表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚余剰人員の為、魔王は任せて異世界満喫(元祖)  作者: -冬馬-


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/29

第23話 貧民街の闇

 夜が空を包み始めていた頃、俺たちは城壁外から宿への帰路についていた。


 川辺で遊んだり食事をしたり……親の話から医療格差の問題、そして新たな使命への決意をしたりと、今日は本当に濃い一日だった。エレナとの距離も一気に縮まり、2匹も新しい家族を得たような気持ちでいてくれているだろう。


「今日は本当にありがとうございました、携太さん」


 エレナが歩きながら振り返る。夕闇の中でも、彼女の表情は明るく見えた。


「こちらこそ。俺もエレナに聞いてもらえて良かった。こっちにも俺のことを知ってくれている人ができて、なんだか気持ちが少し晴れた気がする」


 城門が見えてきた。門番の兵士が立っているのが見える。


(チョコ、ミント、戻ってて。兵士に見られるとまずいからな)


『はーい』


『今日は楽しかったね!』


 2匹をスマホの中に戻し、俺とエレナは門をくぐって街に入った。


 貧民街を通り、それから中級層エリアへと向かう安眠亭への道だ。


 だが貧民街に足を踏み入れた時、女性のすすり泣く声が聞こえてきた。


「あ……」


 エレナも気づいたようで、足を止める。


 道の角で、一人の女性がうずくまって泣いていた。年齢は20代半ばくらいだろうか。汚れた服を着ており、明らかに貧民街の住人だと分かる。


「どうしましょう……」


 エレナが心配そうに俺を見上げる。


「とりあえず、話を聞いてみよう」


 俺たちは女性に近づいた。


「すみません、大丈夫ですか? 何かお困りのことでも……」


 女性は顔を上げた。目は真っ赤に腫れ、頬には涙の跡が複数本くっきりと残っている。


「あ、あの……うちの子が……うちの子がいなくなって……」


 女性の声は震えていた。


「お子さんが? いつから?」


「今日の……今日の昼過ぎに……3歳の娘なんです……リリィって言うんです……」


 女性——リリィの母親は再び泣き始めた。


「落ち着いてください。詳しく教えてもらえませんか?」


 エレナが優しく声をかける。


「ちょっと目を離した隙に……いなくなっていたんです。普段なら泣き虫な子だから、すぐに泣いて気づくはずなのに……」


 母親の声がさらに震える。


「もしかして……迷子じゃなくて……誘拐されたのかもしれません……でも、どこをどう探していいのかも分からなくて……だから……だから……」


 そこまで言うと、彼女は再び嗚咽を漏らした。


 俺は胸が締め付けられる思いだった。3歳の子供が誘拐される可能性。この世界の貧民街では、そんなことが日常的に起こっているのだろうか。それに、誰も助けてはくれなかったのだろうか。他人を助けるほど、自分自身に余裕がないのだろう。


「エレナ、もう夜になるし、バルトさんが心配するだろう。一度家まで送るよ」


「でも……この方を……」


「そうだな。送った後で戻ってきて、彼女を手伝うよ。約束する」


 エレナは少し迷ったが、頷いてくれた。


「分かりました…。でも、何かあれば私も協力しますからね」


「ありがとう。お母さんすみませんが、彼女を宿まで送り届けたらまた戻ってきます。お嬢さんを見つけるまで手伝うので諦めないでください」


「わかりました……。あ、あ、ありがとうございます。ありがとうございます……」


   ◇


 エレナを安眠亭まで送り届けた後、俺は急いで貧民街に戻った。中級層エリアから貧民街へ向かう道を走りながら、リリィちゃんのことを考えていた。


 女性——彼女の名前はマリアと言った——はまだ同じ場所で座り込んでいた。


「お待たせしました。一緒に娘さんを見つけましょう」


 俺はマリアさんの前に膝をついた。


「本当に……本当に見つけてくれるんですか?」


「はい。でも、まず詳しく教えてください。リリィちゃんがいなくなった時の状況を」


 マリアさんは涙を拭いながら話し始めた。


「昼過ぎに洗濯をしていたんです。いつものように、リリィは家の前で遊んでいました。ほんの少しの間目を離しただけなのに……気がついた時にはもういなくて……」


「普段からリリィちゃんはマリアさんから離れず遊んでいたんですか?」


「そうですね。5メートルも離れることはありません。人見知りが激しいので、知らない人がいると私の後ろに隠れてしまうような子なんです」


 俺は考え込んだ。人見知りが激しい3歳の子供が、自分から遠くに行くとは考えにくい。やはり誘拐の可能性が高い。


「少し待ってください。どうすればいいか考えてみます」


 俺はマリアさんから少し離れた場所に移動し、心の中でオラクルを起動した。


(おはよう、オラクル)


『こんばんは、携太さん。お困りのようですね』


(人探しの件なんだ。MAPアプリで何かできることはないか?)


『MAPアプリには人探し機能がございます。位置共有には現在3種類ございます』


 オラクルの説明が始まった。


『1つ目:GPSの機能を持ったアイテムを対象が持っていた場合、その場所を特定できます』


『2つ目:対象が大事にしているものをアイテムボックスに入れると、一時的にその人の居場所の範囲が分かります。大事にしているものであればあるほど、範囲は狭まり見つけやすくなります』


『3つ目:難易度が高めですが、対象と10秒以上握手を交わした場合、その対象の位置を長期間把握することができます。10秒で10日、その後1秒加算されるごとに10日伸びます』


(なるほど……。接触したことのない他人を探せるのは2つ目だけだな。それにしても3つ目の難易度高いな…)


 俺は心の中でチョコとミントにも相談した。


(チョコ、ミント、聞いてた?)


『うん、聞いてたよ』


『3歳の子だから、普段身につけていたものとか、大切にしているものがあるかもしれないね』


(そうだな。まず、マリアさんに聞いてみよう)


 俺は再びマリアさんの元に戻った。


「マリアさん、リリィちゃんが普段身につけているものや、大切にしているものはありませんか? おもちゃでも、服でも、何でも構いません」


 マリアさんが顔を上げる。


「大切にしているもの……そうですね……いつも肌身離さず持っている小さなぬいぐるみがあります。うさぎのぬいぐるみで……私の母が作ってくれた物なんです」


「それは今、どこに?」


「家にあります。リリィがいなくなってから、慌てて探し始めた時に、そのぬいぐるみは家のそばで落ちていたんです」


 希望の光が差した。


「そのぬいぐるみを見せてもらえませんか? それがあれば、リリィちゃんを見つけられるかもしれません」


「本当ですか? どうやって?」


「俺には特殊な能力があるんです。詳しくは説明できませんが、必ず見つけますので家まで案内してもらえませんか?」


 マリアさんの目にも希望の光が宿ったように見えた。


「分かりました。こちらです」


 俺たちは、そこから少し歩いたところにある家へと向かう事となった。

セリフ以外も、「さん」付ですよね?

なんか…書いていて不安になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ