趨勢を誇っていたというのに、最近の魔法士は質の低下が著しい。


こうなったのも魔法技術をみだりに広め、教育方針の転換によって魔法に対する意識が変わったからだ。


ダニエルは挑発まじりの宣戦布告を彼女の前で宣言する。


「……皇女の名において、お主を拘束する。そして、洗いざらい吐いてもらう」


それを受け、リヴィアはこれ以上の語り合いは無駄だと悟り、


「やってごらん。身の程を思い知らせてあげるよ」


戦いが始まった。





リヴィアは突き出した左腕を薙ぎ払うようにして振りかざす。


弧を描いたその軌道に合わせ、形成される雷の矢(ボルト・アロー)がダニエルに狙いを定めていく。


雷の矢(ボルト・アロー)は、基となる魔力弾マジック・バレットに雷の属性が付与されている、相手を無力化させることに長けている魔法。


ダニエルは単独で事を起こそうとしているのか、または他にも協力者がいるのか等、リヴィアは状況を正確に知る必要があった。


最悪、レスレック城にいる宮廷魔法士達全員が敵ということも考えられる。


いや、考えられるのではなく、その可能性は非常に高い。


もしそうだったとしたら教師たちを率いて戦うことも……


だが、それは最後の手段だった。


騒ぎを起こすことで、却って生徒達を危険にさらしてしまうからだ。


彼の使った未知の変身魔法についての謎もある。


遅すぎる抵抗で、無駄な足掻きなのかもしれない。


それでも、リヴィアは企みを阻止しようと一人戦う。


そのためにもまず、計画の全容を把握する必要があり、彼を倒すしか道は無いのだ。


そんな思いを乗せるように、


「くらうがよいっ!」


雷の矢が放たれる。


ジジジと静かに放電するような音と共に、雷弾がダニエルの下に飛来する。


それと同時、リヴィアは背後にある柱や壁が埋まっている障害物の影へ駆け出した。


“成る程、僕をかく乱させるつもりか”


ダニエルは彼女の行動からそう判断し、杖をかざして魔力障壁を前面に展開させる。


うっすらと確認できる半透明の壁。


それが、次々と襲い掛かる雷の矢の前に立ちふさがり、


「僕を捕まえたいのなら、殺す気でかからないと」


ダニエルは傷一つ負うことなく、それらを跡形もなく四散させた。


どうやら彼女はまだ、本当の殺し合いというのを経験したことが無いらしい。


すぐさま彼は、空中に何かの文字を描くようにして杖を操り、リヴィアの隠れた方角へ魔力弾マジック・バレットを打ち込んでいく。


平衡感覚を失わせる、指向性の破裂音が鳴り響く。


彼女がいると思われる場所からの反撃はない。


“これでおしまいか?”


この国の皇女はこんなものなのかと呆れるような心境で、つかつかとダニエルは彼女の隠れている方へと近づいていった。


だがその直後、


「ふっ――!」


突如、リヴィアがダニエルの真横から現れ、肉迫する――!


少女とは思えない速さで迫るのは自身に施した魔力付与エンチャントの効力。


数々の雷の矢(ボルト・アロー)を時間差で展開させ、ダニエルにあえて自身の隠れる姿を視認させた。


雷の矢は囮、最初から牽制用で放ったもの。


自身がその場に留まっていると思わせるフェイント。


その後、障害物を用いて大回りをしたリヴィアは、彼の不意を突く形で強襲をかけた。


バチバチと放電しながら左手に集まる仄かに青白い魔力。


零距離の電撃の波動ライトニング・フォース


魔力障壁も意味を為さず、接近戦という魔法士同士の戦いでは予想もつかないリヴィアの速攻――!


ダニエルはそんな彼女の攻撃を、


「甘いね」


「なっ!」


その目で、しっかりと見据えていた。


リヴィアの行動を予め読んでいたように。


杖を彼女の方へ素早くかざす。


そして、発光。


明かりの魔法(ライト)


日常に使われるごく単純な簡易魔法。


それがこの瞬間だけ、強力な光となる。

「――っ!」


レスレック魔法学院にいる生徒ならば誰もが扱える魔法。しかしそれは暗がりに慣れてしまったリヴィアには何よりも眩い光となり、彼女の目をくらましてしまう。


その隙をダニエルは見逃すわけも無く、


「がっッ!!」


思い切り、蹴り飛ばした。


その衝撃で地面に転がり落ちるリヴィア。


咄嗟に受け身を取り、体勢を立て直す。


左腕と脇腹に走る、ずきずきとした鈍い痛み。


骨には届いていないだろうが、体格の違いからか、予想以上の怪我を彼女は負ってしまった。


「最初から電撃の波動ライトニング・フォースを撃たないのはおかしいと思っていたんだ。君の最も得意とする魔法だろう?なのにわざわざ姿を隠すような真似をするなんてね……僕の油断を誘ったんだとすぐに分かったよ」


「くっ、うっ……」


強い。


そこまで読んでいたのか、この青年は。


彼女は苦悶の表情を浮かべており、ダニエルはその姿をせせら笑うようにして眺めていた。


魔力付与エンチャントをレスレックの連中に見せたのは間違いだったよ。あれは不意を衝くためのもの。俊足になり、詠唱いらずの優れもの。けれど体は生身の人間そのまま。そんな魔法を簡単に見せるようではもう駄目だ」


授業を行うような、大人びたダニエルの声。


リヴィアという生徒ただ一人に行われる、魔法士の基本中の基本たる心構え。


わざわざ他人に魔法という神秘をひけらかす、なんという愚かな連中。


だからこうして、あっさり破られてしまうのだと。


「何度もやられるここの学生達にもほとほと呆れる」


過去に行われていた決闘をダニエルは詳細に調べ上げ、事前に対抗策を打っていたのだった。


「……あ奴らを侮辱するのは止すのじゃ」


リヴィアの低い声が聞こえてきた。


ダニエルが、そんな考えでここの学生達を見ていたとは。


自分への批判はまだ良い。彼らの期待に応えていった結果なため、自業自得だったからだ。


だが、純粋に魔法を学ぶ者達に対しての物言いがリヴィアには許せなかった。


彼らなりに一生懸命やっていることを彼女は知っている。


それなのに、この男は――


……仕方ない、とリヴィアは自分に言い聞かせた。


「……ダニエル。お主はさっき、殺す気でやれとわらわに言ったな……」


先ほどよりも大きな、青白い火花が散る。


実際に目で確認できる量の魔力が、彼女の両手に集まっていく。


「お主の言う通りじゃ……わらわにはまだ甘えがあったのかもしれない。魔物を倒せと命令したことはあっても、直接手を下したことは今までなかったから……」


意識も研ぎ澄まされ、体の奥底から魔力が湧きだし、循環する。


「……ここでそれを出すか」


ダニエルは舌打ちし、杖を捻った後床に向けて魔法を放った。


途端、地面は凍りついていき、氷柱が湧き出るようにしてリヴィアの下に走る。


更に氷柱の上に氷柱が続々と形成され、ダニエルを防護するように現れる。


攻防一体のダニエルの氷結魔法。


滑るようにして彼女に差し迫る。


「じゃが、それも今日で終わりにする」


彼女の目がどこまでも冷たくなっていく。


このまま生かしておいてはいけない。


目の前の敵を跡形もなく葬り去れ。


リヴィアの両手が重ね合わさり、


――解放


――白き稲妻(フラッシュ・アーク)


片手だけでも破格の威力を持つ電撃の波動ライトニング・フォースを、二重詠唱ダブル・スペルによって最大限威力を高めた魔法。


強大な魔物の集団に対して放たれるはずのこの魔法は、周囲にも多大な被害が及ぶため、人間に対して使用されるものではない。


魔法皇国ライレンの皇女たるリヴィアが持ちうる、最大の必殺技。


荒れ狂う稲妻がダニエルに向かって放たれ、射線上の氷柱をバラバラに粉砕する――!


「――っ!!」


震える大気。


衝撃と電撃の余波によって、氷柱だけでなく周りの壁をも立て続けに崩壊させていく。


直撃すれば即死、周囲に逃れることさえ不可能。


防ぎうる手立ては、何もない。


ダニエルはそれを、諦めきった表情で眺めているのだった。





ガラガラと崩れ落ちるような音が轟く。


彼に直撃した白き稲妻(フラッシュ・アーク)


それが、周囲の障害物をも巻き込み、瓦解させている。


辺りにもうもうと満ちる土煙。


「はぁ…はぁ……」


息を荒くして汗を垂らすリヴィア。


安心してはいられない。


彼を葬り去ったは良いが、この騒ぎで新たな宮廷魔法士が現れるかもしれない。


そのため彼女はこの場を離れ、一刻も早く体勢を立て直す必要があった。


けれど、


「いやはや、大したものだ」


「――っ!そんなっ!?」


大人びた声がリヴィアの耳に入る。


あれをくらって生きていられる。


そんなはずはない。


驚愕のあまり、彼女は土煙の上がる前方へ顔を向けた。


電撃の波動ライトニング・フォースを、二重詠唱ダブル・スペルで重ねがけ。想像はしていたけど、これほどのものとはね。今までの僕だったら絶対にやられていたよ」


土煙が晴れる。


そこにいたのはダニエル・クラッセン。


ダニエルはまるで何事も無かったかのように、けろりとした表情で佇んでいた。


だが彼の前には、優れた魔法士が集団で発動させたかのような、何重にもわたる魔力障壁が張り巡らされていた。


それは障壁というよりも城の防壁や結界に使われると言っても良い代物。


決して個人で行えるものではない規模の強力な魔力障壁が一瞬にして展開され、守護するようにして張られていた。


「本当は使わないでいるつもりだったんだけどね……でもやっぱり駄目だったみたいだ。流石ライレンの皇女様」


飄々とした口調のダニエル。


彼の右手には愛用する杖が握られており、


左手には、不思議な光を放つ本が開かれているのだった。




「あぐっ!」


「面白いだろう?この本」


リヴィア反撃にうって出ようとした。


しかし、白き稲妻(フラッシュ・アーク)を放った直後だったため、ほんの僅かだけ反応が遅れ、彼の放った捕縛魔法にかかって両腕を拘束、組み伏せられてしまった。


「古代魔法を調べているうちに見つけたものでね。さっきの魔法も、これに書かれていたものだったんだよ」


「お……お主がヴァラルと瓜二つだったのは、その本の……」


「そうだっ!凄いだろう!」


ダニエルの魔力に反応して、魔導書は怪しげに光を放つ。


膨大な魔力を蓄え、古の知識が書き記されている古書を見せつけ、高らかに叫ぶダニエル。


そして、再び彼女の前で杖を振る。


すると彼の姿はヴァラルそっくりとなった。


「どうだ、リヴィア?これだけでも十分凄いだろう?」


本人が決して浮かべないような快活な笑顔を浮かべ、ヴァラルの姿を模したダニエルは魔導書を掲げる。


けれど、リヴィアにとってそれはかなり歪で、醜悪なものとして彼女瞳に映しだされていた。


「その姿を見せるでないっ!」


「おお怖い」


再び元の姿に戻り、ダニエルは肩をすくめる。


「だけど、これでわかっただろう?リヴィア。君では僕に敵わない。絶対にね」


「くっ……」


リヴィアは上から見下すように眺めているダニエルを悔しげに睨みつけた。


「とはいっても、命までは取らない。君にはまだまだ利用価値があるからね、しばらく付き合ってもらうよ……さてと、それじゃあ後は――そこにいるのは誰だ?」


魔法によって荒れ果てた実技教室。


さっきは壁や柱で入り組んでいたため見通しは悪かったが、今では入り口の扉を直接視認できる状態だ。


何者かに見られている。


ダニエルは警戒を怠ることなく、入口の方へ振り向いた。


「……やっぱりあなたが犯人だったのね」


「これはこれはフィオナ。どうしたんだい、こんな夜遅くに。それに……」


「ほ、本当に?」


「何てこと……」


ダニエルを見ていたのは三人の学生達。


いつになく真面目な表情のフィオナに、きょろきょろと挙動不審のエリック、信じられないと口元を抑えたニーナがダニエルを眺めていた。


「……良く気付いたね、君たち。参考までに聞かせてくれないか?」


眉をひそめ、静かな声色でダニエルは三人を見やる。


すると、三人を代表するようにフィオナが答えた。


「貴方、ヴァラルのことを必要以上に嫌っていたから。疑ったのは、それがきっかけ」


眉唾物の古代魔法を調べる研究会はライレンでもここだけ。


さらには頻発した事件の日に、彼がレスレックにいなかったのも大きな要因だった。


「彼は絶対にあんなことしない。それだけは分かってるから……」


「……驚きだ。それだけで僕を疑ったのかい?普通だったら真っ先にヴァラルを疑うはずなんだけどね……」


女の勘は鋭いものだとダニエルは思った。


「でもまあ、見られた以上は仕方がない。気付かれない様、もっと穏便に済ませたかったんだけど……やれやれ、余計な手間を増やさないでくれ」


三人とも杖を持っているが、どうということはない。


目撃者は消すだけ。


しょうがないなあと、ダニエルは杖と魔導書を手に持ちながら彼らの下に向かっていく。


「に、逃げるのじゃ!」


両手は塞がっていたが、リヴィアは器用に立ち上がり、声を張り上げる。


「お主らでは勝てぬっ!こやつは――!」


自身を凌駕する魔法力を持つ魔導書を手にして、古代魔法を行使するダニエル・クラッセン。


ここの学生達が束になってかかっても、余計な犠牲を増やすだけだ。


「だけどそうもいかないんだな。話を聞いた以上は」


「上級生として、リヴィア一人に任せるわけにはいかないなあ」


だが、そんなリヴィアの声を遮るように二人の人物が立ちふさがる。


行き当たりばったりのクライヴと、その彼の良き相棒ロベルタ。


フィオナと同様、レスレック魔法学院のハイクラスの学生。


「はあ……二人もいたのか。全く、揃いも揃って君たちは余計なことに首を突っ込みすぎ――」


「ん?なんだって?」


「もう一回言ってくれないか?」


さらに、もう一人。


物腰柔らかくも一切隙の無い老人が、五人の先頭に立った。




――おお、ダニエル。わしのいない間に、随分と派手なことをしているみたいじゃのう



「じいっ!」


囚われの身であることを忘れる位、驚きをあらわにするリヴィア。


「……まさかこんなに早く来るとはね」


一方彼女とは反対に、現れた老人をダニエルは苦々しく睨みつける。


この国の様々な魔法技術分野でその名を残す、大いなる賢者。


大魔法士マスターの称号を持つ、リヴィアの魔法指南役にして、ダニエル・クラッセンが最も警戒する人物。



オーランド・デニキスが、レスレック城へ帰還するのだった。



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