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召喚余剰人員の為、魔王は任せて異世界満喫(元祖)  作者: -冬馬-


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第17話 貴族との繋がり④

 家族の問題が解決し、部屋が温かい雰囲気に包まれている。


『家族っていいね』


 ボソッとチョコがつぶやく。親が居ないことを寂しく思うのも無理ない。宿に戻ったら外に出して抱きしめてやろう。


(そうだな…。家族っていいよな)


 俺も親の愛情をあまり覚えていない。目の前で見ている家族のあるべき形、それが羨ましく感じてしまう。


 いつまでも俺たちがいてもな。そろそろ帰ろうかな。


「クリスフォード様、依頼は完了ということでよろしいでしょうか?」


「はい。子どもたちの要望のみならず、ジョゼフィーヌも助けて頂き…いや家族を救っていただき、ありがとうございました」


 俺は子どもたちに目をやった。来たばかりの時に、母親の後ろに隠れた2人とは別人に見えた。決意の様なものを感じる。


「ご家族の絆も深まった様ですし、何よりご子息たちも見違えましたね」


「期待以上の働きをしていただきました」


 クリスフォード氏がテーブルの上にあった依頼書を取り出し、サインのみならず何かを書き加えている。


「依頼書に一筆、追加報酬の旨を記載させていただきます」


「追加報酬?」


「はい。本来の報酬は10万イエンでしたが、30万イエンとさせていただきます」


「え!? そんな……3倍なんて……」


「いえいえ、当然のことです。息子たちの問題だけでなく、家族全体を救っていただいたのですから」


 奥様も頷いている。


「本当に感謝しております。また何かございましたら、是非あなたに依頼をさせてください」


「ありがとうございます。いつでもお声がけください」


 俺は丁寧にお辞儀をし、クリスフォード邸を後にした。


   ◇


 クリスフォード邸を後にした俺は、まっすぐギルドに向かった。報酬を受け取るためだ。


「お疲れ様でした! 報酬の受け取りですね……って、え!?」


 受付の女性が依頼書を見て目を丸くした。


「何をしたんですか!?」


「普通に仕事をしました」


「いやいや、それで3倍にはならないでしょう!!」


 彼女の驚きっぷりに、俺は苦笑いを浮かべた。


「気前が良い方なのでしょう」


「確かに、クリスフォード様はとても気前の良い方だと有名ですけど……それにしても……」


(まぁ確かに初めての仕事で3倍は疑うよな。俺でも不信に思う)


 実は、高頻度で依頼する方や富裕層の方は、事前に多めにお金を預けているそうだ。なので、報酬額より多くてもギルドはすぐに用意ができたという訳だ。


 お姉さんは羨ましそうな目を向けながら、30万イエンを俺に手渡した。


「いいなぁ〜。何か私にも才能があればなぁ〜……」


「あはは……」


 俺は曖昧に笑いながら、ギルドを後にした。


 帰り道、ミントとチョコに話しかけた。


(今日はお疲れ様。特にミント、ありがとう)


『どういたしまして。でも、思ったより疲れちゃった』


『MPの回復って、どのくらいかかるんだろう?』


 チョコが疑問を口にする。


(そうだな。あと、チョコの能力もどれ位の効果があるのかも気になるな。まだまだ分からないことだらけだけど、冒険中じゃないからゆっくりと知っていこう)


 初めての仲間。初めての依頼。初めて続きの毎日で、楽しすぎるよ異世界生活!


(そうだ!! ケーキ屋ないかな? 行ってみようよ! 誕生日とか分からないから、仲間になった今日を記念してケーキ買って一緒に食べよう)


『ケーキってなに? 美味しいの?』


 チョコが食いついた。


(ちょ〜美味しいぞ! 甘くて、また食べたいって絶対に言うやつ)


『行く!! 行くに決まってるでしょ!!! きっとそれ食べたらMP回復するから、たっくさん買ってよね? 報酬が増えたのは私のおかげでもあるんだから』


(わかったよ! ほどほどにな…)


 時刻は19時を回っていた。街にはオレンジ色の魔法灯が灯り始め、仕事を終えた人々が家路につく時間だ。パン屋や肉屋の前には夕食の買い物をする人たちが列を作っている。美味しそうな匂いが街中に漂っていた。


(そうそう、今日の夕食も買って帰らないとな)


『いいね! 今日はお祝いだもんね』


 ミントが嬉しそうに声を上げる。


 俺は市場を歩きながらケーキ屋を探した。魔法灯の暖かい光に照らされた店々を見て回ると、角の向こうから甘い香りが漂ってきた。


 ケーキ屋に向かいながら俺は空を見上げた。


 俺にも、人ではないが家族ができた。俺は父親と違って、家族を大切にしよう。


 そう心に誓った……。


 こうして、貴族、クリスフォード家との繋がりが出来たのだった。

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