第2話 宿より服屋
さぁ、今回は服屋とのやり取りです。
特別な進展ではありませんが、周りの目が気になるので服屋に行かせてあげます。
見知らぬ土地に放り出された俺。手には金の入った麻袋のみ。
城から出口までの案内役に、同情の眼差しを向けられながら見送られた。
目に見える全てが新鮮で、まるで映画の中に入り込んだようだ。これからどうしたものかと考えながらプラプラと歩いていると、様々なお店が並ぶ城下町に着いた。
城下町は思っていたより活気があった。石畳の道に様々な店が軒を連ね、行き交う人々の服装も多様だ。武器屋、雑貨屋、食べ物の屋台……見ているだけでも飽きない。
ただ、俺の甚平姿はやはり目立つらしく、すれ違う人々の視線が痛い。
俺は……とりあえず服屋を探したい。
さっきからみんなの視線が気になる気になる!
まぁ寝巻きだし? 服のタイプも皆さんと違って甚平だし!? 何より裸足なんだよな〜。
季節は秋なのだろうか……。そもそも四季があるのかも分からないが、日中だと言うのに少し肌寒い……。長袖長ズボンで揃えたいところ……。
ふと歩いていると、こじんまりとした服屋があった。異世界に来たばかりで、1件目から大きなお店には入る勇気はなかったが、このお店なら大丈夫だろうと入った。
何故外に商品が無いのに、服屋とわかったかと言うと……。
もちろん看板だ。
話す言語だけではなく、文字も全て俺には日本語に見える。とても都合がいいと感じた。この国の世界の人が書く本当の文字は違うのだろう。
お店にはズラっと男女問わず服が揃っている。様々な服が並んでいるが……正直ラフな服装で揃えたい。冒険に出発する訳じゃないしな。
店内にいる40-50代の婦人が声をかけてきた。
「いらっしゃ……い。珍しい服を来てるわね? どこから来たの?」
「異世界です」
躊躇いなく正直に言った。
「異世界!? じゃあ今日召喚されるって噂されて……あらいけない。コレは言っちゃだめなやつだわ……。私は何も知らない。そう知らないわよ」
召喚術が禁術とされている為、知っていたり口外してはいけないのだろう。
なぜ召喚術が禁術とされているのか、教えてはもらえないだろうが、おいおい自分で調べてみよう。そもそも、言う必要も無いし、言う相手もいないから心配しなくていいのに。
「何も聞いてないですよ。だいたい俺は間違って召喚されたみたいですから勇者ではないので。まぁ値切ろうとは思わないですが、ぼったくらなければそれでいいです。変な値段だったら口が滑ってしまいそうです……」
「そそそ、そんなことしないわよ〜……。なんなら好きなのを、今回だけ一式プレゼントであげるから、持って行っていいわよ」
「いいんですか? とても助かります」
なんだか……脅したみたいで申し訳ない。
異世界の暮らしが落ち着いたら、ちゃんと買いに来よう。
店主は慣れた様子で服を選んでくれた。
「これなら普通の町人に見えるわ。サイズも大丈夫そうね」
手渡された服は肌触りも良く、確かに値段が安くはなさそうだ。本当に申し訳ない。
今回はシンプルな薄茶色の麻のシャツにダークブラウンのコットンズボン、それに皮のベルトに簡素な革靴を貰った。
「あら? アイテムバッグは持ってないの?」
「アイテムバッグ?」
あの異世界物によくあるやつかな?
「見た目より多くの物を入れれるあのアイテムバッグですか?」
「そう、そのアイテムバッグ以外何があるのさ」
「……いえ……持ってませんが皆さん持っているのが普通ですか?」
「そうよ? アイテムバッグがないなんて、よく今まで生活できたわね。こっちの世界では子供がある程度成長したらもらうのが普通よ。容量は人それぞれだけど、生活必需品よ」
「元の世界では、こんな便利なものはありませんでした。それに、こっちの世界には何も持ってこれていないんです」
「へぇ、不便な世界ね。道具屋にでも行っておいで。サイズにもよるけど生活で困らない程度であれば、そんなに高くないはずよ」
「ありがとうございます。今日は疲れたので、明日行ってみます。宿屋までは持っていけますので」
そう言って店を後にした。
覚えておこう服屋に試着室はないということを。
さあさあ宿屋に行こう。
そう! 隣の宿屋に。
やっと宿屋。まったく能力も何も明かされてない中で、目を通してくださり、ありがとうございます。
今後も読んで頂けたら幸いです。