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現世の妖怪、異世界転生  作者: A古町
第一章 出会い

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11話異界激震!~狸の化かしとモフモフの決着~

異界激震!~狸の化かしとモフモフの決着~

第一章:喜左衛門、決死の脱出


「すねこすり・もふもふの呪……ッ!」


じいちゃんの放った白き毛の嵐が異界を飲み込んだ瞬間、喜左衛門は反射的に印を結んでいました。


「狸寝入り・幻の術!」


爆発的な妖気が周囲を包む直前、喜左衛門は自らの存在を「そこらへんに転がっている小石」へと偽装し、呪いの波をやり過ごしたのです。

視界が晴れたとき、そこにあったのはあまりにも愛くるしくも絶望的な「モフモフの極楽」でした。

國主・滝夜叉姫も、主君・隠神刑部も、全員が丸っこい「すねこすり」と化し、けうけげんの少女にブラッシングされています。


「……こりゃあ一大事だ。俺一人じゃどうにもならねえ。とにかく助けを呼ばねえと!」


喜左衛門は小石のまま転がり、おじいちゃんと少女の目を盗んで、必死の思いで國の境界を越えました。


第二章:再会、おさん狸

フラフラになりながら隣の國の山道を彷徨っていた喜左衛門は、あまりの空腹と疲労に、ついに変化が解けて元の狸の姿に戻ってしまいました。


「だめだ……力が入らねえ。誰か……誰かいないのか……」


その時、頭上から艶やかな声が降ってきました。

「おやおや、情けない声を出しちゃって。そんなところで野垂れ死ぬつもり?」


見上げると、そこには扇子を片手に持ち、妖艶な微笑みを浮かべた女狸が立っていました。

「……お、おさん!? おさんじゃないか! なぜこんなところに!」


それは、かつて四国で共に隠神刑部に仕えた、化かしの天才・おさん狸でした。


「あら、喜左じゃないか? 奇遇ねぇ。あちきも異界へ流されてから、このあたりで気ままに化かしを楽しんでいたのよ。……それより、その慌てよう。何があったの?」


「おさん、助けてくれ! 刑部様が、棟梁が……すねこすりになっちまったんだ!」


「はぁ!? あの強面な刑部様が、猫ぉ? ……クスクス、それは一度拝んでおきたいわね。でも、私たちの主君をペット扱いにするなんて、その毛むくじゃら共、いい度胸じゃない」


おさんは不敵に微笑むと、紅い唇を舐めました。


「いいわ、喜左。たまたま出会ったのも何かの縁。あちきの一計で、そのモフモフ地獄をぶち壊してあげるわ!」


第三章:狸の逆襲、化かしの宴


「新坂東」の草原。けうけげんの少女は、すねこすりになった滝夜叉姫たちを並べ、ご機嫌で着せ替え遊びをしていました。

そこへ、旅装束に身を包んだ「伝説の毛梳き職人」を名乗る二人の男女が現れます。おさんと喜左衛門の化けた姿です。


「おやおや、お嬢ちゃん。そんなに雑にブラッシングしちゃ、せっかくの毛並みが傷んじまうよ」


おさんが妖艶な声で少女に近づきます。


「えっ、本当? 私、みんなをもっとフワフワにしたいの!」


「なら、この『黄金のクシ』を使いなさい。じいちゃんの方も、このクシで梳かせば、もっと立派な雲のようになれるわ」


おさんが差し出したクシ。それは、おさんの妖力が込められた「呪い返しの術」を誘発する媒介でした。

少女とおじいちゃんがそのクシに触れた瞬間、おさんは高らかに笑いました。


「化けの皮、剥がれなさい!」


パチンッ、と扇が鳴ります。

クシから放たれた幻惑の光がけうけげん親子を包み込み、呪いの供給が遮断されました。


「……はっ! 妾の体が、元に戻っておる!」


漆黒の黒髪、黄金の瞳。滝夜叉姫が、すねこすりの姿から元の快活な姿へと戻りました! 続いて隠神刑部も、茨木童子も、次々と元の姿を取り戻していきます。


第四章:それぞれの旅路


「おのれ……! よくも妾を猫扱いしてくれたな!」


滝夜叉姫が采配を振り上げると、おじいちゃんは荒ぶる妖気を鎮め、ようやく我に返りました。


「ほっほ、こりゃあ一本取られたわい。これ以上は悪さはせんよ。もともと、ワシはただの隠居旅の途中じゃからの。悪気があったわけではないんじゃ、許しておくれ」


じいちゃんは、化かしを破った狸たちの腕前に満足したのか、あっさりと降参しました。


「ワシはまた別の國へ、静かな場所を探しに行くとしよう。……だが、孫娘はどうするかな?」


すると、けうけげんの少女が滝夜叉姫の裾をギュッと掴みました。


「……私、ここに残りたい。じいちゃんと二人旅じゃなくて、みんなと遊びたいの! 友達が欲しいの……お願い!」


滝夜叉姫は一瞬呆気にとられましたが、やがて「はーっはは!」と豪快に笑いました。


「良いぞ良いぞ!妾の國は、来るもの拒まずじゃ! 友達がおらぬなら、妾が、そしてここにいる皆が相手になってやろう! 孤高がウリのけうけげんじゃが、

寂しがり屋のけうけげんなど、聞いたこともないがな!」


こうして、じいちゃんは再び旅に出、少女は「新坂東」の新たな住人となりました。

おさん狸も、刑部から「よくやった、おさん。お前もこの國で暮らせ」と誘われ、喜左衛門と共に宴の準備に駆り出されます。


「のっぺ! ぬりかべ! 今日は新たな仲間の歓迎会じゃ! けうけげん、お主も手伝うのじゃぞ!」


「ぬりりー!」


「わーい! やるやるーっ!」


新坂東に再び平和で騒がしい笑い声が戻ってきました。滝夜叉姫の采配が、かつてないほど高く掲げられました。


仲間も増えて大きな國になっていく滝夜叉姫の國。この平和を続かせるほど私は、甘くない。

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