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第9話 3つのギルドと漢字タトゥー

朝からバルトさんに色々と教えてもらった。この国の事や、仕事をする為に必要なことなど。


その一つとして、お金を稼ぐにはいずれかのギルドに属していないといけないようだ。



**冒険者ギルド**

クエストを受注し成功報酬を得る。またダンジョン及びダンジョン外で得たアイテムを商人ギルドに売ってお金を得る。


**生産者ギルド**

物を作り商人ギルドに売る。ギルドに集まったオーダー品の生産依頼や、様々な修繕・修理・解体・廃棄などの依頼を承り、成功報酬でギルドからお金を受け取る。


**商人ギルド**:

物を仕入れて売る。または、飲食店やサービス業など店舗を構えて行う。



一つのみならず複数登録をすることも可能とのことで、俺は二つのギルドに登録をしておくことにした。


基本的には善行ポイントも貯まるため、生産者ギルドに登録をして塗装業を行うつもりである。他にもスマホの機能が追加された時は率先して出来る事を追加していこうと考えた。


塗装や染色となると依頼の数が少ないだろうからと登録したもう一つが、商人ギルドである。仕事に困ったらネット通販で購入した物を売って稼ぐためだ。


三つのギルドは建屋は違えど、大きな広場を中心に三角形に向かい合って建っている。


それぞれ証明書などは発行されなかった。登録の際に特殊な石に手をかざすと石が発光しただけで、受付のお姉さんから登録完了と告げられたが、全然実感がわかない。


どうやって証明するのかお姉さんに聞くと、手首の甲側を指さされた。気づかなかったが、いつの間にか入れ墨のように文字が刻印されていた。退会をした場合にはちゃんと消えるようだ。持ち運ぶ必要がないから、なくす心配をしなくて済む。


今まで全然気にしていなかったが、それを知ってからは行き交う人々の手首に目が行く。確かに大人には刻印されていることがわかる。


「冒険」「生産」「商」と刻印されているのを見ると、漢字の入れ墨を入れる海外の方みたいだなと思ってしまった。日本人なのに漢字で「生産」「商」って、なんだか微妙だな。どうせなら英語表記で見えたらよかったのに。「PRODUCER」とか「MERCHANT」とかの方がかっこよくない?


まあ、言っても仕方がないけれど意見としては言わせてくれ。


さっそく自分に合った依頼が無いか生産者ギルドの掲示板を確認してみることにした。


掲示板には様々な依頼が貼り出されている。家や家具の制作依頼、絵を描く仕事、看板の作成に建物の修繕など、本当に多種多様だ。


俺に合う仕事はないか〜と思いながら掲示板を眺めていると、一枚の依頼書が目に留まった。


「あった!」


思わず声に出してしまった。そこには俺にぴったりの仕事が書かれていた。


『家族からの依頼:双子の子供がいるため、同じものを買い与えているが、同じ色で揃えることができないことが多く、「この色がいい」と喧嘩になり取り合いになってしまいます。家にある様々な物の色替えをお願いします』


これなら写真加工能力で完璧に解決できる。子供と親、両方のためになるため、善行ポイントも割と期待できそうだ。


俺は依頼書を剥がして受付に持っていった。


「この依頼を受けたいのですが、初めてなので流れを教えてもらえませんか?」


「承知いたしました。こちらが依頼先の住所などが記載された書類です」


受付のお姉さんから書類を手渡された。


「依頼完了時に、依頼主からこの書類にサインをもらって持参していただければ、依頼完了となり現金をお渡しいたします」


「分かりました。ありがとうございます」


手続きを終えて、書類を確認すると依頼先は富裕層エリアだった。中級層地域にある宿で暮らす俺にとって、富裕層エリアは初めて足を踏み入れる場所だ。


しばらく歩くと、中級層と富裕層の間にも(そび)え立つ城壁が見えてきた。俺には中級層の治安が悪いようには見えないが、過去に何かあったのだろうか。門番に依頼書を見せ中に通してもらった。


そこには先程とは全然違う街並みが視界いっぱいに広がっていた。一軒一軒の敷地の広さが凄い。ざっと隣の家の敷地まで100メートルはありそうなほどである。豪邸ぞろいで一気に自分の場違いさに物怖じしてきた。そもそも外を歩いている人も少ない。皆馬車などで移動しているようだ。


(ここか……ここも大きな屋敷だ。マナーとか何も分からないんだが大丈夫か?)


敷地の回りを囲う立派な生垣の間にある立派な門。そこに呼び鈴が備わっており、押してしばらく待っていると見るからに執事の格好をした男性が現れた。


「どちら様でしょうか」


俺の顔から足元、足元から顔へと舐めるように見てくる視線が痛い。でも、わかる。この富裕層に伺う格好や身分でもない事は、今日身をもって感じているから嫌味には感じていない。不審がるのも理解できる。


「こちらを拝見し、ギルドで依頼を受け、お伺いした次第でございます」


(俺大丈夫か?言葉間違ってない?)


恐る恐る依頼書を執事の方に手渡した。


「なるほど。申し訳ございませんが、あいにく主であるクリスフォード様は本日不在でございます。明日に家族の皆様でお戻りになりますので、せっかく来ていただいたのに恐縮でございますが、明日再訪していただけませんでしょうか。ご足労をお掛けし、誠に申し訳ございません」


翌日のお昼13時にはお戻りになるとのことで、14時に再度訪問することとなった。


また、ここに来るのかと思うと今日のうちに終わらせたかった気持ちでいっぱいだ。


予定が潰れてしまったため、これからどうするか悩んだ。


「これは、もうアソコに行けってことだな」


この国を囲う城壁の外。裏手には大きな山がある。そこは木が生い茂り、果物の収穫や動物の捕獲などが行われている。この国の経済を支える重要資源の一つである。


危険な動植物は山の奥深くに行かない限りは問題ないとのこと。また城壁から5キロ圏内は魔術師による結界が張られており、魔獣などの危険性もないとのこと。全てバルトさんから得た知識だ。


ということで!今から山の(ふもと)に向かい、山から流れる川の側でお風呂に入ろう!

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