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RAT DANCE  作者: 華街
廃夢篇
9/22

依頼内容

前回のあらすじ:jk3人組が来た

〜依頼内容〜


 あれは、私たちが肝試しに行った時です。

『不思議なことが起こる』と噂の廃屋(はいおく)に行くと、夏休みの一週間前から計画を練ってました。

 そして、昨日実行したんです。8時に扉を開けて、廃屋(はいおく)に入りました。その時はもう夏だというのに蝉の声が聞こえませんでした。

 古びた木製の扉を開けて、懐中電灯の灯りを頼りに前に進みました。

 玄関、リビング、風呂場、客間、2階に上っても同じように探索しました。

 20分ほど経った時でしょうか。私は言いました。


「もう帰ろう?」


 この言葉は私はこの廃屋が怖くてもう我慢できないから言ったわけではありません。

 むしろ、その逆です。

 廃屋ではポルターガイストも、不思議な現象も何一つ起こりませんでした。

 私は「サイトは嘘だった」と結論づけて、廃屋から出ようと思ったのです。

 他の2人もそれに賛成してくれて、私たちは来た道を引き返していました。


 それが起こったのは、その時です。

 玄関のドアに手をかけ廃屋を出ようとすると。

 突如、リビングに電気がパッとつきました。

 それと同時に、蝉が一斉に鳴き始めたのです。

 私たちの帰りを拒むように。


「……行こう」


 蕾がそう言いました。

 私もここまで来て、このまま帰ろうとは思えませんでした。

 思い出話の一つぐらい持って帰ろうと思い、震える足に鞭を入れながら好奇心に従いました。

 リビングの木製の扉に手をかけました。

 キーと音を立てて扉が開きました。


 そこには黒く長い髪の女性が椅子に腰をかけていました。

 その女性は、掠れた声で私たちに言いました。


「おかえり」


ーーー

 

 沙羅と呼ばれた女性が悲鳴をあげる。


「やっぱり私たち行かないほうが良かったんだよ!」

「な、沙羅も乗り気だったじゃん!……でもその通りかも……」


 Bが3人を宥めて、質問を始める。


「まず、『バンビー』は誰のことかな。それと名前も言ってくれ」

 

 一番左の女性が口を開く。


「バンビーは私のことです。そして、私から順番に(つぼみ)美由良(みゆら)沙羅(さら)です。」

「よろしくね蕾、美由良、沙羅。

 それで、なんでここに依頼をしたのかな?」


 美由良が恥ずかしそうに話し始める。


「それは、私たちがもしかして呪われちゃったのかなと思って……それに、退治もしてくれるって書いてあったので、被害者がもっと出る前に退治してもらいたくて。」


 なるほど、『沈静化』のことだろう。それを依頼してきたのか。

 今まで無言で聴いていたキメラが質問をする。


「そのサイトってどういう名前のサイト?」


 おそらくどんな廃屋という写真とその現象を知ろうとしているのだろう。


「その廃屋のことは、大きいサイトの中の小さな一つのスレッドにあったんですけど、そのスレッドがもう消されちゃってて……確かその大きいサイトの名前は『心霊現象情報・探求サイト』って言いました。」


 俺はすぐ近くのパソコンでそのサイトを調べる。案外調べるのは簡単で、そのサイトを開くことにした。


「このサイトですか?」

「はい、それです」


 Bが3人にその廃屋の特徴や場所、正確な住所を聞く。住所はわからなかったが、それ以外は覚えていたらしく沙羅が全て話した。

 その廃屋の特徴は、どこにでもあるような少し大きい一軒家で、周りには数本の木が植えてあり家の外壁には苔が生えているとのことだった。

 写真も美由良が持っているらしく、その写真をキメラが借りて俺に見せる。

 大まかな場所を聞いて、その場所と今までの特徴をサイトに打ち込んで検索をかける。


「…………無いな」


 写真に似たような家はいくつもあったが場所が違う、屋根が違うetc…

 どこを探しても全てが一致するものはなかった。


「ありませんね。やっぱり誰かに消されたのかもしれません。」


 そう言ってソファの方を見た。

 3人とも複雑そうな顔をしている。


「他に、何か気になったものはあったかい?」


 Bが3人に尋ねる。すると美由良が


「そういえば、廃屋の木に青い鳥がいました。珍しくて写真を撮ろうとしたんですけど、どっかに行っちゃったのを覚えています」

「それと……その幽霊に見覚えがあって……どっかで見たような?」


 沙羅がそう言って首を傾げる。

 すると蕾が何かを思い出したように手を叩いた。


「あ そういえば廃屋の玄関に変な置物があった気がします……」


 色々な特徴が出てきたが、それらはボタンがホワイトボードに書き記している。


「それでは、情報を整理しますね

 少し大きめの一軒家の廃屋で、周りには木が植えられている。ずいぶん古びれており、部屋のところどころに穴が空いている。玄関には奇妙な置物が置かれている。家のまえで青い鳥を発見。

 現象としてはポルターガイストや心霊現象。部屋の拡張等があります。

 要素としてはこれらで全てでしょうか」


 3人がこくりと頷く。

 それを見たBが何かを言おうとした時、応接室の扉が開いた。


「話は澄んだか じゃあ早速任務を遂行する団員を決めるか」


 そう言いながら応接室に入ったのはリーダーだった。いつもの学生服に着替えたらしい。

 

「せっかくだから、ミイラの初任務として向かわせていいんじゃない?」


 キメラがそうリーダーに提案する。リーダーはそれにこくりと頷いて


「じゃ、ミイラは団員服に着替えろ」

「え?団員服?」


 昨夜の説明では言われていなかったため、腑抜けた声で返事をしてしまう。


「では、その廃屋の地図を適当に書いてください。」


 そう言われて3人が話し合いながら地図を書く。

 ……今からここに行くのか。

 初任務と言われるとなんか緊張してきた……

 ていうか普通に廃屋って怖いな。


 その廃屋は商店街の外れにあり、そこの地域に廃屋の噂は有名で、その噂とサイトを見て、3人は肝試しに行くことに決めたらしい。


 「さ、着替えた着替えた!」


 Bが俺を応接室から追い出す。

 俺はそのまま部屋に戻って制服に着替えることにした。


 部屋に入ってクローゼットを開ける。

 とりあえず何かのマークの刺繍が入ったものを探そう。

 と思い探したのだがよくみればクローゼットには仕切りがあり、その右には黒いズボンと黒く薄い生地のフード付きパーカーと胸に小さくマークが書かれた白いオーバーシャツがセットに置かれていた。

挿絵(By みてみん)

 このマークが【リベリノーティス】のマークだろう。

 太陽と月がモチーフだろうか?

 とりあえずこれらが団員服だろう。

 急いで着てみたところ思いの外通気性が良く、むしろ涼しく感じるほどだった。

 鏡で自分の姿を確認していると


「気に入ったか?」


 と言いながらリーダーがドアを蹴破った。

 びっくりするからやめてほしい。


「__何今の悲鳴、乙女みたいでキッショ」

「リーダー!?」


 リーダーが鼻で笑いながら今の時代だと非難されそうなセリフを言う。

 この人は本当にクz……性格が悪いな。


「ミイラ、お前の【能力】について説明するぞ」


 そういえば俺は自分の【能力】を把握していなかった。

 そのまま『任務』に行くと俺は戻ってこれないだろう。ここで知れるのなら良かった。


「ミイラ、お前の能力は【増殖】だ」


 ___増殖(・・)?どういう能力だ?それに


「なんでリーダーが俺の【能力】を知っているんですか?」

「それは、じゃあ【増殖】の解説も含めて全部話そうか……………」


 それから、なぜ俺の【能力】のことを知っているか、【増殖】はどんなものなのか。それらを全て聞いた。

 リーダーは、俺が記憶を失う前まで面識があったらしく、その時に【増殖】のことを俺に聞いたらしい。

 俺の【増殖】は自分の分身を出せるらしい。それ以外の使い道は、今は解説しなくてもいいか……

 

「【増殖】についてはこんなもんだ。

 さ、3人から正式に依頼を受けるぞ。」


 俺はリーダーと一緒に応接室に戻り、3人に依頼の再確認をした。

 依頼内容は廃屋の調査とその検証。こちらが【異常】と判断した場合、【能力】の解明とその沈静化。

 書面をダニエルがPCで作っていたらしく、それをそのままコピー用紙にプリントして契約書としてサインをしてもらうことで依頼が受結された。

 3人は現場には行かないため、ここでお開きとなった。

 3人を玄関まで見送った後、


「おいミイラ、ここで分身出してみろよ」


 とリーダーが俺に言った。

 そういえば分身を出す感覚はわからないな。

 咄嗟の時に出せなかったら危ないから、ここで出す練習はしておいた方が良いだろう。


「__ッフン!!」


 まず全身を力ませてみる。

 ……結構頑張ってるのに全然出ないんですけど。


「【能力】を扱うにはまずイメージが必要だぞ。ほら、自分の体から分身が出るところをイメージして!」


 Bが俺にアドバイスをする。イメージて、そんな魔法みたいな感じででるわけが……


「___ッハァ!!」

(どぱぱー)

 

 なんか出た。


「なんか出た!」


 それでもそれは人型とは到底思えないような、ドロドロとした白い粘液が背中から溢れ出しただけだ。

 まだ自分の体を意識できてないからだろうか?それも当たり前だ、俺は記憶喪失で、自分のことが何一つわからないのだから。それでも、思い出してみる。

 大浴場でみた俺の姿を。自分の体をイメージしてみる。


「___うおおお!!」


 背中から何かが出てくるのがわかる。それは先ほどまでのドロドロとしたものではなくて、ちゃんと固体のようだった。これは……成功したのでは!?


「ッキャ!」

「おいミイラしまえ!早く!」


 ボタンの悲鳴が聞こえた。それになんだしまえって?人がやっと分身に成功できたって言うのに。

 そう思いながら自分の分身を見る。

 うん完璧だ、浴場で見た鏡のままの自分だ。

 ___うん?浴場で見た鏡のままの自分?それってつまり裸ってことで…………


「___ああぁ!?え、あ、え!?

 ちょ、見ちゃダメ!!」

「ミイラから見せておいて何言ってんだよ」

「そう言う問題じゃなくて!!っていうか消えないんだけど!?なんで?リーダー消し方教えて!!」

「俺も知らん 自分でなんとかしろ」


 なんでこうリーダーは怠惰なんだ!

 それに、本格的にやばい!!ボタンは顔をそらしているが耳が赤くなっているし、キメラはそんなボタンを抱えながら俺をマジ睨みしてくる。Bは俺のブツを見て嘲笑している。ダニエルも俺のブツを見て苦笑いしている。リーダーは仏頂面でただただ俺の顔を見つめてくる。

 やばいやばいやばい!!初任務に行く前に俺がムショに行くことになってしまう!!

 なんとかしてこの分身を消さなければ!


「ちなみにこれは前に聞いたことだが、玖人は分身を作るとそいつは裸になるから、人前では分身を作らなかったらしいぞ」

「それを早く言えよ!!」


 館の玄関は阿鼻叫喚 (主に俺の叫び)になってしまった。

 その後なんとか分身は消え、俺の記憶が少ないため分身が俺ではなくマネキンのような姿になった。

 そして今後一切リーダーに気を許さないことを誓った。


 ちなみにそのあと10分程キメラからガチで距離を置かれた。

 …………すんません。

 どうもこんにちは筆者の華街です。

 いやー今回は色々起きましたね。

【ブラックトライアド】のマークが出たり、ミイラがやっと自分の【能力】を扱えるようになりましたね。

 ちなみに【増殖】ででた分身は本当にマネキンのような姿形をしています。

 ミイラの意思で出現させられ、ミイラの意思で動かすことができます。

 ここで大事な設定を、ミイラの【増殖】で増やせるのは最大13人です。

 これ、意外と重要なので覚えていてください。

 あとちなみにミイラが分身を出すために力んでましたが、それをする必要は全くありません。

 それでは次回でお会いしましょう。華街でした〜

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