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『終わらなかった別れ』

とりあえず読んでみてください。



風がひとすじ、

窓辺をかすめていった。


それは、

誰にも呼ばれなかった声のように、


ただ、

空白の中へと消えていった。



言葉は交わされなかった。


沈黙だけが、

私たちのあいだを

ゆっくりと閉じていった。


まるで、

誰もいない部屋の扉が、

風に押されて

静かに閉まるように。



赦しも怒りも、

沈黙のなかで、

行き場を失っていた。


それらは、

未明の光のように、


輪郭を持たぬまま、

私の胸の中を、

ゆるやかに漂っていた。



私は、静かに離れた。


けれど、

その静けさには、


言葉にならなかった響きが、

胸の底に、かすかに残っていた。


それは、

闇の底で微かに揺れている、

消えきらぬ灯のようだった。



未完のままの別れは、

終わりではなかった。


終わらせられなかった、

私の中の、あなたの影だった。

 


私は、今日も名を呼ぶ。


答えのない空に向かって。


その不在を、

確かめるように。


それは、

祈りというにはあまりに遅く、

忘却というにはあまりに鮮やかだった。



読んでくださった方々、ありがとうございました。

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