表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現世の妖怪、異世界転生  作者: A古町
第一章 出会い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/42

第21話安土崩落、炎の比翼連理 ——魔王の姉弟——

安土崩落、炎の比翼連理 ——魔王の姉妹と不死鳥の夫婦——

1. 曼荼羅結界の猛威

安土城天主閣は、天海が展開した「金剛曼荼羅結界」によって現世から切り離された異空間と化していた。空中には黄金の梵字が渦巻き、天海の鉄砲隊は倒れても即座に法力で再起動する、終わりなき不死の兵団となっていた。


「くっ……まっこと、しつこいのお! 斬っても斬っても、砂のように崩れては起き上がってくるとは、反則であるぞ!」


滝夜叉姫が「五月雨斬り」を繰り出すが、三段撃ちの弾幕に阻まれ、肩に浅い傷を負う。


「マジ無理、弾丸の雨すぎて近づけないんだけど! ウチの角、折れそう!」


茨木童子が金棒を盾に後退し、異界の精鋭たちも防戦一方に追い込まれていた。


「ククク……異界の者共よ。貴様らの妖力、この曼荼羅の糧として吸い尽くしてあげましょう」


天海が冷酷に錫杖を鳴らす。黄金の結界が徐々に縮まり、一行を圧殺せんと迫る。


2. 異界の救護班:のっぺとおさん狸


「みんな、下がって! 怪我人はこっちだよ!」


戦火の中、ひょいと現れたのは顔のない少女、のっぺである。彼女は恐れる様子もなく、傷ついたタヌキ兵や茨木童子の元へ駆け寄る。


「のっぺちゃん、こっちの止血を頼む! 景気よく治してやるぜ!」


その隣では、四国から馳せ参じたおさん狸が、葉っぱを頭に乗せて妖術を振るう。二人が手をかざすと、傷口が柔らかな光に包まれ、見る間に塞がっていった。


「いいぞ!のっぺ! おさん!」


滝夜叉姫が再び大太刀を握り直す。

3. 不死鳥の武将、参戦!


「がははは! 織田家が仙石権兵衛秀久! 信長様をお助けに参上仕ったッ!」


爆炎を割り、巨大な槍を風車のごとく振り回して現れたのは、戦国一の失敗から這い上がった不死鳥、仙石秀久であった。


「信長様! お迎えに上がりましたぞ! それと……我が最愛の妻もな!」


秀久の背後から、ひらりと蝶のように舞い降りたのは、かつて道成寺の鐘を焼いた蛇神の化身、清姫である。彼女は白と朱の艶やかな着物を揺らし、元気いっぱいに扇を広げた。


「皆様、お待たせいたしましたわ! 愛の力で地獄の底から駆けつけましたの! 殿のお傍を汚す不届きな坊主様は、この清姫が黒焦げにして差し上げますわ!」


「おお清姫か! 貴女も来てくれたか!」


滝夜叉姫が歓喜の声を上げる。


「ええ、滝夜叉様! 殿(秀久)が『信長様の一大事だ』と騒ぐものですから。……さあ、殿! 夫婦めおとの共同作業、お見せいたしますわよ!」


4. 共同戦線・比翼連理の炎


「おうよ! 清姫、火を吹け! 」


秀久が槍を猛烈な勢いで回転させ、巨大な旋風を巻き起こす。そこへ清姫が両手を広げ、かつて安珍を焼き尽くした情念の火柱を叩き込んだ。


「おいきなさいませ! 『比翼連理・大蛇焦熱旋風』ですわ!」


秀久の旋風に清姫の業火が混ざり合い、巨大な火の竜巻が天海の結界を内側から焼き砕く。黄金の梵字が次々と弾け飛び、天海の鉄砲隊の陣形に、ぽっかりと大きな穴が空いた。


「な、何という出鱈目な火力を……! 理屈に合わぬ!」


天海が初めて狼狽の表情を浮かべる。その一瞬の隙を、異界の将は見逃さなかった。


5. 隠神刑部、必殺の狙撃


「……今だ、野郎ども! 狙い撃て!」


軍帽を深く被り直した隠神刑部が、外套の中から愛用の拳銃を抜き放つ。兵隊上がりの鋭い眼光が、天海の喉元を捉えた。


「理屈じゃねえんだよ、坊主。……これが俺たちの、トドメの一撃だ!」


隠神刑部が引き金を引く。放たれた弾丸は、清姫が空けた炎の穴を潜り抜け、天海の胸元を正確に貫いた。


「……ぐ、はっ……! 異界の、獣風情が……!」


天海が吐血し、膝を突く。曼荼羅結界が大きく揺らぎ、安土城の崩壊が加速した。


「ふふ、ありんすねぇ。坊様、ぬしの曼荼羅も、わっちの炎と清姫の愛には勝てなかったようでありんしょう?」


紅葉が信長の肩を抱き、不敵に微笑む。


「よくやったのである、皆の者! さあ、このまま一気に信長を連れて異界へ脱出するのであるぞ!」


滝夜叉姫が声を張り上げ、崩れゆく安土城の最上階で、勝利の咆哮が上がった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ