表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/29

第8話 可能性を秘めた新機能

 ピピピピ……。


 今日もまた、いつものアラーム音で目が覚めた。時刻は朝7時。昨日は気づかなかったが、鳥の鳴き声が聞こえていて、心地の良い目覚めだと感じた。ぐっすりと眠れていたようで、体調はとても良い。


 むしろ寝すぎたせいか体が少し鈍っている感じだ。ベッドから起き上がると、背筋を伸ばし、腕を頭上に上げ、大きく伸びをした。気持ちいい。同時に盛大な欠伸(あくび)をした。


 そしてようやく俺は、スマホを出現させてアラームを止めた。


 実は昨日の夜、食事に出かけた時にスマホがないことに焦った。『スマホ、出てきてくれよ~』なんて心の中で言っていたら、なんと目の前に出現したのだ。速攻でオラクルに質問。そしたら、出したり消したりも心で念じればできることが分かったんだ。


 何も知らないから無茶苦茶焦ったよ。だって異世界で無くしたら替えがきかないだろ?


 顔を洗い、今日は何をしようかなと考えながら今一度スマホの画面に目を向けた。すると見慣れない通知が表示されていた。


善行(ぜんこう)ポイント 10,000pt 獲得】

【レベルアップ! Lv.1 → Lv.2】

【新アプリ解放】


「え?」


 思わず声が出た。


善行(ぜんこう)ポイント?新アプリ?まだまだ分からないことだらけだな……。オラクルに聞くか。おはよう、オラクル)


『おはようございます、携太さん。お目覚めはいかがですか?』


 オラクルの声が頭の中に響く。


(いい感じ。いや、それよりこれ、何?まず善行(ぜんこう)ポイントって?)


『昨日、宿屋の建物の色を変えて差し上げた事で、バルトさんとエレナさんが大変喜んでおられました。その感謝の気持ちが善行(ぜんこう)ポイントとして携太さんに付与されたのです』


(俺への感謝の気持ちが数値化されて、付与されているのか……)


『はい。善行(ぜんこう)ポイントは感情的な価値を数値化したものですので、単価のようなものはございません。行動の大きさや相手の感謝の深さによって変動いたします』


 オラクルの説明を聞いてある程度は理解したと思う。


 次にホーム画面にこれまでなかったアイコンが二つ増えている件だ。一つは買い物カートのマーク、もう一つは箱のマークだった。


(この新アプリは何ができるんだ?)


『今回追加されたのは、通販アプリとアイテムボックスのアプリです。まず通販アプリについてご説明いたします』


 俺は買い物カートのアイコンをタップした。すると、まるで元の世界の大手通販サイトのような画面が表示された。


『通販アプリでは二つの世界の商品を購入できます。まずこの異世界の商品をイエンでのみ購入可能です。また元の世界の商品を、善行ポイントでのみ購入が可能となります』


(元の世界の商品も買えるのか?)


『はい。1ポイント1円と思ってください。イエンと違い簡単に稼げるものではない為、元の世界の商品を買う方が高価に感じると思います。商品は購入と同時にアイテムボックスに転送されますので、即座にご利用いただけます』


 試しに検索画面で地域を「日本」にし、検索ワードを入れずに検索してみた。すると、見覚えのある商品がずらりと表示された。食品、日用品、電化製品まで、まさに元の世界の通販サイトそのものだった。


(すごいな……日本の物が恋しくなっても手に入るなら、なおさら元の世界に未練が残る訳がなく……)


 先ほど獲得した10,000ポイントで何を買うか悩んでいたが、ふとお風呂の事を思い出した。異世界に来てから、まともにお風呂に入っていない。宿屋には簡単な洗面台はあるが、湯船に浸かることはできないでいる。


 俺は早速検索画面で「お風呂」と入力した。五右衛門風呂のように火にかけられるものがいいが、20,000ポイントと手が出る商品ではなかった。40度ほどのお湯を入れる事ができるなら、5,000ポイントで買える折り畳み式の簡易湯舟を見つけた。お湯はどうにかできないかバルトさんに聞くとして、とりあえず簡易湯舟を購入してみた。最悪水風呂でもいいから身体を洗いたかったのだ。


 購入完了の通知音とともに今度はアイテムボックスのアプリに①と数字が付いた。開いてみると大きく10個の四角い枠が表示されていた。「1/10」と右上に表示されているということは10個までしか入れられないのかもしれない。1つの枠はすでに埋まっており、先程の通販のサイトでも見た簡易湯舟の画像が1枠いっぱいに表示されている。


(おはよう、オラクル。今度はアイテムボックスのアプリについて説明してほしい)


『アイテムボックスは大変優れたアプリです。現在は10枠しか保存出来ませんが、私が知る限りでは1レベル上がるごとに枠が増えるようになっております。1枠1アイテムであり、同じアイテムを仮に9999個集めても1枠に収まります。ですのでサイズにとらわれることはありません。水や土など量を測れる物は、㎏やℓの表記されるためどれだけ保存されているか視覚的に分かります。アイテムバッグより優れた点で言えば、光などの無機物を保存することも可能であります。詳しくはまた必要な時にお聞きください』


(ありがとう。凄すぎてアイテムバッグ要らないね)


 収納と取り出し方もオラクルから教わり、自分の持ち物であるお金と甚平(じんべい)も預けることにした。


 通販で異世界の食材や食べ物を購入してもいいが、味気ないし、今は異世界を堪能したい。今日もとりあえず出かけることにしよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ