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召喚余剰人員の為、魔王は任せて異世界満喫(元祖)  作者: -冬馬-


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第22話 召喚された理由?

「じゃあまず、俺のいた世界の話……」


 俺は夕日に照らされた川辺で、エレナに分かるように話し始めた。チョコとミントも静かに俺の両脇に座り、真剣な表情で聞いている。


「まず初めに、俺のいた世界は、魔物もいなければダンジョンもない。魔法もなければ、武器や防具も不要な所だった。だから冒険をする者もいないんだ。それぞれの家から学校や働いている所に行く。そして働いた分のお金をもらって生活していく」


 エレナが興味深そうに頷いている。


「まあ……詳しくはまた今度話すよ。それより、俺の親の話だな」


 俺は少し言葉を選びながら続けた。


「俺の父は、多くの働き手がいるお店の……社長……オーナーと言う方が分かるかな。まあ……それなりに金持ちなんだ」


 エレナが「はい」と小さく返事をする。


「その父は結婚している人がいるにも関わらず、俺の母との間に子どもを授かった。それが俺なんだ」


 俺の声が少し沈む。エレナの表情も真剣になった。


「色々な人からの目を気にして、公には言わないように言われた母は、さぞかし辛かっただろう。どういう経緯で2人がそういう関係を持ったのかは聞く勇気もなかったから……母も悪いかもしれないけどな……」


 俺は空を見上げた。オレンジ色に染まった雲がゆっくりと流れている。


「それでも母は父と違って、俺を見捨てず一人で育ててくれた。父からの支援を受けることもなく、必死に働いて育ててくれた……昼も夜も働いていた母は、職場で倒れてそのまま過労で亡くなってしまった」


 エレナが小さく息を呑む音が聞こえた。


「若いこともあり、身体のSOSのサインに気づかず……無理していたんだと思う」


 俺は隣に座るミントを見つめた。


「あの頃にミントがいてくれたらな……」


 ミントが慰めるように首を俺の足に擦り付けてくる。その温かさに、俺の心も少し和らいだ。


「ありがとう、ミント」


 俺はミントの頭を優しく撫でた。


「そこから俺は、身寄りのない子どもが集められた施設で育った……俺は親の写真を1枚も持っていない。記憶の中でしか俺の母は生きていない」


 俺は自分でも驚くほど穏やかに話していた。もう随分昔のことのように感じられる。


「だからなのか、その瞬間を残しておける写真に魅了されるかのように、色んな家族の写真を撮ったり景色を撮ったりしていた。さらに加工をしてあげることもしていたんだ」


 俺はエレナを見つめる。


「エレナにも内緒にしてたけど……エレナとバルトさんの2人も何枚か写真を残してる。俺の思い出にな。今は見せられないけど、いつか見せられるようになったら見せてあげるからね」


 エレナの目に涙が浮かんでいた。でも、それは悲しみだけではなく、何か温かいものを含んだ涙のように見えた。


「携太さん……辛い過去を話してくれて、ありがとうございます」


 エレナが俺をまっすぐ見つめる。


「携太さんは、お父さんもお母さんも、もうこの世にはいない。更に今は異世界に来て、知り合いが誰一人としていない世界で頑張ってる……」


 エレナの声が震えている。


「それを考えたら、お母さんがいなくても、私にはお父さんがいるんだから……」


 エレナは涙を拭って、小さく微笑んだ。


「今度は私の番ですね」


 エレナは深呼吸をして、話し始めた。


「あれは8年前、私が学校に行っている間のことでした——」


「ちょっと待って! エレナって何歳? 15歳ぐらいじゃ……」


 俺は慌てて口を挟んだ。


「酷いです! 私もうすぐ20歳です! そんなに子供に見えてました……?」


 エレナが頬を膨らませる。


「ごめん……俺の知る異世界のイメージだと、15ぐらいで成人みたいなイメージもあったけど……それにしても若く見えてた」


「ここでは20歳が成人ですよ」


「そこは俺のいた世界と一緒なんだ……あ、ごめんごめん! 話の腰を折ってしまって」


「いえ……」


 エレナは小さく笑って、再び真剣な表情に戻った。


「私が学校に行っている間に、私の母も息を引き取ってしまいました。かなり治すのが難しい病気だったんです」


 エレナの声が少し震える。


「何ヶ月も苦しんでいるのを見ていましたが、私には苦しそうには見せず、毎日明るい笑顔を見せる母でした。なので、あの当時は、母が重病だとも知らずに暮らしていたんです」


 俺は黙ってエレナの話に耳を傾けた。


「なので、携太さんが予期せぬタイミングでお母さんを失ったのと同じで……すぐには信じ難い現実でした」


 エレナが拳を握りしめる。


「もし……自分が中級層ではなく、富裕層で暮らしていたら……治癒師に救ってもらえたのかもしれないと思うと、この国の中級層以下の人達の病気への不安は計り知れないと思います」


 エレナの声に怒りが混じってきた。


「みな、他所に行くこともできず、我慢して病気にならないように気をつけている状況です。治癒師の中でも、すごい人はこの国には1人しかいません。他の人はそれなりの力しかないのです。それほど治癒師は貴重な存在です」


 エレナが俺をまっすぐ見つめる。


「だから……この機会に話をさせてください。この国を救ってください! チョコとミントの力を知った今、携太さんがこの国に来た意味をそこに結びつけてしまいます」


 俺は少し考えてから、ゆっくりと頷いた。


「話をしてくれてありがとう。今その話を聞いて、確かに俺がここに来た意味があると思った。自分の力はまだまだ未熟だけど、頑張ってみるよ」


 俺はチョコとミントを見つめた。


「チョコとミント、お前らの力がとても重要だ。協力してくれるよな?」


「うん!」


「もちろんよ!」


 2匹が元気よく答える。夕日が山の向こうに沈み、空が紫色に染まり始めていた。バルトさんが心配する前に、帰りの準備を急ぎ、街に帰り始めた。


 俺たちは新たな目標を見つけた。この国の医療格差を少しでも改善すること。それが、俺たちがこの世界で果たすべき役割なのかもしれない。

それだったら、チョコとミントがいるだけで解決じゃね?携太要る?ってなるかもだけど…ちゃんと他のアプリなどの機能も使いますからね!!(笑)

一応伝えると、この国を救う所までが最低の目標です。

他の国に行ったりするかは…その時に決めます^^;

お伝えしておきますね〜

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