異世界から日本に帰還したんだけど、一緒に帰って来たJKの距離がやたらと近いだが
どうも、金林檎です。
ちょと息抜きの短編です。
皆様の暇潰しになれば幸いです。
オッス、俺の名は先導直樹。
ライトノベルなんかで主人公をしている高校生見たいな名前をしているだろう?
残念、俺は三十代半ばのおっさんだ。
それも只のおっさんじゃあ無い。
この歳まで就職することも無く実家の自室に引きこもる無職のおっさんだ。
中学時代に引きこもり、そのままズルズルと20年以上引きこもりをしている、いわゆる子供部屋おじさんである。
虐めとか有ったのかって?そんなもんはされた事もねぇよ。
自慢じゃ無いが、当時は友達もそこそこいたんだぜ?成績上位って訳じゃ無いが、授業に付いていけない訳じゃなかったし、スポーツが苦手な訳でもなかった。
ただ何となく、学校に行くのが鬱屈となり、一度休むとそのままズルズルと学校には行くなった、まったく持ってズルズルした人生である。
社会の荒波も経験してない歳食っただけのコドオジな俺は今も親のスネをかじって生きて居た。
何とも情けない限りで頭が下がる思いだ。
まぁ、今更働くとかしようとも思わないがね。
って言うか無理。
偶に兄貴が嫁と子供を連れて家に帰ってくると、俺と話をする時間をとってくれるが、兄貴の説得虚しく俺は無職ニートだ。
すまんな兄貴、俺は一生を自宅警備員として生きると決めておるのだ。
そんな情けない誓いを掲げている俺だか、最近俺は奇妙な友人が出来た。
歳下の友人だ。
歳下の女性の友人だ。
歳下の少女、女子高生の友人だ。
落ち着け読者諸君、これから何故俺が彼女の様なJKと仲良くなったかを話そう。
だからその手に持った釘付きバットを下ろすんだ。
こんな社会のゴミみたいな俺に、なんでそんな友人が居るかと言うと、俺はその少女と共に異世界転移をしたからである。
待て、落ち着け読者諸君。
ステイ、ステイだ。
この話のジャンルは『現実世界』の『恋愛』なのに、何故に異世界転移なんて単語が不思議何だろう?
あれは俺が夜食を買いに近所のコンビニに行った帰りの事だった。
偶々、口喧嘩をする学生カップルが目についてな?青春してんなぁ、と思いながらため息を吐いて家に帰ろうとした時、1台のトラックが学生カップルに突っ込んで来るのが見えたんだよ。
俺は咄嗟にカップルを助けようとしたが、片割れの女子は間に合わず、俺達はトラックにひかれ、何故か異世界に転移しちゃたのさ。
え?違う?お前見たいなヒキニートがJKと関係を持ってるだけで許せないって?
気持ちは痛いほど分かるが、そこは勘弁してくれ。
話は戻るが、これでもそこそこは苦労したんだぜ?
なんたって異世界転移だ。
剣と魔法のファンタジー世界だ。
無論、魔物や魔王も存在していたやべぇ世界さ。
何よりヤバいのは、その手のお約束のチート能力とか魔法の才能とかは一切無しの鬼畜仕様。
言葉は通じねぇし飯は不味いし宿は汚え、更には魔物や盗賊がポップする命懸けの世界だった。
あっちじゃ歳は取らなかったが、体感では10年くらいは居たかな?
そんな異世界で俺とJKは波乱万丈な冒険を繰り広げ、愛と勇気と根性でこの日本に帰って来たのだ。
いろいろハショリ過ぎだって?そんな詳しく書いたらハイファンタジーなってしまうからしょうがないだろ?
まぁ、俺としてもあっちの世界では親戚のおじさんと姪っ子みたに仲良くはしてたが、現実世界に帰ったからには俺とJKの奇妙な関係は終わると思ってたんだよ。
だってそうだろう?俺達の関係はあくまでもこの日本に帰るまでの強力関係だったのだ。
唯一の同郷と目的を同じくしているのだ、仲良くもするさ。
だが、目的を達して戻ってくれば、こんな中年太りの子供部屋おじさんとなんて縁を切って然るべきだ。
なんたってあの子には彼氏が居るからな。
変な誤解は受けたくないだろうさ。
そして、彼女は元の甘酸っぱい青春生活に戻り、俺は実家の自室でヒキニート生活に戻る。
めでたしめでたしだ。
この話は終わり、だとマジで俺は思っていたのさ。
「こんにちは、おじさん。遊びに来たよ?」
だが、何故かこのJK女子との奇妙な関係は続いていた。
ホント訳がわからない。
「あ〜。おじさん、また散らかしてる。掃除したばっかなのに」
そう言ってズカズカと訳知り顔で俺の部屋に入り込む彼女こそが、俺と共に異世界から帰還したJK女子、明本七海である。
「ジャガポテとタケノコの山脈買って来たよ〜、一緒に食おうぜ〜」
ガサゴソとコンビニ袋をあさり、中から定番のコンビニ菓子を取り出す七海は、自然な動作で俺の隣に座ると、そのままポリポリとジャガポテを食い出した。
なに?メッチャ距離近いって?
心配するな読者諸君、俺もそう思う。
いつポリスメンにお縄を頂戴するかドキドキである。
「ん〜?どったのおじさん?あ、これ食べたいの?はい、あ〜ん」
「へ…?あ、あーん」
「美味しい?」
「企業努力が感じられる味だな」
「ふ〜ん」
七海はそう言うと、俺に背中をもたれかけてポリポリと菓子を食うのを再開した。
何だろう、日本に帰って来てから、彼女の考えてる事が分からん。
「…………」
「…………」
それから、2人でタブレットに映るアニメをボーっと無言で見ていた。
なんだろうな、この時間。
まぁ、悪くは無いんだけどさ。
「じゃ、私帰る。またね、おじさん」
「おう」
そう言うと七海はノソリと立ち上がり、スカートのに出来たシワをパッパッと伸ばし、振り向く事なく俺の部屋から出て行った。
七海は平日は学校帰りに俺ん家に寄り2時間程こうして俺と一緒にボーッとしている。
土曜日は月に一回ほどだが、日曜日は毎週遊びに来る。ホント何なんだろ?彼氏とか怒んないのが?
俺としては七海は親戚の可愛い姪っ子みたいなもんだから、懐かれているのは純粋に嬉しが。
異性の年の差ブレンドは果たして社会でどう思われるのだろうか?
まぁ、考えてもしょうがないな。
風呂入って寝よ。
翌日も七海はやって来た。
「こんにちは、おじさん。遊びに来たよ?」
「おう」
どれだけ繰り返したか分かんぐらい、お決まりの挨拶を交わすと、今日も七海は俺に寄りかかりながら座る。
「直ママが生活習慣病になっちゃうから、おじさんにお菓子を余り食べさせないでって言われたから、今日はお菓子無しね?」
七海が言う直ママとは俺の母ちゃんの事である。
母ちゃんと七海は俺の知らぬ間に仲良くなっていたらしく、偶にこうして七海に助言する事が有るのだ。
「母ちゃんは七海になに吹き込んでるんだ?」
それに母ちゃんよ、生活習慣病はもう手遅れだと思うぞ?見ろ、この太鼓っ腹を!ボヨンボヨンだぜ?
「なんか、おじさんの部屋に有る漫画って薄い本ばっかだよね~」
「フッ、お嬢さん。それは紳士の嗜みって奴だから放っといてくれ」
「ふ〜ん。……あ、エッチなヤツだ」
「フフッ、残念だったな七海よ。薄い本はだいたいエロ本だ。だから、あまりジロジロ見ないでお願いマジで」
「でも、内容は面白いよ?もうちょい見せて」
「そりゃ、神作だから集めてる訳で」
「えぇ、お、ふ〜ん、へ〜。おじさんこう言うのが好みなんだ」
「だから読むのを再開するんじゃ有りません」
そんなやり取りを続けて居ると、気付けば日が暮れていた。
「あ、私そろそろ帰る。またね、おじさん」
「おう」
今日も2人でグダグダしてしまった。
果たして、この奇妙な関係は何時まで続くのだろうか。
俺はそんな事を考えながら布団の上に寝っ転がった。
悩んでも仕方がないな。
はて?悩む?俺は何を悩んでいるのだろう?
翌日もまた七海はやって来た。
■■■■
私は今日もおじさんの家に遊びに来た。
「こんにちは、おじさん。遊びに来たよ?」
「おう」
何度目になるか分からない、何時もの挨拶を交わし、私はおじさんに寄りかかりながらおじさんの隣に座る。
このおじさんの左隣が私の指定席だ。
おじさんは相変わらずな態度をとっている。
まるで姪っ子を優しく見守る親戚のおじさんだ。
その態度に少しムッっとするが、そんな紳士なおじさんもまた、良きである。
昨日はおじさんの秘蔵コレクションを拝見出来た。
とても興味深い内容だったが、納得出来ない事もあったのだ。
おじさんの秘蔵コレクションの中に女子高生物が無かったのである。
これは由々しき事態だ。
もっと私に興味を持って貰いたい。
おじさんは引きこもりだ。
なので、私以外の異性との出会いが無く、本人は結婚を考えても無い。
だが、油断は出来ない。だっておじさんが素敵な人だと言う事実は変わらないからだ。
万が一にも他の女が、おじさんの魅力に気づいたらライバルが出来てしまう。
それは嫌だ。だからおじさんには末永く引きこもりでいて欲しい。
「おじさん、今日はこれ観よ?」
「ん?リクエストとは珍しいな」
そう、今日私がリクエストしたのは『お髭を剃る』と言う作品だ。
中年おじさんと女子高生のラブストーリーを描く作品である。
「観たことある?」
「んにゃ?話題にはなってたけど、俺は観てないな」
「そう」
こうして、私とおじさんのアニメ観賞が始まった。
私は背中に感じるおじさんの温もりとほのかに香るおじさんの香りを堪能しながら、作品を観賞する。
隣に座るおじさんも真剣な眼差しでアニメを観ていた。素敵。
この作品を通じておじさんには私を意識して貰いたい。
目指せ高校卒業後即結納。
子供は最低でも5人は産む予定だ。
「うん。まぁ、こんなもんじゃないか?普通に面白かったな」
「…………そう」
アニメ観賞後、おじさんの反応は味気ない物だった。
おじさんは守りが硬い。
そういう硬派なところもグッとくる。
だが、私が攻め落とせないのは問題だ。
何とかしなくては。
そして、時刻は夕方、名残惜しが今日はここまでだ。
「じゃ、私帰る。またね、おじさん」
「おう」
今日も駄目だったけど、私は諦めない。
異世界でおじさんに助けられながら生活し、10年間想い育てた私の気持ちを、必ずおじさんに届けてみせる。
私の両親には納得してもらった。
異世界うんぬんはさて置きおじさんは命の恩人だ。
私がおじさんに惚れたと言ったらママは直ぐに応援してくれた。
パパは少し難色を示したが、最後は私の熱意が本物であると認めてもらえた。
おじさんの母親である直ママは、最初はかなり困惑していたが、直ぐに応援してくれた。
外堀は完全に埋め終わった。
後はおじさんを射止めるだけである。
高校卒業まで後2年、精神年齢が26歳の私には余りにも短い期間だが、私は諦めない。
諦めなければ願いは必ず叶うって、異世界でおじさんに教わったんだから。
帰ったら、また作戦を立て直そう。
そう思いながら、私は帰路についた。
明日こそはおじさんを射止めてみせる。
■■■■
今日も七海がやって来た。
「こんにちは、おじさん。遊びに来たよ?」
「おう」
何度目になるか分からない、何時も挨拶を交わして何時も通り七海は俺の隣に座る。
この心地良い奇妙な関係は何時まで続くのだろうか?
そう思いながら、今日も彼女と過ごす時間が始まる。




