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第二章第33話 忍び寄る不吉

今、一瞬怒濤の様に頭によぎったのはなんだろう。

一人はエルニエル先輩と、ミィと呼ばれた少女との悲しい対決の描写。

そもそも俺には思念受信の力なんかない。

なぜ、俺が知りもしない光景が頭によぎった?


「すまぬ、主殿。 それは我の過失じゃ」


「過失?」


「我と契約でリンクしている以上、我が行使した術式は否応なく主殿も影響下に置かれるみたいじゃ。 訳あってあの娘の思考を読んだときにあまりの悲しみという感情の波が我の制御の壁を決壊して主殿の頭に流れ込んでしまったみたいじゃ」


「訳?」


「う、うむ。 教会の同行が気になっての。 教会というワードを見つけたので解凍したらこうなってしまったわけじゃ」


「って、こら、カイ。 あまり人のプライバシーの侵害は宜しくないぞ?」


そう叱るとカイはシュンっとなって


「う、うむ。 さすがにこれは我の考えが足りなかった。 さすがにあれは興味本意で知ってはならぬ項目じゃ」


そう言って涙目になるカイ。


「まあ、見られてしまったものは仕方ないですよ。 ……でも、見たのはそこだけですよね?」


エルニエル先輩が俺とカイにニコニコと、それでいて強圧なプレッシャーで聞いてきた。

さすがのカイもそのプレッシャーには畏縮する。


「も、勿論じゃとも。 てかなんで思念受信に気付いたんじゃ、お主」


「そりゃあ魔力の機微くらい察知できなきゃ教会暗部の構成員は務まりませんからねぇ」


言われてみれば確かにその通りかと。


「い、いや、すまん、エルニエル先輩」


正直俺の場合不可抗力なのだが、知ってしまった以上同罪な訳で。


「わ、悪かった。 二度と覗かないから許してくれ!!」


そんなすったもんだがあったが、無事俺たちはひじりらと同流した。



「で、その人たちは?」


アマリリスの疑問も当然だろう。

ピィにカイ、モモの三人娘と、金套、銀蝶のおまけつきで戻ってきたのだから。


「わけあって旅の同行をします、金套です。 こっちの無愛想は銀蝶」


「俺の知人のピィ、カイ、モモだ」


三人娘はペコリとお辞儀をした。

アマリリスは俺と三人娘を見比べてすすっと俺に近寄ってきて耳打ちをする。


「クラブ君、幼女趣味?」


「んなわけあるか!」


自他共に認めるシスコン|(姉限定)の俺が言うに事欠いて幼女趣味と誤解されるのは俺のアイデンティティ形成の都合上全力で否定しなければならない。


「シスコンは認めるんだ……」


アマリリスは存外呆れた顔をしてため息をつきながら言った。


「………苦労するね、あの娘たち」


「ん? なにかいったか?」


「うん、鈍感ながらフラグ乱立男は一度死ぬべきだと思うわけよ」


「そりゃ同意だ。 俺の兄もそういうところは矯正すべきだと思う」


「本当に呆れた男だこと。 あなたたちも苦労するわね」


と、アマリリスは三人娘に問いかける。


「まあ、主殿の仕様じゃ」


「パパですからねぇ」


「それがマスターと言ってしまえばそれまでです」


「は? パパ? 主殿? マスター?」


アマリリスは誤解を招いても仕方の無い単語に反応してしまった。

というか、この三人娘には人前ではあれほど俺への呼称は辞めろと言ったのに|(涙目)。

「えっと、クラブくん?」


「な、なんでしょう?」


「一度馬に蹴られて死んだ方が世のためだと思うよ?」


軽蔑の眼差しと口調で俺の心を抉るアマリリス嬢。

誤解だ、誤解だ!!


「あ、改めて紹介する。 こいつら、俺の召喚獣なんだ」


三人娘に話を合わせろと言わんばかりに目線を送るも、三人娘は何を思ったか反応しない。

「まあ、青春じゃて」


とロブ爺さんがしめる。

って、しめちゃダメ!!

みなさんあらぬ誤解をもったままになっちゃうでしょうが!!

ポンポンとひじりが首を横に振りながら肩を叩く。

え、なに? その諦めろといわんばかりのジェスチャー……。



「ところで、さっきからずっと後ろからついてきてるあのオッサンたちも連れだったりする?」


ひじりがそう俺に問いかけてきた。

俺はチラッと後ろを振り向くと、一般人とはとても思えない足運びの男が三人。


「ありゃカメレオンの残党だな……。 てことはまたお前狙い?」


「まあ、狙いは確実に俺だろうけど」


「ったく。 カメレオン壊滅の功績、見事にお前だけの手柄になっちまいやがったな。 俺もあいつら壊滅させたとき一緒にいたのに。 爆弾と薬は見た目上爆弾が派手な分、薬は影の目ってか。 それはむかつくな」


「は?」


「どーせやつらの俺らの呼称なぞファラスの爆炎一行ってとこだろ。 そりゃ間違ってるってことそろそろ教えてやらないとね……」


そうニヤリと笑ってひじりは歩みを止める。

俺も一緒に立ち止まるとひじりは笑いながら言った。


「先に行け、俺のこと信用してんだろ?」


「まあ、信用しているが相手は三人だぞ? 加勢した方がよくない?」


「まあ見たところ腕がたちそうなのは真ん中の一人くらいだし。 あとの二人は腰巾着ってところだ。 あんなの朝飯前だって」


「まあ、無理するなよ?」


「任しときなって」


そう言って、ひじりは後ろの三人に近付いていった。

それを見ていたユイが俺に声をかけてくる。


「ひじりくんは何をしてるの?」


「色々訳ありでね……」


「訳あり? ひょっとしてハンターの仕事?」


「仕事というか、ハンターやってる以上避けられない因果っていうか……」


答えに困窮した俺はしどろもどろに言った。

リグウェイは、金套の言葉を借りるならカメレオン残党の勢力圏。

カメレオン残党に狙われている俺らには避けて通れない戦い。

それはつまり、こいつらを下手したら巻き込んでしまう可能性があるわけで。


「ま、休憩がてら話を聞こうかの」


と、いきなりそんな提案を真横からしてくるロブ爺さん。

ロブ爺さんの目線には茶店があった。


「いきなり教会やカメレオンの残党に襲われたらいくらワシでも目覚めが悪いと思うわけじゃ。 話くらい聞かせてもらう資格はワシらにはあるわな」


「なぜ教会とカメレオン残党って知ってますか、ロブ爺さん」


「伊達にワシは歳くっとらせんよ」


ホッホッホッホと笑いながら、先行するメンバーに休憩の打診をするロブ爺さん。

ま、こいつらを巻き込んでしまう可能性のある以上、話をしておく必要はある。

俺は腹を括った。



喉の乾きを癒し、甘味処を摘まみながら、俺はリグウェイがカメレオン残党の勢力圏であり、俺とひじりが敵の腹の中にいることを説明した。

その事実を一番気にしていたのはこの旅行に俺らを誘った千冬だった。


「いや、気にしないでくれ。 正直、金套からその事実を聞かされるまで俺もひじりも知らなかったんだから。 今回のは悪い偶然が重なったみたいなもんなんだから」


「なるほどの……。 ハンターの性質の陰じゃな、まさに……」


重く低くそう告げるロブ爺さん。

ハンターという商売は一見華やかな陽の世界。

人々を苦しめる悪を討ち、名声と金を得るが、同時に討たれた側の恨みを一心に背負うのも業。

今いる多くの一流のハンターも例外問わず誰かに恨まれながら得た称号であるのは明白の理である。

否、一流のハンターはその禍根も消せて一流か。

その観点で言うならば俺もひじりもまだまだ二流ということか。

二流故に引き起こした事態。


「このまま一緒に旅を続けちゃうとみんなを巻き込んでしまう公算が高い。 だから俺とひじりはこの後始末をつけるため、一旦別れようと思ってる」


「クラブくんや」


「ん?」


「そりゃワシらを見くびりすぎじゃ」


「は?」


「まだ同じ時を過ごして数ヵ月じゃが、ワシはクラブくんたちを友と思うておる。 友の危機を見過ごせるほど腐ってはおらんわい」


「そうですよ。 そんな危険なとこクラブくんとひじりくんの二人だけで行かせられません。 私なんて二人に比べたらまだ駆け出しですけど、私もハンターの末席に席を置くもの。 足手まといにはなりません」


と、千冬。


「クラブはともかくひじりの危機は捨て置けない。 そういうわけだから私も乗る」


とアマリリス。


「私は私の問題に引っ張りこんだ以上、私もクラブさんの問題には首を突っ込ませてもらう所存ですよ」


とエルニエル先輩。


「いい腕試しになりそうね。 私もノるわ」


とユイ。


「……ありがとう」


ただその一言だけが口にできた。



どうも、ふじぱんです。

文頭にスペースをいれたいのですが、本サイトに対応するスペースを認識させるためには非常に手間がかかることがわかりました。

スペースボタンは全角だろうが半角だろうが半角スペースでスペース入力され、ならばと二文字分スペース入れると、本サイトでスペースが認識しないという……。

もうね、手段としては絵・顔・記ってボタン押して記号のとこまでいっていちいち全角スペースを探しだして入力しなきゃどうやら認識してくんないそうです。

さすがにそりゃバカみたいに手間だけくってダルすぎるので文頭スペースは諦めました。

携帯ユーザー様は本当に読みにくい文体になってます。大変申し訳ございません。

いずれネカフェにいって修正しますので少々見苦しいですがご勘弁な程お願いします。

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