第0話 異界の境界:ハンドラー1の迷い路
異界の境界:ハンドラー1の迷い路
第一章:令和の妖怪巡礼
令和の世。妖怪好きの若者がいた。彼は「ハンドラー1」というハンドルネームでネット上で活動しており、古の伝承に深い知識を持っていた。
ある秋の日、彼は京都へと旅立った。まずは伏見稲荷大社にて、清らかな天狐の霊気に触れ、その優美さに心を奪われる。
「天狐様のような、優しくも高潔な妖怪に会えたらいいな……」
続いて、彼は鞍馬へと足を延ばし、貴船神社を目指した。目的は一つ、滝夜叉姫の伝承が残る場所を巡ること。
「五月姫の壮絶な人生か……。愛する家族を奪われ、復讐のために鬼女へと堕ちた。その悲しみと怒りは、どれほどだったのだろう」
彼は冷たい雨に打たれながら、貴船の社を参拝した。その時、境内の奥深くから、ぞくりとするほどの冷たい重圧を感じた。
「な、なんだ? この霊圧は……? まるで、物語の中の滝夜叉姫の怨念が、今ここに蘇ったかのようだ……!」
全身の感覚が研ぎ澄まされ、肌が粟立つ。今まで感じたことのない恐怖と、奇妙な興奮に、彼の意識は遠のきそうになった。
第二章:境界線にて
まるで何かに呼ばれているかのように、彼はフラフラと境内の裏手、川沿いの細道へと歩き出した。重圧はさらに増し、彼の体を雁字搦めにする。
「いかん……体が、動かせるか……」
足元が覚束なくなり、彼は苔むした岩で足を滑らせた。そのまま、増水した冷たい川の中へと落ちていく。意識が途切れそうになりながらも、彼は必死に藻掻いた。
第三章:邪魅の山
次に意識が戻った時、彼は見知らぬ場所にいた。
周囲は寂しく、そら寒い山の中。現世とは明らかに異なる、不気味な空気感が漂っている。
「ここはいったい……異界、なのか?」
彼は混乱しながらも立ち上がると、目の前に一人の少女が立っていた。
「……お客さんかい?」
その少女は、まるで浮世絵から抜け出たお人気のような姿をしていた。妖しいほどに美しい顔立ちだが、その瞳の奥には、底知れぬ闇と悪意が渦巻いている。
「あ、あなた、は……?」
少女はにやりと笑った。
「邪魅。この山の主さ」
恐怖で体が震える。お人気のような姿に魅入られたのも束の間、本能が警鐘を鳴らす。
「食われるか……呪われるか……さて、どっちを選ぶんだい?」邪魅は手を伸ばしてきた。
ハンドラー1は一目散に駆け出した。後ろからは邪魅の追撃が迫る。
「待てよ、坊や! 遊びはこれからだ!」
草木を掻き分け、岩場を転がり、彼は必死に逃げた。向こうに見えるのは、山の麓に立つ、古びた鳥居。
「あと少し! あと一歩で、この山から……!」
邪魅の鋭い爪が、彼の背中を掠める。
あと一歩で、山の麓の鳥居を潜れる――その瞬間、彼の意識は再び闇に包まれた。
私の体験を少し?大袈裟に描いてみた。
実際、数年前に伏見稲荷から貴船神社参拝という一人旅をしました。
伏見稲荷は外国人観光客が多く参拝し賑やかでしたが、貴船神社の参拝道を歩いているととてつもない重圧を感じていました。エックスにも投稿してます。
2回目訪ねると、凄く穏やかで迎え入れてくださったと感じたものです。




