1章-2
物語の文章作成って難しいをつくづく感じてます。誤字脱字あると思います。すみません。
頑張ります。
頭の中が混乱しかけたけれど、現実逃避だと納得したら、それ以上頭に浮かぶ事は何も無いらしくボーっとしていた。
そんな空間に漂う視線の先に突然、男の子の顔?が映り込んで来て声までかけてきた。
「おねーさんどーしたの?」と笑顔と心配そうな入り混じった表情を見せる。
そりゃいい年したオバサンがビルの廊下で座り込んでるのを見れば?マークが頭の上にいくつも並ぶよね。
でも、足音には気付かなかったし、このフロアの化粧室はエレベーターホールから一番遠い、この時間に?子供が?なぜ居る?
それにしても、なんてかわいい顔してるの、アイドル並み?いやそれ以上かも
このビルの入居している企業とかの合同保育所はこの51階より40階くらい階下のはず。
ここは51階のほぼ会議専用フロアだし、今日は珍しく会議予定は入ってなかった記憶だけど。
迷子にしては不安そうでもないし?・・・。
防犯カメラの反応も無いみたいだから、不審者とかでもなさそう。
この子は会社の関係者の子供って事かな。
そういえば、オネーサンって声かけてくれた、『オバサン』じゃない、うれし。
目が大きくて黒い瞳がキラキラしてる。
小首をかしげて心配そうに私を見てくれている。
ああ、かわいい~って抱きしめたくなる衝動に駆られる。
男の子は本当に心配してるようで再び「大丈夫?」と声をかけてきた。
若い!お肌きれい!着てる物はきちんと感があるし、母性本能をくすぐるとは、こういうことかしらと思う。
男の子が現れてボーッとしていた頭の中は一瞬にして思考が回りだした。
ここに来るとき体調不良をおこし、今一人で廊下に座り込んでいる女性の名前は 御室 瑠璃 23歳。
黒髪黒目のド日本人で、身長は160センチに少し足りない位の痩せ型、柔らそうな黒髪はボブにして肩先に届く長さにしている。
正社員では無く、自立神経失調体質が災いして期間限定のパート社員として雇ってもらっていた。
3年前にその失調症を抱えて生きていかなくてはと言う決意の元、自立を掲げて働く事にした。
社会勉強はもちろんのこと、体力を養って日常生活を送る。
それに体調の変化の起伏を平らにしたいという野望だったが、その限定期間が来ての退職なのである。
今日は退職の挨拶をしようと上司の部長室へ尋ねて行く手前で失調が顕在してしまい今に至る。
このビルの51階フロアは瑠璃の会社の大小会議室と書類保管・資料室などで使われており何かしらの荷物の仮置き場にも使われている。
会議が無ければ、ほとんど淋しいフロアである。
瑠璃がいる化粧室がある廊下はエレベータホールからは一番遠い場所になる。
こんなひと気の無いところでくたばっている私を見つけてくれた君は誰?
それも小学生くらいの男の子。
瑠璃は不思議そうな表情をしている男の子の顔を見つめていた。
口元を押さえていたハンカチを下ろすと、目の前に居る男の子に精一杯の笑顔を向けて
「ちょっとね気分悪くなってね、ここで少し休んでるだけだよ」
「君は?小学生?」かすれた声ながらも努めて優しく言う。
「うん、6年生、今日は学校はお休みだからマー君に付いてきたの」
「まー君?」と聞き返したら、少し間を置いて何か考える様に目をキョロリとさせたけど
「うん、マー君はね、この会社で働いてるの」と返事をくれた。
社員の家族みたいだけど、マー君が社員なのかな?気になる。
でも社員のファーストネームでマの付く人か、多すぎて判るわけ無いしね・・・。
「君のお名前は?」
「僕の名前はアオって言うの野々宮 碧」
「ママはブルーって呼ぶよ」
「アオ君か」
「でも、アオ君はどうしてここにいるの?」と聞いてみる。
「まー君の部屋だけだとつまらないから、ここなら走っても怒られないって、あっちの部屋に人が居無い時だけ」
あっちの部屋とは会議室のことか、瑠璃はこの子の保護者は誰だろうと考える。
「だからあっちの部屋に人が居るか居ないか見に来るの」
(よく来てるみたいな言い方、保護者が個室持ちのようだとしたら、部長職以上になるわね)
(んん、野々宮って言った)
(え!野々宮が名字なら社長?野々宮社長の名前ってマの付く名前だったかしら?でも年齢から行くと社長の孫?)
(でもマー君て呼ぶ?確か社長は再婚してるとかって?再婚した相手はアメリカ人とかって聞いたような?)
(いや、社長の関係者だろうと、もう追求するのは止めよう、だって、私はこの会社を辞めるんだから)
(アオ君、色々話してくれるのは人なつっこい性格のようだし、この年齢で弱者に手を差し伸べる事が出来るなんてね)
(どちらにしても、防犯カメラのAI設定があるけど、この子が居ても不審者扱いされないように設定されてるんだろうし)
(ただ、体調不良で廊下に座り込んでる私の今の状況は?社員登録されてるから異常にはカウントされないって事かしら?)
なんか変な感じはするけど・・・と瑠璃の頭の中は自分の疑問と自分だけの回答がクルクル回っている。
碧は瑠璃のかすれがちの声から体調の悪さを感じ取ってるのか、瑠璃の横に座り込み膝の上に置いた瑠璃の手の甲をさすり始めた。
瑠璃は触られた瞬間ビクリと反応したけれど、その驚きの表情は浮かべ無かった。
それよりも触れられているのが、だんだんと心地よささえ感じる自分を不思議に思った。
ずっとさすり続けてくれる碧に瑠璃は柔らかな微笑みを向けた。
「優しいねありがとう」声も掛けた。
もし逆の立場なら私ならどうしただろうと瑠璃は考えてみる。
多分、警備室に連絡するだけとか、他の人を呼びに行くだけかなぁと頭の中の声。
また碧がゆっくりと話し始めた。
「僕もね、すごく頭が痛くなったりするときがあって、ママやマー君が優しくなぜてくれるの」
「オネーサンなんて名前?」と聞いてきた。
「私?私の名前はるりって言うの」
「ルリオネーサン?」
「ルリって呼んで」おばちゃんと言わないところは世間を知ってるうぅと思う瑠璃。
「るりちゃん」
なぜか二人で視線を合わせて笑ってしまった。
碧の登場でなんか体調が良くなって来たかもと思った瑠璃は一人立ち上がろうとした。
碧は瑠璃が身体を起こそうとしたのを感じ取って、瑠璃の手を取って支えようとした。
結果、貧血もあるようで、結局ずるずると壁に背中をつきながらまた座りこんでしまった。
手を取ってくれた碧を巻き込んで一緒に座り込んでしまい、二人の頭の位置が最も近い状態になっていた。
瑠璃は一瞬貧血の暗闇に襲われたが、大きく息を吐くと意識が飛ぶ事はなくてすぐに現実に戻ってきた。
そんな瑠璃に碧が「大丈夫?」と声をかけて、心配そうな黒い瞳を向けてくる。
瑠璃は自分の情けなさに涙が出そうになると同時に、この子はなんでここまでしてくれるんだろうと碧の顔をまじまじと見ていた。
男の子の中に何か大人っぽい表情を感じる。
今日初めて会ったのにと、瑠璃は自分の情けなさを気づかれたくないと深呼吸でごまかしながら碧に微笑みを向けた。
すると碧の表情が、何か思いついたように
「待ってて、まー君呼んでくるよ、すぐ来るから」と立ち上がって、瑠璃の返事も聞かずに廊下を走って行った。
(でも、やっぱり小学生だ、さてマー君か、誰なんだろう、社長ではないよね・・・)
今のところ意識は飛ばないようなのでもう少しここで休んでたら動ける様になるかしら?と考える。
家を出るときに一応は用心はして、胃薬も頭痛薬も飲んできたのに会社のトイレで吐き戻した。
このままだと荒れた胃が何も受け付けないだろうし、そうなるとしばらく薬も飲めないだろうな・・・。
瑠璃は諦めの様な気持ちになりつつ、こうなったらなるようになれと開き直りしかないと
廊下の壁にもたれたまま、急に一人にされた静けさにこれ以上落ち込まないようにと思うだけだった。




