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第二章第25話 ヘポイオスの剣

 ヘポイオスの剣とかいう神をも断つと言われる邪剣。

 神ですら恐れ、姿を視認したら裸足で逃げ出すと言われている。

 しかしなんで俺はこんな端からみても手に負えない系の敵とのエンカウント率が異常に高いのやら。

 しかも対敵する場合は、こちらから討伐に行くといったある意味覚悟を決めれる形ではなくて、こう……、つい先ほどまでこんな事態になるとは夢にも思っていなかった状態での形がほとんど。

 作者は俺を殺したいらしい。


「むーーーー……」


 ピィがヘポイオスの剣を一点に見つめ、唸っていた。


「えい!」


 否。 唸っていたのではないようだ。

 ピィの手のひらにマグマを彷彿とさせる赤黒い球状の塊が発現していた。


「なるほどの。 ヘポイオスの剣も元をただせば鋼。 超高温で溶かしてしまえばただの鋼の塊になるか。 ピィの奴、何も考えてない顔をしていろいろ考えているの」


 ピィの行動をカイはそう評価した。

 確かにピィの手のひらの上にあるあの炎の塊はアカデミーはおろか、どこぞの城塞ですら一瞬で消し飛んでしまうほどの威力がありそうだ。


「飛んでけええええ!」


 ピィがそう叫ぶと同時にピィの手のひらにあった炎の塊がヘポイオスの剣めがけて飛んでいく。

 その炎の塊は、ヘポイオスの剣を包み込むように直撃し、ヘポイオスの剣は炎の塊の中に姿を消していった。


「えへへへへ。 パパ、誉めて誉めて♪」


「うむ、ピィ、よくやったの。 さすがにヘポイオスの剣といえどあの超高温の炎の前ではなす術ないだろうて」


「カイに誉めてもらっても嬉しさ半分です。 ピィはパパに誉めてもらいたいんですよ」


 そう言ってむくれるピィ。

 俺はピィを頭を撫でて誉めるためピィの頭に手を置いて、


「ああ、よくやっ…………」


 とっさ反応出来た俺を誉めてくれ。

 超高温の炎の中から、黒い刀身の剣が一直線にピィ目掛けて飛んできたので、ピィとカイを押し倒すような形で剣の刃から回避させた。


「ぎ!?」


 刀身の刃は触れなかったが刀身から放たれるオーラが背中にかすった。

 ただそれだけなのに背中は抉れてしまったかのような痛みを襲う。

 そのダメージによる苦悶の表情を見て、ピィの顔はみるみる青くなっていった。


「パ、パパ!?」


 痛みで意識に集中出来ない中、ピィの青くなる顔が気の毒でせめて安心させたくて、無理に笑顔を作ろうとするが、痛みがその感情を上回り、うまく笑えない。


「主殿、傷は浅いぞ、しっかりするのじゃ!」


 カイが背中を見てすぐさまヒールの魔法を公使してくれる。

 カイのヒールで痛みが和らいだのもつかの間、ヘポイオスの剣はカイめがけて突っ込んできていた。


「させるか!!」


 再びカイを押し倒すような形でそれを回避する。


「いや、主殿……、それはさすがに無謀無策じゃと思うのじゃが……」


 と言いつつも顔が赤いカイ。


「主殿とて人の子ゆえ……、耐久面においては我に及ばぬというに、なんて無茶を……」


「まあまあ、二人が無事で良かった」


 そう、素直な感想を口にするとさらにカイの顔は赤くなっていった。


「まったく……どちらが守人もりびとかわからんの」


 守人という聞き慣れない単語に疑問を持ったが、敵は待ってくれない。


「カイ、この結界内って外からは見えないんだよな?」


「うむ……。 これはフィールド魔法といってだな……」


「OK、なら遠慮いらない」


 カイのウンチクが長くなりそうなうえそんなの聞いている余裕もないのであえて遮る。

 それに何より……。


「使い放題だ」


 手に爆弾を持ち、喜々としている俺はかなり危ないやつだと我ながら思う。

 しかし、久しぶりに遠慮なく爆弾をぶっ放せると思うと頬が緩むものだ。

 まずは行動パターンの分析。

 ヘポイオスの剣は現状、実直なまでに突進という形式で直線に沿った攻撃を繰り返している。

 剣という形状上、斬る、刺す、叩くの大パターンがあるにも関わらず刺すといった行動ルーチンしかしていない。

 刺すに特化した剣、すなわちレイピアのような小剣ならばそれも納得するのだが生憎と形状は大剣に分類される。

 あの形状だと最も有効的な攻撃手段は叩くと斬るを兼ね合わせた叩き斬るが適当だ。

 叩き斬るは剣の切れ味と剣に乗せる重力を合わせる戦法である。

 それを攻撃モーションに入れていないというのは考えられるだけで二パターン。

 完全にこちらを舐めていて使わないのか、それとも叩き斬るというモーションを取り入れるに値する威力を期待できないか。

 舐めているというパターンは俺の独断偏見だが、除外していい。

 何故ならピィの放った超高温の火球でヘポイオスの剣は一見無傷そうに見えるがよく観察すると多少なりとも形状が熱によって変形している。

 つまり、ダメージが少なからず有効だったわけで、自分に傷を負わせる事が出来る相手を舐めてかかるなんて有り得ないと思う。

 てなわけで、考えられるパターンは残り一個になったわけで、それは俺らにとって有益なパターン。

 ヘポイオスの剣は本来の力を発揮できていない。

 で、有効な攻撃手段が刺すということだ。

 直線な突撃しかして来ない敵など恐るるに足らず。

 避けて当て、避けて当てを繰り返せばいい。

 勿論、その動作で様々なギミックを組み込むしな。


「んじゃ、まずはこれかな?」


 爆弾に火を付け、自分の上空に投げる。

 パカンと爆弾は破裂し、銀色をした紙吹雪のようなマジックチャフが一面に降り注ぐ。


「な、正気か、主殿!?」


 魔力を拡散させる効果を持つマジックチャフは当然ながら味方であるピィやカイにも有効。

 魔力を頼りにする戦法をとる二人にとっても有効と言い難い。


「ぴぅぅ……。 ピィ、何も出来ないですよ」


 二人からは非難轟々だが、期待している効果を考えたらそれは目を瞑ってもらいたい。

 そして、期待した効果が見事てきめんしていたしな。

 ヘポイオスの剣は、あらぬ方向に向かって突進しだす。


「なるほど……」


 カイは俺の狙いに気付いたようだった。

 ヘポイオスの剣は剣だけに目やらの五感がない。

 なら何で俺らの位置を把握していたかというと魔力で俺らの位置を探知していたわけになる。

 先ほどからピィやカイを狙って俺に歯牙もかけないのは魔力を感知できるほどの魔力を有していないからだ。

 これでマジックチャフが有効の間、ピィとカイはターゲットにされなくなった。


「お次はこいつで!」


 ヘポイオスの剣の進行方向のまえで爆弾を爆発させる。

 爆発地点には取り餅。

 ヘポイオスの剣は取り餅にハマる。

 ヘポイオスの剣は取り餅をブチブチっと引きちぎり、更に突進してくる。

 取り餅でヘポイオスの剣の動きを封じ込めることを期待して使ったわけじゃない。

 あくまでギミックの一部にすぎないわけで……。


「これでどだ!!」


 ヘポイオスの剣に琥珀色をした液体をぶちまける。

 琥珀色の液体がかかった瞬間、取り餅から腐った卵を彷彿させる硫黄に似た臭いが立ち込め、取り餅から煙が立ち上がる。

 取り餅と琥珀色の液体が交わる事で強力……、否、強力という言葉は生ぬるい。

 凶悪な酸性物質へと化学変化し、ヘポイオスの剣を溶かす。


「どんなモノでも断つ剣とはいえ、どんなモノをも溶かす酸の前では溶けるしかないよね」


 さて、マジックチャフの効果が切れはじめてきた。

 後は魔法っ娘たちにバトンタッチだ。


「ピィ、カイ、いけ!」


「任されよ!」


「ピィ、頑張る!!」


 二人は詠唱を始め、マジックチャフの効果が完全に潰えたのと同時にピィは先ほどより数倍でかい火炎の球を投げつけ、カイはヘポイオスの下に巨大なつららを発現する。

 膨大な魔力をぶつけられたヘポイオスの剣がゆっくりと地面に落ちていった。


「完勝じゃな。 さすがに焦ったがさすがは主殿。 なんとかしおったか」


「パパ、スゴいです♪」


「ま、二人のおかげだよ」


「では、こやつと契約を行うが良いぞ」


「契約?」


「忘れおったか。 そもそもこの苦労は召還獣を調伏するためのものであろうが」


「ああ……、そういやそんなのが目的だったね」


 まあ、忘れていても仕方ないだろ。

 見た目は軽く完勝みたいな感じとはいえ、危うすぎる勝利である事は自覚している。

 ある程度データがあったとはいえ、モーション然り、対敵探知能力然り、耐久度然り、全て憶測に基づくものであり、たまたまそれが全て当てはまったから獲れた勝利。

 一個の要素でも外れていたら俺はヘポイオスの剣に貫かれて死んでいただろう。


「ま、終わり良ければ全て良しってな」


 ところで一つ問題がある。


「で、契約ってどうすればいいんだ?」


「うむ。 名を付けよ」


「名?」


「ヘポイオスの剣に名前を付けるのじゃ。 ヘポイオスの剣が主殿に服しておれば名をつけたことに主殿とこやつの間にラインが構築される。 それにて契約は成立じゃ」


「また、名前?」


「我やピィにも名前を付けたであろ? それと同じじゃて」


「名前つけるだけで解決するの?」


「名付をバカにしたらいかんぞ。 名付は縁を紡ぐのに最も効果ある法じゃ。 主殿が付けた名をこやつが認めることでこやつは完全に服したものの証明ともなる」


「はあ、さいでっか」


「パパ、かっこいい名前を期待するです、ピィのような」


「我のように安直にも程がある名前はどうかと思うぞ?」


 う〜〜〜〜ん。

 ヘポイオスの剣だから、ヘポとかつけたらカイにまたとやかく言われそうだから却下として……。

 剣はソード、ブレイド、カタナ、とか……。

 いやいや待て待て。

 それも安直すぎる。

 そういや、姉の好きな話に出てくる桃太郎侍がしている刀の名前なんて銘だっけか。

 そういうのからとればセンスをカイにバカにされないだろう。

 …………。

 菊一文字?

 村雨?

 モモタロウブレード?

 あれ? そういや知らないや。

 勝手な想像だけど桃がなんとなくついていそうだ。


「モモ……、モモ……」


 と、呟いているとヘポイオスの剣がむくっと立ち上がり、黄金色に輝き出した。


「契約成立のようじゃな」


「へ?」


「ところで主殿。 モモという名前の由来はなんじゃな?」


「……………………」



学園ものとかジャンルわけをしておきながら学園がそんなに描いていない件についてそろそろ突っ込みがきそうですね。

一言いうならば、

「こんなはずでは……」

提督立志伝という主題名。

提督も立志も赤鳥編のどこにあるのか。

一言いうならば、

「こんなはずでは……」

え~、厳しいご意見でも構いませんので宜しければご意見ご感想お待ちしております。


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