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第29話 新たな決意

「まさか……なぜここに?!」


 悪人たちの顔に動揺の色が浮かんだ。


「貴様らが、この国で人身売買を行っていたとはな。即座に武器を捨て、投降しろ」


 初老の男性が毅然とした声で告げる。その声には、絶対的な権威が込められていた。


「なんの事だか……俺らはなんの悪いこともしてませんよ。むしろコイツが俺らの商売を邪魔してきたんですよ」


 リーダー格の男が俺を指さしてそう発言した。その声には先ほどまでの余裕はなかった。


「私が3つのギルドを統括する長ロベルトであると知っていて、尚私にその様なことを申すか……。その商売が人身売買だと指摘しているというのに。幾つ罪を重ねたいのだ」


 ギルド統括長の言葉を聞く度に、悪人たちの顔から血の気が引いていくのが見て取れる。


「今回は3つのギルドに確認は取っておらぬが、緊急な故、私の一存で貴様らを拘束する。処罰は追って下すが、ぬるいとは思わぬ事だな。覚悟しておくように」


 どうやら拘束できない結果は見えていないようだ。


 ロベルトの合図で、後ろに控えていた冒険者たちが前に出た。その武装と雰囲気は、さっきまで俺を苦しめていた悪人たちとは格が違う。鎧には美しい装飾が施され、剣の刀身は青白く光っている。これはもしかしてオリハルコンでできているのではないだろうか。明らかに高価な素材を使った武具で身を固めている。


「ちっ、こうなったら……」


 悪人たちは最後の抵抗を試みようとしたが、プロの冒険者たちにとって、悪人たちは敵ではなかった。目にも止まらぬスピードとはこのことか、と思うほどあっという間だった。瞬きをした後には、もう悪人たちは、剣や槍などによる連携攻撃で、気を失い地べたに伏していた。駆けつけた冒険者たちは、おそらくSランクなのではなかろうか。この国の冒険者のランクについては把握していないが、そう思えるほどの圧倒的力だった。


「携太さん、大丈夫ですか?」


 冒険者が制圧したことで安心したエレナが、心配そうに駆け寄ってくる。


「エレナ、バルトさん……どうして?」


 俺は信じられない思いで二人を見つめた。


「携太さんがマリアさんの元に戻ったあとも……私がじっとしていられなくてお父さんに相談したんです。迷子のリリィちゃんのこと。そして、迷子ではなく誘拐の可能性があることも。そしたら、お父さんが携太さんに何かあったらと、知人であるロベルトさんに相談に急いだんです。ロベルトさんと、あの冒険者さん達が一緒に居て、一緒にこの貧民街へと向かってくれたんです。ね?お父さん」


「そうだよ。ロベルトがあの冒険者達とギルド内にいてくれて助かったよ。それに、間に合ってよかった」


「あ、でも貧民街に戻ってきても、どこに携太さんがいるかわからなかったんですよ。みんなで探し回ったのですが見つからず……どうしようと困っていたところで、目の前にマリアさんが現れたんです。地下に行った携太さんに何かあるといけないから誰か助けを呼びに行こうとしてたみたいです」


「そういうことか。本当に死ぬかと思ったよ。俺を助けるために動いてくれてありがとう。バルトさんもありがとうございました」


 ギルド統括長や冒険者の方々には、感謝してもしきれない。


「あ、そうだ!マリアさん、リリィちゃんはあそこに居ますよ」


 俺の話を最後まで聞く前に、マリアさんはもうリリィちゃんの方へと駆けていた。


「リリィ!!」


 声を聞いたリリィちゃんは、見ててくれた少年の手を勢いよく離れて駆け出した。


「ママ!!」


 2人は、少し心配になるほどの勢いでぶつかった。そのまま強く抱き締めあっている。マリアさんの手は震えながらも、リリィちゃんの小さな体を大切そうに包み込んでいる。


「ママ、怖かったよ……でも、お兄ちゃんが助けてくれたの」


「リリィ、怖かったよね。本当に無事で良かった」


 マリアさんの頬に涙が流れている。安堵と喜びが混じった涙だった。おそらく、今までで一番強くお互いを抱きしめているだろう。リリィちゃんも小さい手でマリアさんの服を精一杯握っている。まるで、もう離れたくないとでも言うように。


「ママ、もう悪い人たちは来ないの?」


「ええ、来ないわ。強いお兄さん達が守ってくれたんだもの」


 マリアさんが俺の方を見て、感謝の眼差しを向ける。その瞳には、言葉では表現できないほどの感謝が込められていた。


 周りでは、他の救出された人々も安堵の表情を浮かべていた。悪人たちが冒険者たちによって拘束され、もう自分たちを脅かすものがいないことを理解して、緊張が解けていく様子が手に取るように分かる。


「本当に助かりました……」


「ありがとうございます、命の恩人です」


 救出された人々が次々と俺に感謝の言葉をかけてくる。中には涙を流しながら頭を下げる者もいた。


「いえ、当然のことをしただけです。それに、最後はギルド統括長や冒険者の方々のおかげで……」


 俺は恐縮しながら答える。しかし、心の中では今までとは違う感情が湧き上がっていた。


「何を言ってんだい!アンタが助けに来なかったら地下まで誰が来てくれたんだって話だろ?隣国に売られる前に助けてくれたんだ。間違いなくアンタのおかげだ!」


 これまでの俺は、生活のために能力を使うことを考えていた。スマホの力でお金を稼ぎ、この世界で快適に暮らす。それが目標だった。しかし、今は違う。目の前で人が苦しんでいる時、その人たちを助けることができる力を持っているなら、それを使うべきではないだろうか。そして、その結果としてお金が手に入るなら、それこそが正しい在り方なのではないか。


 マリアさんとリリィちゃんが抱き合う姿を見ていると、俺の心も温かくなる。人の笑顔を取り戻し、感謝もされた。これほど嬉しいことはない。のんびり暮らそうと思っていたが、俺の中に、スマホを使ってこの国を救いたいという気持ちが芽生えたのだった。そして、それが、この力を与えられた俺の使命なのかもしれない。

なんか…

もはや…タイトル大丈夫かな?

満喫…、まぁ…まったりだとかのんびりは入れてないけども。

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